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Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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拾い拾われ愛し愛され
 ヒロシは今日も町をゆく(学校はさぼっています)。


ヒロシ「あ! 500円玉が落ちてる! 拾って交番に届けないと!」


 ところがどっこい。どこからともなく現れたおっさんが500円玉を先に拾って、しかも己の財布に入れてしまったからさぁ、たいへん!


ヒロシ「あんた! 拾ったものは交番に届けないとだめじゃないか! 実に人間の屑だな!」


 ヒロシの説教に腹をたてたおっさんは、懐から青龍刀を取り出しました。数秒後、ヒロシの頭部が宙を舞いました。


通行人「たいへんだ! 誰か救急車を!」


 近くの微笑病院に運ばれたヒロシはさっそく手術をうけます。


医者「これは助かるかどうか微妙だぞ。でも、全力を尽くすしかない!」


 命のドラマが繰り広げられる手術室。その上のほうに、半透明のヒロシがぷかぷか浮かんで、己の手術を眺めています。ヒロシの魂です。生きているか死んでいるのかあやふやな状態なんで、こうして体の近くを漂っているわけです。当然、生きている人には見えません。


ヒロシ「こりゃ死ぬよなー。首ちょんぱだもんなー。まぁ、いいかー。来世に期待だな、うん」


 己の手術を眺めながら、つぶやくヒロシ霊魂。


ヒロシ「でも、くちおしいな。実にくちおしい」


 拾ったものを交番に届けない人間の屑を注意して殺されたという事実……


ヒロシ「拾ったものは交番に届けることが当たり前の世の中なら、僕は若い命を散らさずにすんだんだ」


 いつかそんな世になればいいのに……。そう願うヒロシですが、今の彼にできることといえば、例の青龍刀男の子供に転生して、しゃべれるくらい成長したあたりで、「今度は殺さないでね、パパ」と発言することくらいしかできないちっぽけな存在。なにができようというのか。


???「その願い、かなえてやってもいいぜ」


ヒロシ「どちら様!?」


???「俺だよ、神だよ」


 いつのまにか、ヒロシの目の前にマッチョな男が立っていました。


ヒロシ「神ですって!? あ、でも、それもありえるか」


 魂だけのヒロシが見えるのですが、ありえないことではありません。


神「チミの願い、かなえてやろう。チンカラホイ! はい、これで君の望む世になったよ、世界は!」


ヒロシ「ほんとですか?」


神「ホントさ。まぁ、見てな」


 神は、必死で手術をしている医者のほうを指さしました。


神「波ァーーーーー!」


 神の指先から放たれる謎の怪光線。怪光線は医者の手に直撃し


医者「痛っ」

 
 医者は持っていたメス床に落としてしまいました。


医者「やべえやべえ……うわっ!?」


 咄嗟にメスを拾う医者でしたが、メスは医者の手を離れ、すごい勢いで宙を舞い、手術室の壁をぶちぬいて外へ……


神「病院の前に交番あるだろ。あそこに飛んで行ったんだ。ふふふ。世界を『拾われた物が、自動的に病院前の交番に届くことが当たり前の世の中』にしてやったんだ。」


ヒロシ「たしかにこれなら、どんなに世の中が悪意に満ちた人間だらけでも大丈夫ですね! ありがとうございます!」


神「いいってことよ、それじゃあな、迷える子羊!」


 そう言うと、神は静かに消えていきました。


医者「あ、やった! この患者、助かったぞ!」


ヒロシ「え、マジで! ヤター!」


 いいことは続くもので、ヒロシの命も助かりました。


医者「しかしあれだ、首ちょんぱでも助かるもんだな。この少年、命拾いしたな!」


ヒロシ「ほんとほんと! 命拾い……あれ?」


 ヒロシ霊魂は、手術室からこつぜんと消えました。


医者「あ! 容体急変! ……やっぱダメだった! 合掌っ」


 数週間後。心霊写真を取り扱う雑誌に、微笑病院前交番を撮影した写真が掲載されました。無念そうな少年の顔が写りこんでいる不気味な心霊写真。
この交番には小銭やらエロ本やら軍手やら色々なものが飛んでくるという怪奇現象が起こっていて、それとの関連性が指摘されています。世の中怖いですね。あと、作中の描写のほとんどは適当です。現実では首ちょんぱしたら、たぶん死にます。あしからず。



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日記 | 18:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
ヒロシ、教団施設で働く の巻
 ルナちゃんが、その人生全てを捧げている某新興宗教。今日は、その宗教の教祖様の著書「人妻と信仰」の発売日であります。教祖様は、今まで「未亡人と信仰」「濡れた喪服と信仰」「夜の客室乗務員と信仰」「桃色ナースは信仰がお好き」「悦楽マンション201号室(信仰編)」「淫虐教師~夜の説法~」といった本を書いており、そのいずれもが信者の間でのみ大人気。


 発売を記念して、町内の教団施設でサイン会が開催されることになりました。本を買ってくれた人に、教祖様がサインをするという趣向です。マルぼんとヒロシはルナちゃんに頼まれて、そのお手伝いをすることに。


ヒロシ「ここがサイン会の会場かー」


ルナちゃん「そしてこれが尊師の新作『人妻と信仰』よ、はい、1冊どうぞ。マルちゃんもどうぞ」


マルぼん「ありがとう!(駅前のブックオフって、何時まで開いていたっけ)」


ヒロシ「うれしいな(11時までだよ)」


マルぼん「それにしても……」


 サイン会場には、大量の『人妻と信仰』が置かれていました。


マルぼん「たくさん刷ったんだね、『人妻と信仰』」


ルナちゃん「うん。全部で100,000,000冊刷ったの。自費出版だし、この施設でしか販売しないから少なめに刷ったんだけど」


ヒロシ「ああ、バカなんだね。バカしかいないんだね」


 そんなこんなで10時、サイン会スタート。17時、サイン会終了。


ルナちゃん「たいへん。思ったよりも売れなくて、余りまくってしまったわ、『人妻と信仰』。その数、99,999,998冊!」


ヒロシ「僕らにくれた分しか、はけてないじゃないか!」


ルナちゃん「こんなに余ってどうしよう! どうしよう!」


ヒロシ「マルぼん、なんぞ道具を」


マルぼん「『アマル』。これは一見、たんなるアヒルの形をしたオマルに見えるけど、周囲にあるものを余らなくする機密道具なんだ」


ルナちゃん「ほんと? なんかうそくさい」


???「ああ、ここだわここだわ」


 『アマル』を置いた瞬間、たくさんの中年女性が教団施設にやって来ました。皆さん、選挙期間中にやたら家を訪ねてきたり、選挙前に特定の市に住民票を移したり、特定の候補者に向かって集団で野次を飛ばしたりしてそうな顔をしております。


中年女性ども「今日出た本、あるだけくださいな」


ルナちゃん「ありがとうございます!」


ヒロシ「さすが機密道具。余っているものがすべてはけたね」


 ところが、その幸せは長くは続きませんでした。女性たちは教団施設の前で、買いしめた『人妻と信仰』を次々と燃やし始めたのです。


ルナちゃん「ああ、なんてことを」


中年女性たち「こんな邪教の本、世に出回る前に処分しないと!」


 中年女性たちは、1億冊近い本を一瞬で燃やし終えると、隠し持っていた武器で教団施設を壊し始めたではありませんか。


中年女性たち「邪教には滅亡を! 邪教には破滅を! 邪教には死を!」


ルナちゃん「きゃー! きゃー! やめてくだちゃーい! 誰か、誰か、たすけて!彼女らを止めて!」


周囲の人たち「……」


ルナちゃん「スルー!? 目の前で、あんな横暴が繰り広げられているのに、揃いもそろってスルー!? 」


ヒロシ「きっと、『アマル』の力だね」


ルナちゃん「?」


マルぼん「彼女らの行為は、目に余らなかったんだ」


日記 | 18:20:01 | Trackback(0) | Comments(0)
好感度アップはプレゼントで!
ヒロシ「あ!」


マルぼん「どうした、ヒロシ」


ヒロシ「今、クラスメイトのギャルゲ田くんの家を盗聴していたんだけどさ……」


マルぼん「……なんでクラスメイトのギャルゲ田くんの家を盗聴しなければならない状況に陥ったの? 君の人生になにがあったの?」


ヒロシ「ギャルゲ田くんは恋のライバルなんだよ。彼もまた、ルナちゃんを狙っているんだ。『将を射んとせばまず馬を射よ』の精神で、ルナちゃんンとこの教団に家族で入信したり、年端もいかぬ己の妹を教祖に差し出したり、教祖の言うままにお金を燻製にしたりと、恐ろしい勢いでルナちゃんを落としにかかっているんだよ。恋のライバルの動向を把握しておくための盗聴なんだけど、なにかおかしいかね? おかしくないだろ? だって、そこに愛があるんだから!」


マルぼん「いや、別に。至極まっとうだと思いますよ。ええ、思いますとも。……話の続きを聞こうか」


ヒロシ「ギャルゲ田くんの家を盗聴しているときに、嫌な事実を知ってしまったんだよ」


マルぼん「その事実とは?」


ヒロシ「ルナちゃんへの誕生日プレゼントが、僕が用意しているものと被ったんだ! 同じようなプレゼントを用意してやがるんだ、ギャルゲ田くんの野郎!」


マルぼん「今から別のプレゼント用意したらどうよ?」


ヒロシ「自慢じゃないけど、僕の用意したプレゼントはこの世にふたつとない逸品。ルナちゃんの誕生日は明日だし、この短期間で今以上に素晴らしいものを用意するのは不可能だと思うんだ」


マルぼん「『ふたつとない逸品』がなんで被るんだよ、このタコ!」


ヒロシ「それが世の不思議だよ。地球にはまだ謎がたくさんあるね」


マルぼん「で、どうするの。プレゼントが被ったら、恐ろしい勢いで落としにかかっている分、あちらが有利なんでないかい」


ヒロシ「そうなんだよ。なんとかプレゼントが被っても、僕のほうが好感度アップする方法ないかしら。というか、そういう道具だせ」


マルぼん「仕方ないなぁ、ヒロシくんは。『未来リボンと包装紙』。このリボンと包装紙でラッピングされたものは、受け取った人にとてつもない喜びと感動を与えるんだ。たとえプレゼントが『猟奇殺人入門』とかそんなものでも、こいつらでラッピングされていたら、受け取った人は『いっぱいのかけそば』を読んだのと同じくらいの感動を覚えるだろう」


ヒロシ「『いっぱいのかけそば』の作者って、たしか……まぁ、いいや。とにかくいい感じの道具だね。あ、リボンのほうだけくれないかな。プレゼントが大きすぎて、包装紙では包めなさそうだから」


マルぼん「あいよ。ところでリボンのきちんとした結び方は知ってる? ここにラッピングの達人としてテレビや雑誌などで有名な、ラッピング五郎の著作があるから参考にしなよ」


ヒロシ「こういうのは自己流でやるのがいいんだ。気持ちだけでけっこう」


マルぼん「まぁ、君がそういうなら」


 マルぼん、ふと不安になりました。ヒロシの不器用さは筋金入りです。きっとメチャクチャな結び方をしてしまうに違いありません。


マルぼん(あ、でも大丈夫か。『未来リボン』にはたしか、プレゼントとなるものに、自動的に美しく結びつく機能があったはず。安心安心)


マルぼん「あ、そろそろ仕事の時間だ。ちょっと行ってくるわ」


ヒロシ「そうか、今日は夜勤の日だったね」


 そんなわけでマルぼんは仕事にでかけました。翌朝帰宅すると、ヒロシは息を引き取っていました。全裸で。全身にリボンを巻きつけて。


マルぼん「この仏さん、首にリボンを巻きつけている。窒息したんだ。しかしいったい、なぜ」


 マルぼん、仏さんの近くになにか落ちているのを発見。ヒロシがルナちゃんに宛てて書いたバースデーカードのようです。なんぞヒントはないかと中を確認してみると


『ハッピーバースデー! ルナちゃん! また1つ大人の女性に近づきましたね! そんなルナちゃんにプレゼントがあります。それは……僕です! 大沼ヒロシです! 生まれたままの姿の僕を、どうか末永く可愛がってね!』


マルぼん「こんな反吐がでるような発想をするから……」


 そんなわけで、ヒロシは短い生涯を終えました。この物語はこれでおしまいです。最後に、今回の事件にかかわった人々のその後について語り、皆様とお別れしたいと思います。


 マルぼんは、今回の件が原因で、未来の世界に帰った際に、業務上過失致死の疑いで逮捕され、処刑されました。未来の世界では犯罪が多発しているので、どんな罪でも刑は極刑です。遺体はそこいらに放置され、大地へと還りました。


 ヒロシと同じように裸リボンの自分をプレゼントにしようとしていたギャルゲ田くんは、嫉妬した妹(血のつながりなし。兄を1人の男性として意識している)に刺され、短い生涯を終えました。妹は逮捕されましたが、今は釈放され、名を変えて社会に復帰しているということです。


 ルナちゃんは、今日も明日も明後日も信仰信仰また信仰。43歳の時に「アバダモエクボ」という徳の高い(値段も)ホーリーネームを頂戴し、改名しようするも家族の反対にあい、現在、裁判中とのことです。


 ラッピング五郎は、そのラッピング技術とオネエキャラでブレイクし、あちこちのテレビ番組に引っ張りだこになりました。ラッピングテクニックの本はバカ売れ。DVD化もされて、これもバカ売れ。ついには『包み包んでHOLD ON ME』という曲でCDデビューまで果たしました。その人気に有頂天になった五郎は、世話になったラッピングの師匠に暴言を吐くなど、絵に描いたような天狗になったのですが、所詮は一過性のブームに過ぎず、次々と出現する新たなオネエキャラに対抗できるハズもなく、瞬く間にテレビ界から忘れさられ、過去の人となってしまいました。テレビに出る前に講師として働いていたラッピング教室に戻りましたが、テレビ出演に夢中になり本業を疎かにしていた彼に、同僚たちは冷たく、結局はそれが原因で退職。一念発起して自分のラッピング教室を立ち上げましたが、生徒である人妻とねんごろな仲になったのが週刊誌にすっぱ抜かれ、「あのオネエキャラは嘘だった」ということで大バッシングスタート。他に大した芸能ネタもなかったことから、連日ワイドショーで取り上げられる始末。当初は100人近くいたラッピング教室の生徒は激減し、閉鎖することになりました。ところが、その話題がきっかけで、まさかの再ブレイク。ダーティーキャラとして、バラエティ番組を中心に活躍するようになったのです。元々性格の悪かった五郎は、ダーティーキャラが性に合っており、その毒舌ト-クはいつしかバラエティ番組に欠かせないものとなり、他人の悪口をテーマにした著作はラッピング関係の本よりも売り上げがよかったそうです。しかしその幸せも長くは続きませんでした。ある夏の夜。繁華街を朦朧とした状態で徘徊しているところを警察に見つかり、下腹部を露出している等、どうも様子がおかしいということで検査をされ、覚せい剤反応がでたのです。自宅を捜査され、大麻も発見されました。脱法ハーブも使用していたらしいという情報もありました。もちろん逮捕されましたが、身内に甘い芸能界の中では、某大物演歌歌手を始めとして擁護する者も多数おり、初犯ということもあり、執行猶予ということになりました。所属していた大手プロダクションの力があったのかどうかは定かではありません。当初は自粛していたテレビ出演ですが、1年後には少しずつ出演するようになっていました。それらの番組では「なぜ覚せい剤などを使ってしまったのかわからない」「迷惑をかけた人たちに誠心誠意謝りたい」と、反省している様子をみせていた五郎。芸能界における友人やファンからのメッセージをまとめた「帰ってこいよ、五郎」という本が出版されたり、夏の風物詩である有名長時間番組で、「禊」という名目で24時間マラソンのランナーを務めたりするなど、完全な復帰に向けて歩み始めた矢先、再び事件は起こりました。別件で逮捕された覚せい剤の密売人の男が「半月ほど前に、ラッピング五郎とその内縁の妻に売った」と証言し、警察が事情を聴きに行った時には、既に姿をくらませていました。これには、擁護していた芸能人たちもさすがにダンマリ。プロダクションも解雇ということになりました。テレビでは、五郎の失踪、いや、逃亡を連日取り上げました。3か月後、「関西某所で、日雇いの仕事をしながら潜伏している」との情報が寄せられ、地元警察が調べたところ、ある個室ビデオ店にて、過酷な労働と覚せい剤の副作用でボロボロになっていたラッピング五郎が発見されたそうです。連行される様子を目撃した某婦人雑誌の記者は、「とても本人とは思えないほどやつれていた」と述懐しています。マスコミ各社は、五郎の母親にインタビューするべく、彼の実家に押しかけました。五郎の母は「覚せい剤とはいえ、別に他人様を傷つけたわけではないのに。こんなに騒がれて。うちの五郎がかわいそう。五郎は真の被害者です」などと答えてしまい、息子と同じくバッシングをうけることになってしまいました。逮捕された五郎は刑務所へ。なにかと話題の多かった五郎は、囚人たちの注目の的で、かなりのいじめやいやがらせを受けたそうです。そしてその期間は、けっして短くはなかったとのこと。服役中、五郎とはバラエティで何度も共演したこともある大物歌手が、刑務所に慰問に訪れました。囚人たちの中に見知った顔があることに驚いたその歌手は、「がんばれよ。がんばってがんばって、頑張りぬいて、とにかく罪を償うんだ。そうすれば、お日様はまた、お前に微笑んでくれるさ」と五郎を励ましたそうです。出所後、なんとか覚せい剤中毒から立ち直った五郎でしたが、彼の居場所はラッピング業界にも芸能界にもありませんでした。出所を待ちわびていた母も、この世の人ではありませんでした。その後、叔父の経営する田舎のコンビニエンスストアに就職した五郎。彼の名前が表にでることは皆無となりました。しばらく後、「あの人は今」的な番組で取り上げられた時、五郎は身寄りのなかった叔父の跡を継いで、コンビニの経営者になっていました。その際、「芸能界に未練はありますか」と質問され、五郎は次のように答えています。「芸能界には未練はないですね。あるのは、ラッピング。ラッピングの世界です。いや、戻れないのはわかっています。いろいろな人に迷惑をかけてしまいましたからね。師匠にも破門されましたし。(中略)僕は色々なものを包んできたけど、最近、実は逆に包まれていたということに気づいたんです。お客さんの笑顔という包装紙でね」。この放送を観たかつての芸能人仲間が、五郎に誘いをかけました。五郎と同じような売れ方をし、そして消えていったオネエキャラの芸能人たちが、最近、再ブレイクを狙ってグループを結成していたのです。このグループに入らないかと誘われたのです。しかし五郎はこれを断りました。自分にはそんな資格はない、と。この出来事で思うことがあったのでしょうか、その年に開催された地域の夏祭で、イベントの一環として、五郎は『包み包んでHOLD ON ME』を熱唱したそうです。櫓の上で。祭囃子に包まれながら。華やかなテレビの世界にいたころとは比べものにならない、みじめな恰好でありましたが、不思議と輝いて見えたそうです。翌年、五郎の死亡が小さく報じられました。コンビニの経営がうまくいっていないことによる、心労が原因とのことでした。享年57歳。



日記 | 18:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
いつかキラキラする日
 マルぼんがヒロシのところにやってきて40年近く過ぎましたが、いまだにヤツは困ったことがあるとマルぼんを頼ってきます。


子供のころのように「ナウマン象にいじめられた」「0点の答案を隠したい」とかならまだいいんですが、「会社の金を横領してしまったのでなんとかして」だの「痴漢に間違われたのでなんとかして」だの、「『奥さんと別れて!』と迫られて困っているので、あの女をなんとかして」だの、生々しい頼みごとが多いのです。


 そして今日も。


ヒロシ「うわーん。マルぼーん!」


マルぼん「どうしたんだい、ヒロシくん」


ヒロシ「孫が生まれた」


マルぼん「なんとまぁ!」


 ヒロシにはコウタくんという大学生の息子さんがいるのですが、そのコウタくんが同じゼミの女の子とアレがナニしてソレしたようなのです。はい。とんだ淫獣だぜ! ちなみに入籍も済ませたとのこと。


ヒロシ「かわいい女の子でねえ。もう嬉しくて仕方ないんだけど、その孫がきちんと育つか心配なんだよ! なんとかしてー!」


マルぼん「むう。そうだな。こんな道具はどうだろう。『名は体を表すペン』。生まれた子の名前をこのペンで出生届に記入し、役所に提出すると、その子は名前の通りになる。『恵美』という名前なら美しさに恵まれた子に、『高志』とかなら高い志を持った子になるわけだ」


ヒロシ「きちんと育つような名前を考えて、そのペンで出生届に記入すればいいわけだ。ありがとう、マルぼん!」


マルぼん「それじゃ、マルぼんは出かけてくるよ。そのペンを欲しがっている人がいるんだ」


 ヒロシ、自分の部屋に戻ると、机に置いた出生届(傍らに『名は体を表すペン』)とにらめっこ開始。腕組みなどしつつ、必死で孫の名前を考えます。


ヒロシ「ZZZ」


 数分後、考えすぎて眠りこけるヒロシの姿が。


 数時間後、ヒロシが目覚めると


ヒロシ「あ! 出生届と『名は体を表すペン』がない!?」


コウタ「ダディ。出生届なら、今、役所に出してきたところだよ」


ヒロシ「まさか近くになったペンで記入したわけじゃないだろうね」


コウタ「使ったけど、いけなかったかい?」


ヒロシ「なんと!? そ、それでお前、あの子になんて名前を!」


 ヒロシはモーレツにいやな予感がしました。ここ最近、会社の同僚が自分に子供に個性的すぎる名前をつけるのを、何度も目撃しているのです。「炎と書いてファイアと呼ぶ」とか「海と書いてマリンと呼ぶ」とか、「勇気と書いてぶれいぶと呼ぶ」とか、「虹と書いてレインボー」とか、「男(あだむ)と女(いぶ)」という双子とか。よもやコウタも……


コウタ「いい名前をつけたんだ。本人もきっと喜ぶはずさ。それじゃあ発表します!」


                        *

 一方その頃。


マルぼん「そんなわけで、このペンで書いたら好きなようにお子さんが育つわけです」


お客さん「まぁ、素敵。実は子供の名前はもう考えているんです。龍と書いてドラゴン! どう、かっこいいでしょ!」


マルぼん「そりゃ駄目です。具体的なモノの名前を書いたら、そのものになってしまいますよ」


お客さん「龍って書いたら、龍そのものになるってこと? あぶなかった!」


                         *


コウタ「『天使』と書いて『えんじぇる』でーす!」


コウタの嫁「コウちゃん!! 大変よ! えんじぇるの様子がおかしいの! ぐったりして動かないの! 息もしてない……!」



日記 | 18:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
ヒロシのコスプレ太平記
  マルぼんが思案に暮れていると、突然、部屋が光に包まれ、それが消えたかと思うとみずぼらしい格好をしたじいさんが立っていました。
「どちらさまです」と尋ねてみると。


じいさん「神です、神」


 混沌とした21世紀。無数の宗教と無数の神がいるこのふざけた時代ですから、神を自称するアレな人間は佃煮にするほど存在しますんで、このじいさんもその類の様子。


 やさしく接したらちぢれ毛の入った変な水を高値で売りつけられるのが関の山なので、ここはボロ雑巾を扱うような態度で接するに限ります。


マルぼん「それなら証拠をみせてごらんよ、YOUが神という証拠をさ」


じいさん「いいだろう。まぁ、見ていなさい。ヤマハシニマスカカワハシニマスカ!」


 じいさんが呪文らしきものを唱えるとあら不思議。大沼宅の前を歩いていた人たちが、瞬時に塩の柱と化したではありませんか。やばい。このじいさん、ほんもの。やばい。先ほどの無礼な態度はマジヤバイ!マルぼん死にたくないっ。不思議な力でミミズとかに変えられたくないっ。


マルぼん「神よ、神よ、愚かなマルぼんをお許しください」


じいさん「いいよいいよ、頭をあげな」


 土下座して許しを乞うマルぼんをじいさんは笑って許してくれたのです。懐でかくてよかったね。


マルぼん「ところでなんのために降臨されたのですか」


じいさん「いや、あれだ。法律とかで色々大変そうだと思ってさ、日本のオタクの皆さんが!」


マルぼん「そ、それでは日本のオタクを救うために、わざわざ地上へ!?」


じいさん「ちがうちがう。オタク全員をどうにかしてやることは考えておらんさ。でもさすがに可愛そうだし、1人くらいならなんとかしてやろうと思って、日本のオタクからランダムに選んだ1人だけを最高にハッピーにしてやることにしたんだ」


マルぼん「と、言いますと?」


じいさん「日本を、そのオタクのもっとも萌える服装で溢れさせてやるのさ! 神の力をもってして!」


 たとえば、選ばれたオタクが某女子高の制服に萌える人だったら、某女子高への入学希望者が増えまくり、分校も増えまくり、従って制服姿の人も増えまくります。

 
 たとえば、選ばれたオタクがスクール水着に萌える人だったら、今年の夏はスクール水着が流行し、従って川に海にプールにスクール水着の人が増えまくります。

 
 たとえば、選ばれたオタクが(以下略)


 女性たちがこぞってその服装をするようになるきっかけを、神の力をもって発生させるということです。


じいさん「そしてその選ばれたオタクがなんと、この家のヒロシくんなのれーす! でヒロシくんは?」


マルぼん「今、出かけているのですが、そろそろ帰宅するはず……あ、帰ってきました」


ヒロシ「たっだいまー!」


じいさん「ヒロシくん、唐突に聞くが、君はどんなものに萌えるんだい。制服か、スクール水着か、体操服か、スパッツか、和服か。わしに教えてくれないか」


ヒロシ「そんなの決まっているよ」


マルぼん「答えてごらん」


ヒロシ「喪服さ!」


じいさん「了解! ヤマハシニマスカカワハシニマスカ!」



                             完



日記 | 18:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
被害妄想攻めヒロシ受け
マルぼん「それ顔ちゃう! シミや! タダのシミや!」


ヒロシ「シミじゃないもん! 顔だもん! 失礼しちゃう! あたしをブスだっていうんだよ、あの顔! ヴァー!」


マルぼん「こりゃあかん!」


 マルぼん、注射器を駆使して、ヒロシにおクスリを注入。


                           ※


ルナちゃん「それで被害妄想爆発したヒロシさんはどうなったの?」


マルぼん「ご覧の通りです」


 部屋の真ん中でゴロゴロしながら、「あふん!」とか「ひゃうん!」とか奇声を発するヒロシ。その恍惚とした表情。


ルナちゃん「……本格的に気持ち悪い!」


マルぼん「あまりに不憫だから、『性癖設定液』で鬼のようなマゾヒストに改造したの」


ルナちゃん「え、どうして?」


マルぼん「いまや彼は『ブタ!』の一言だけで軽く昇天できるクラスの変態なんだ。考えてみなよ。そんな人間が『自分は常に周りから虐げれられている。他人はいつも自分の悪口を言っている!』と思っているんだよ? めくるめく快楽よ! セルフ快楽
 

ヒロシ「ひぎぃ! ルナちゃん、そんな、僕を醜い豚だなんて……もっと罵って!」


ルナちゃん「人を勝手に妄想に登場させないでよ! ポアするわよ!?」


ヒロシ「ひゃうん♪」


 そんなわけで、ヒロシは今日もパラダイスへ。完。


日記 | 10:30:25 | Trackback(0) | Comments(0)
ヒロシのスクープ写真小作戦
 ヒロシのクラスメイトがたまたま持っていたカメラで「飛び降り自殺を図った男がビルの屋上から投身した瞬間、突如として飛来した大ワシに捕まって、連れ去られ我が子として育てられた瞬間」というスクープ写真を撮影。どえらい評判になりました。


 後に「死ぬのは怖くない。それよりも他人が幸せになるのが怖い」という言葉を遺すほど器の小さい男であるヒロシは嫉妬嫉妬また嫉妬。部屋に戻るなりマルぼんに泣きつきます。


ヒロシ「僕もスクープ現場を撮影してちやほやされたいよ! 絶対にスクープ写真が撮れるカメラだして!」


マルぼん「それはないけど……似たようなものならある。ほら。このカメラ」


ヒロシ「いいもんあるじゃないか! ちょっと貸してみてよ。適当に撮ってみるから」


 バシャッ。部屋の窓から外を撮影するヒロシ。カメラの中から写真が一枚、飛びだしてきました。


マルぼん「写真はすぐに現像されるんだ」


 現像された写真には家の前を歩いていた通行人の男が写っていました。


ヒロシ「何の変哲もない通行人の写真だけど、こんなんが本当にスクープになるの」


マルぼん「なるよ。正確に言うと、近いうちになる」


ヒロシ「へ? どういうこと?」


マルぼん「このカメラの正式名称はね、『撮影した写真が近い将来必ずスクープ写真扱いされるようになるカメラ』なんだ。もうすぐ何の変哲もないこの写真がスクープ写真になるようなことが起こるはずだよ」


 と、その時、何者かが突然部屋に乱入


ヒロシ「あ! さっきの通行人!」


通行人の男「い、いま、おれをこの俺を撮影したな! き、貴様もアレか! お、おれを監視するヤミの政府の手先か! い、いつも鳥を使って俺を監視しやがって! そ、その写真だな、いま撮影したの!その写真を黒幕の宇宙人に渡すつもりだろ! そんなことはさせないぞー!」


 男は懐からバタフライナイフを取り出しました。


 数日後。容疑者に犯行を決意させることになったその写真は、新聞の紙面を賑わし、見事なスクープ写真となりましたが、それをヒロシが知ることは永遠にないのでした。


日記 | 18:21:19 | Trackback(0) | Comments(0)
かわいいかわいい国産
ヒロシ「最近は、食の不安がこれでもかっ! これでもかってくらい広まっております。できることなら、国産品のものを食べたいと思います。でも国産品はなんでもかんでも高くて高くて」


マルぼん「がんばって、高収入のオトナに成長しなよ」


ヒロシ「子供の頃から国産品食べたいよう」


マルぼん「だったら政府にお願いすればいい。機密道具『絶対目安箱』。この目安箱に政府に願い事を書いた紙を入れたら、もしかしたらその願いが聞き入れていただけるかもしれない」


 ヒロシは「国産品の食物をお腹いっぱい食べたいです」と書いた紙を目安箱に入れました。


                        *


ナウマン象「おい、どうした、ヒロシ。ボーっとしていたら、撃たれるぞ」


ヒロシ「いや、ちょっとね、昔のことを思い出してて」


ナウマン象「昔。昔か。昔はよかったな。毎日みんなでバカやってよ。笑いあってよ。金歯もルナちゃんも生きていたな」


 ここは某国。わが国が、世界中に突然宣戦布告をしたのが数年前。老いも若きも男も女も、皆さん武器を手に取り、突撃突撃、いざ泥沼へ。


ナウマン象「しかしなんだって、いきなりあちこちに戦争をふっかけるようなことを始めたんだろうな、うちの政府は」


「他の国がうちの国になれば、そこで作ったものって、すなわち国産品になるんじゃねえ? うちの国の領土が増えたら、国産品も増えるんじゃねえの?」。1人の少年の小さな願いをかなえるべく、政府が導き出した答えでした。

日記 | 10:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
髪SUMMER仏SUMMER
ヒロシ「最近ストレスがひどいの。胃が荒れてなにも食べることができないからこの通り体はガリガリだしだし、髪もほら。少し触っただけでこんなに抜けてしまうんだ」


マルぼん「それはひどい。君にストレスを感じさせてしまう全ての人間が悪いんだ。ほら、この道具を使うといい」

 
マルぼんは液体の入った霧吹きを取り出すと、その液体をヒロシの頭に吹きかけました。


ヒロシ「今、どんな道具を使ったのさ」


マルぼん「まぁ、見てな。えいっ」


 いきなりヒロシの髪を何本か引き抜くマルぼん。


ヒロシ「痛っ。いきなりなにをする!」


 怒りのあまりマルぼんに拳を振り上げるヒロシでしたが、その時、つけっぱなしにしていたラジオからニュースが。


ラジオ『A国で大規模な暴動が起こり、1万人くらい死んだみたいです。B国にあるC島が突如として海に沈み、島民の生存は絶望的……』


ヒロシ「おい、まさか」


マルぼん「今使ったのは、髪の毛の量と地球の人口がリンクする薬さ。キミの髪の毛が減れば、地球の人口も減る。髪の毛が完全になくなれば、地球人も完全にいなくなる。このことを広く周知すれば、人々はキミにストレスを感じさせないようにやさしくなることだろう。
ふひ、ふひひひひひひひ」


ヒロシ「おバカ! なんてことするんだー!」 


 思わずマルぼんの頭部を叩いてしまうヒロシ。


ヒロシ「はやく薬の効果を消す道具をだな……」


 と、そのとき。


???「邪魔するぜ」


 いろんな人たちが、ヒロシを訪ねてきたみたいです。


担任「この前のテスト、おまえは85点だったぞ。オマエみたいなバカがこんなにいい点を取れるはずがない。
カンニングしたんだろう、そうだろう! 靴を舐めて謝罪しろ! もしくは今すぐ全裸になって、素直に撮影されろ!」


ナウマン象「ヒロシィー! 新しい鞭を買ったから、これで俺を打て! 激しく! 時にせつなく! 打たないと言うのなら、死なす! 皮はいで死なす!」


金歯「ヒロシってまだ生身の体なんでおじゃるか? せいぜい80年くらいしか生きられないのに、なんで生身の体でおじゃるの? 朕みたいに機械の体に改造すれば、ずっと生きられるのに……あ、そうかぁ! ヒロシの家は朕の家みたく金持ちじゃなかったのでおじゃったなー(爆笑)これは失敬失敬」


ルナちゃん「ヒロシさぁん! 持つだけで幸せになる象牙の印鑑を50万円でお譲りするわ! 買うよね、買うよね!? 早く銀行へ行って、貯金おろしてこいや」


新しいパパさん「ヒロシ。顔がむかつく。なんだその顔は。このタバコの火を食らえ! 足のスネとか、目立たない場所にくらえ! 人に傷のことを聞かれたら黙っとけ!」


ママさん「これはしつけです。暴力じゃなくてしつけ!」


ヒロシ「ひぃぃぃ! 僕のストレスの主な原因である友人知人たちが、大挙して押しかけてきたー!」


 瞬時に貯まるストレス! 瞬く間に抜けていく髪! そして


担任「げばっ!」


 いきなり、血を吐いて倒れる担任!


ラジオ『いきなり死ぬ病気が世界各地で流行しております!』


新しいパパさん「うぐっ!」


 銃声が響いたかと思うと、額から血を出して倒れるパパさん! 部屋の窓から見える向いのビルの屋上には、ヒットマンの影。


ラジオ『世界ヒットマン連盟が、日頃のご愛顧に感謝して、無料無差別殺人を世界各地で行うと表明しました! あちこちで被害者がでております!』


ママさん「(パパさんの亡骸の下半身にすがりついて)あンたー! あンたー!」


金歯「ひぎぃ!」


 ギシギシミシミシと音が響いたかと思うと、いきなり爆発する金歯の機械の体!


ラジオ『最近お金持ちの間で流行している機械の体ですが、部品に不具合があって爆発する危険性が。ざまあみろ、金持ち!』


ヒロシ「死が! 死が広がっていく!」


 凄い勢いで減っていく地球人!


ナウマン象「金歯、しっかりしろ! 傷は浅いぞ」


金歯「今……朕ノ体カラナガレテイルノハ、血? ソレトモ、オイル? ワカラナイワカラナイ命トハナンダ…命トハ……イノ……<ピー機能が停止しました。至急、お客様サービスセンターに連絡してください。ピー機能が停止しました。
至急、お客様サービスセンターに……〉」


ナウマン象「金歯ぁー!」


ルナちゃん「外をみて! 死体の山よ! キャー! 約束の書に記されしハルマゲドンみたいで、テンションあがるぅ!」


ヒロシ「えらいことになってきぞ!」


ルナちゃん「これも信心が足りないせいよ! さぁ、共に祈りませう。ウラウラベッカンコー!」


ヒロシ「このままじゃストレスがさらにたまって、さらに髪が……なんとかせねば、なんとかせねば。マルぼん! マルぼんはおらぬか!」


マルぼん「……」


ヒロシ「死んでる! さっき叩いた時に死なせちまったんだ!」


ナウマン象「どうするんだよ、ヒロシ(どうせ死ぬなら、最期に俺を抱きしめてよ!)」


ヒロシ「そうだ、髪が減って地球人が減るのなら、髪の毛が増えりゃ、地球人も増えるはずだ」


ルナちゃん「それならなんとかなるわ」


 お祈りを止めたルナちゃんが携帯電話どこぞへ連絡。しばらくすると、やせ細ったアヤシイ男がやってきました。


ルナちゃん「こちら、私の知人で、高名な行者の羅生門サンダー先生よ」


サンダー「今よりシャクティ・パッドを行います」


 サンダー先生はその両手に神秘な力を秘めており、その力を他者に注ぎ込むことで体調不良を治したりだとか、金持ちにしたりだとか、オスをメスに変えたりだとか、足裏を見ただけで病気になるかどうか判断したりだとか、選挙に出てみたりだとか、アニメ作ってみたりだとか、数々の奇跡を起こすことができるのだそうです。1回たったの30万円で。彼は本物よ! 本物ですわ!


ヒロシ「先生おねがいします」


サンダー「ウラウラベッカンコー!」


 奇声を上げるなり、サンダー先生の手が光って唸って、「髪の毛増えろ!」と轟き叫びはじめます。その光る手でヒロシの頭を軽く叩くと


ルナちゃん「生えた!」


 生えたではありませんか! ヒロシの頭部に! 毛が! 産毛なのですが、たしかに生えた!


ヒロシ「よし! これで人類は増えるはずだ!」


 ママさんやナウマン象のお腹が膨れます。


ナウマン象「これは……生命!?」


ママさん「ダーリンなの? これはダーリンの残した命なの?」


 次々と人類が増えていきます。


ヒロシ「やった! 読みがあたったぞ! (あれ、このままいったら、ルナちゃんの妊娠姿とか見られるんじゃないか?ハァハァ……)」


 しかしこの幸せも長くは続きませんでした。サンダー先生がシャクティ・パッドを止めてしまったのです。止めた瞬間、ヒロシの髪がまた抜けて……


ママさん「ぎにゃー!」


 またひとつ、命が星になりました。いや、正確にはふたつ。


ルナちゃん「先生! なぜお止めに……!」


ヒロシ「そうだそうだ! ルナちゃんが妊娠していないぞ。見たかったのに!」


 サンダー先生、膨らんだ自分のお腹を愛しそうになでながら言いました。


サンダー先生「シャクティ・パッドの神秘の力。その源は、己が命。今、私の命は私だけの者ではありませーん。もう、私は行者ではありません。1人の母親なのですー」


ルナちゃん「なんてことなの!」


ナウマン象「いつだってそうだ。生命はその温もりで、その優しさで、人を傷つけるんだ。
生命の温もりや優しさが人類を滅ぼすことだってありえるんだ……!」


サンダー先生「安心してくださーい。実はあたくし、今の仕事に就く前は植毛関係の仕事に就いていたのでーす。
神秘の力ではなく、人類の英知の力で髪を増やしてみせまーす」


 どこからともなく植毛用の機材一式を持ち出したサンダー先生。植毛に使う人工毛を、手際よくヒロシの頭部に植えていきます。


サンダー先生「この特殊開発された人工毛は、ちょっとやそっとで抜けませぬ」


ヒロシ「なにはともあれ、これで髪が増えて日本の人口も増える。減ることもなくなるんだね。めでたしめでたしだ。二度と還らぬ命もあるけれど、まぁいいや! ドンマイドンマイ!」


ルナちゃん「……」


ヒロシ「どうしたの、ルナちゃん。浮かない顔をして」


ルナちゃん「気になることがあるの。さっき神秘の力でヒロシさんに髪が生えたときは、老若男女問わず妊娠する形で人類が増えたわよね。でも今は、内から髪を生やすのではなく、外から人工毛を植えるという形で髪を増やしているわ。この場合はどういう形で人口が増えるのかしら」


ヒロシ「んー。内から髪を生やした時は妊娠だから……ようするに内から増えたわけだ。外から髪を植えた場合は…場合は……外から増える、とか」


ルナちゃん「あ、「空を見て! なぞの円盤群が! すごい数よ!」


ナウマン象「ビームとか放ってきた!」


ヒロシ「んぎゃー!!」


 爆音。悲鳴。地獄。吹っ飛ばされる一同。薄れていく意識の中、ヒロシは着陸した円盤から珍妙な生物たちが降りてくるのを見ました。


珍妙な生物「いい星じゃないの。気に入った。残っている害虫どもを駆除して、さっさと同胞たちを呼ぼうや」


ヒロシ「連中、地球に、住むつもりかよ。あ、新しい、ち、地球人……!」


 きっと新地球人たちは、あっという間にヒロシたち地球の先住民を駆逐して、あたらしい文化を築き、1億年前からそうであったかのように命を明日へと繋いでいくことでしょう。めでたしめでたし。輝け地球。僕の星よ。永遠に輝け。完。



日記 | 16:23:33 | Trackback(0) | Comments(0)
ヒロシのごきげん心霊写真
 かねてより、「自分とルナちゃんの血をひいた命をこの世に誕生させたい!」と思っていたヒロシ。ある日、思い切って聞いてみた!


ヒロシ「ルナちゃんの、どんな人がタイプなの」


ルナちゃん「悪霊にとりつかれている人」


 ルナちゃんが熱心に活動している宗教団体では、月に一度「御山昇り」なる行事がありまして、これがまぁ、「聖なるパワーを秘めた御山に登ることで聖なるパワーが身につき、色々あって教団の財政が潤う」という素敵な行事なわけです。ルナちゃんも毎回、アホみたいに参加していやがります。


 ルナちゃん、自分に聖なるパワーが身についていると信じて疑わない。そして、その聖なるパワーを発揮したくて仕方がない。てっとりばやく発揮するには、悪霊払いとかそんなことしかないわけで、だから「悪霊にとりつかれている人」が好みのタイプというわけです。


ヒロシ「僕、実は悪霊にとりつかれているんだ(大ウソ)」


ルナちゃん「本当に? それなら写真を撮らしてよ。ヒロシさんの写真。強力な悪霊にとりつかれているのなら、心霊写真が撮れちゃうはず」


ヒロシ「ちょ、ちょっと待ってね! こんなナリじゃあんまりだから、着替えてくる!」


 うまいこと言って家に逃げ帰るヒロシ。まぁ、マルぼんに頼るしかないわけでして


ヒロシ「心霊写真が撮れるようになる機密道具だしてー!」


マルぼん「それならこいつを使おう。心霊写真がお手軽に撮れちゃうようになる薬『苦悶真人』だ! こいつを飲んだ人が写真を撮られると、苦悶に満ちた男の顔が写りこんだり、体の一部分が写らなかったりするようになる」


 ヒロシ「ひゃっはー!」


 薬を飲みほしたヒロシは喜びいさんで家を飛び出しましたが


 キキーッ! ドーン!


マルぼん「ああ、ダンプカーが! ヒロシをはねたー! ヒロシィィィィィ!」


 すぐに近くの病院に搬送されるヒロシ。


マルぼん「ドクター! ヒロシの容態はどうなんです! 逝くんですか! 逝かないんですか!」


ドクター「う~ん、それがねえ、このままだと危ないのっては確実なんですがねー。状態を調べようにも、こんなのばかり撮れちゃうから、どこがどうアレなのかは、よくわからんのですわ」


 そう言ってドクターが見せてくれたヒロシのレントゲン写真は、苦悶に満ちた男の顔が写りこんでいたり、肝心な部分が写ってなかったりで、確かに分かりにくいことこの上ありませんでした。手の打ちよう、皆無! 納得っ


 それから少しあと、ヒロシはその短い生涯を終えました。マルぼんは、レントゲン写真とかだってもれなく心霊写真にしてしまう『苦悶真人』の効果は絶大だと思いました。


日記 | 16:55:25 | Trackback(0) | Comments(0)
18歳
 ヒロシが泣きながら、漫画に墨を塗っています。「ついに壊れたか」と心配したマルぼんが理由を尋ねてみたところ


ヒロシ「町内の規則で、『18歳未満に見えるキャラクターが登場しており、青少年の育成に悪影響を与えそうな内容』の本や映像作品は規制されることになったんだ
……映像作品は媒体を処分、既に所持している有害本は問題部分を墨で黒く塗りつぶすようにという御達しが……ううう」


マルぼん「この本、子供こそ登場しているけど、内容は全然まともだよ。こんな本でもアウトなの?」


ヒロシ「実際のところ、18歳未満に見えるキャラクターがでていたらアウトなんだよ」


マルぼん「18歳未満に見えなければいいんだろ。キャラクターをみんな大人びた外見にしてしまえばいいんでない?」


ヒロシ「偉い人が『18歳未満に見える!』と認定したら、どんな物でも対象となるんだ……ううう。マルぼん、なんとかなる機密道具だしてえ!」


マルぼん「そんなの簡単な話じゃないか。この機密道具を使えばいい。この道具さえ使えば大丈夫だよ。ほら、ここが起動ボタンだ
押してみな」


 言われるまま、マルぼんの出した機密道具の起動ボタンを押すヒロシ。とくに異変はありません。


ヒロシ「マルぼん、なにもおこらな……」

 
 と、その時、絹を裂くような女性の悲鳴! なにごとかと、ヒロシが窓から外を見てみると……。体中が無数の毛に覆われた化け物と、背中から大きな羽が生えていて顔が犬という化け物がたがいを指差して「おまえどうしたんだ!」「てめえこそ!」とか言いあっているではありませんか。化け物は両方とも、ランドセルを背負っています。その近くには、セーラー服を着た一つ目の化け物や学ランを着た鬼なんかもいます。


マルぼん「漫画や映像作品の方をいくら変えてもだめなら、現実のほうを変えてしまえばいい」


マルぼん「今のは、18歳未満の人間の外見を、化け物のようにしてしまう機密道具だよ」


マルぼん「これなら、いくら偉い人でも『この漫画のヒロインは18歳未満に見える!』なんて言えないだろ?」


マルぼん「人間に見える18歳未満なんて、この世に存在しなくなったんだから」


 ヒロシ(頭がイカで、下半身がタコみたくなっている)は、黙して語りませんでした。



日記 | 17:39:06 | Trackback(0) | Comments(0)
マルぼんVS座敷童子
マルぼん「おいヒロシ! レアな機密道具が手に入ったぞ! その名も『座敷草鞋』! 履くと、『ちょっとした座敷童子』になれるご機嫌な機密道具さ!」


・座敷童子(ざしきわらし)
 東北地方にいるとされる、人間の子供みたいな姿をした妖怪。この妖怪が家に棲みつくと、その家は栄え、出て行かれると没落すると言われている。




マルぼん「『ちょっとした座敷童子』になった人が訪れた家は、栄えはしないけど幸せになるんだ!」


ヒロシ「マジで! じゃあ、早速僕が履いてみる!」


マルぼん「家に住んでいる人が履いても意味がないの。他人さんに『ちょっとした座敷童子』になってもらわないと効果がでないんだよ。だれかに頼んで履いてもらおう」


ヒロシ「金歯は出家、ナウマン象は服役中、ルナちゃんは宗教活動の一環でロシアへ行っているし、頼めそうな人がいないな。ちょっとそこらへんをうろうろして、探してくるよ」


マルぼん「『座敷草鞋』は家に入ってから履いたら効果ないから、入る前に必ず履かせるんだ」


ヒロシ「了解~」


 数時間後。ヒロシは知らない男性を背負って戻ってきました。既に『座敷草鞋』を履かされているその男性、どうも意識を失っているようです。


ヒロシ「愛用のクロロホルムでね。へへ……!」


 どびっきりの笑みを浮かべるヒロシ。マルぼんは、正直どうかと思いましたが、幸せのためならしょうがないです。


ヒロシ「ところで、いつ頃幸せになるのかな」


マルぼん「今説明書を読んでいるところ。えっと。『ちょっとした座敷童子』になった人か訪れてから、およそ30分。今からだと6時くらいだ」


ヒロシ「ふふふ。30分か。30分で幸せに。幸せに……って、待てよ。具体的に、どんな感じで幸せになるのさ」


マルぼん「え」


ヒロシ「金が腐るほど手に入るとか、アホほど健康になるとか、芋粥を死ぬほど食えるとか……幸せって色々あるよ? 幸せってなに? 美味い醤油のあることけ?」


マルぼん「……もう一度、説明書読むわ。調べるわ」


 調べること25分。


マルぼん「もたらされる『幸せ』ってのは、『ちょっとした座敷童子』になった人が考える『幸せ』みたいだ」


 『ちょっとした座敷童子』になった人が「幸せ? そんなん銭にきまっとるやろ!」と思っていれば、金が腐るほど手に入る。「幸せって、愛でしょ」とか思っていたら、好きな人と結ばれたりする。『世界から戦争がなくなることが、私の幸せ』とか思っていたら、世界中から戦争がなくなる。だいたいそんな感じらしいです。


マルぼん「この男の考える幸せが、いかなるものかだね。問題は」


 「屈強な男どもに、一晩中弄ばれる」とか「来世が石」とか、珍妙なことを幸せと考える変態さんだったら、マルぼんたちはどえらいことになります。


マルぼん「……そういやこの男、どこから連れてきたんだ?」


ヒロシ「駅前の微笑第9ビルの屋上だよ。ちょうど、青っ白い顔をしながら、靴を脱いでいるところだったから、草鞋を履かせやすいかと思って」


マルぼん「屋上……靴を脱いでいた……どう考えても来世へスタートしようとしている人じゃねえか! 『死ぬことが幸せ~』とか考えているにちがいねえよ」


ヒロシ「それは偏見! 偏見ヨクナイ! この男が、残された家族の幸福こそが幸せと感じながら逝くナイスガイかもしれないよ!」


 ヒロシがそう主張するのなら、と、マルぼんは、人が心の底で思っていることを聞き出すことのできる機密道具「心聴診器」を取り出し、男の本音を聞いてみることに。以下、聞き出した本音


『妻が不倫をしていた。相手は、俺の親友でもあるTだ。不倫どころではない。俺と結婚する前から関係が続いていたようだ。息子は、最愛の息子は、俺ではなくTの息子だったようだ。


息子は実の父がTだと知っている。俺よりTの方が好きだと言っている。Tの息子でよかったと言っている。俺だけが知らなかった。俺だけがなんにも知らなかった。


親友Gが逃げた。俺が借金の保障人になっていた、親友Gが逃げた。どこかに逃げた。とんずらこいた。信じていたのに。逃げた。やくざとか、おもいっきり俺んとこに来る。めっさ来る。


臓器は売れません。売りません。痛い痛い。止めてください。


なんなんだ人類。


なんなんだ世間。


なんなんだ地球。


なんなんだ宇宙。


なんで俺だけがこんな目に逢わなければならないのか。死ぬ。俺は死ぬ。死んでみせる。逝く。俺は逝く。逝ってみせる。死んで死んで死にまくって、逝って逝って逝きまくって、高いところから全ての幸せな人間を呪う。愛する喜びを知る者は、死ね。雨に負けろ。風に負けろ。雪にも夏の暑さにも負けろ。負けて、逝け。愛される喜びを知る者は、死ね。俺も死ぬから死んでくれ。いや、アレだ俺以外みんな死ね。お願いだから死んでくれ。俺が死んで、他も死ぬ。それこそ俺の幸せだ』




ヒロシ「だめそうだね」


マルぼん「うん」


 そんなこんなで、ちょうど6時と相成りました。おしまい。


日記 | 17:03:30 | Trackback(0) | Comments(0)
君こそ勇者

<前回までのあらすじ>マルぼんの大学時代の後輩で、今は「剣と魔法の世界」で妖精をやっている羽山芳子さんがやってきました。

羽山さんの話によると「剣と魔法の世界」は今、魔王によって征服されつつあるんだとか。魔王とその眷族を打ち滅ぼすことができるのは、異世界(ようするに我々の住むこの世界)にいるという勇者のみ。羽山さんは上司の妖精女帝様の「一番勇者にふさわしい人物を見つけて、連れておいで」という命を受けて来日。

 日本は勇者の名産地として知られていて、大人も子供もおねーさんも勇者の資質がある稀な国。そんな国から、もっとも勇者にふさわしい資質を持った人間を見つけるのは至難の業。そんなわけで、羽山さんはマルぼんに助力を求めてきたのでありますが……




ヒロシ「遠路はるばる御苦労なことですが、マルぼんはこの通り……」


 羽山にマルぼんの位牌を見せるヒロシ。マルぼんは小豆相場で大損こいて、先月、自ら命を絶ったのでした。


羽山「なんということでしょう! 先輩の助力なしじゃ、とてもじゃないけど勇者なんか見つけられない!!」


ヒロシ「ご安心めされい。荼毘に付される前に、マルぼんの四次元胃を摘出しておいたから、なんとかなるよ」


<マルぼんと暮らす 秘密メモ>機密道具が奪われて悪用されることを恐れたマルぼんは、「どんなものでもいくらでも収納できる四次元胃」を自らの体に移植。そこに道具をしていました。道具が必要になる時は、薬を飲んで吐きだしていたのですが、相当苦しいようで、道具を吐くたびに、出産する海亀のようにマルぼんは大粒の涙を流していました。その涙の美しさは、プライスレス。ちなみに、吐いても道具が出ない時は、手術で取り出していました。




ヒロシ「この『勇者探知機』を使おう。現時点で、一番勇者にふさわしい人間を探り出し、その人物の住所・氏名・職業・電話番号などを教えてくれる機密道具なんだ」


羽山「まさに今回の話のためにつくられたかのような道具ね!」


 早速起動。


勇者探知機『モットモ勇者ニフサワシイ人物ガミツカリマシタ』


『勇者探知機』の探り当てた「現時点で一番勇者にふさわしい人物」は、微笑町在住の無職・野田内マワルさん(32歳)ということが判明。ご近所ということもあり、ヒロシと羽山さんは、さっそく、野田内さんの住む『ふんだりけったり荘』というアパートへと向かいました。


 野田内さんの部屋は鍵がかかっていませんでした。


ヒロシ「中で待たせてもらおうや」


 入ってみると、そこには床に倒れている女性&初老男性と、血の付いた包丁をもった野田内マワルさんの姿が。


ヒロシ「倒れている2人、腹部から血を流してる。刺されたんだね。これ以上ないってくらいの勢いで死んでる」


野田内「嫁が、この女が働けって言うからー! 働いたら負けやって言うとるのに、理解しよらん! 親までついてきていらんこと言うからー! ついカッとなってー! もうらめえ! 自ら死を選ぶ!!」


ヒロシ「勇者にふさわしい人物が犯罪やってたらどうなるの?」


羽山「妖精女帝様が渡してくれた『勇者勧誘マニュアル』によると……『罪を償えば大丈夫』ってことみたいね。ねえ、野田内さん。死ぬなんて言わないで。あなたを必要としている世界があるわ」


野田内「え?」


羽山「実はかくかくしかじか」


野田内「お、俺が勇者。わかった、わかったよ。俺、自首する。自首して刑務所で罪を償って、世界を救うのにふさわしい男になる!」


羽山「その言葉が聞きたかった!」


ヒロシ「あのね、羽山」


羽山「なにかしら、ヒロシ」


ヒロシ「この人が罪を償い終わるの、10年以上かかるかもよ。2人も殺しているし。模範囚になったら、もうちょっと短くなるやもしれんけど」


羽山「10年!? そんなに待ってたら、世界滅びちゃう!! 『勇者探知機』で別の勇者を探しましょ」


 『勇者探知機』を起動させる羽山さんでしたが


勇者探知機『モットモ勇者ニフサワシイノハ、野田内マワルサンデス』


ヒロシ「『勇者探知機』は、『現時点で一番勇者にふさわしい人物』を見つけ出す道具。現時点で一番勇者にふさわしい野田内氏が顕在な限りは無理だね。」


羽山「ということは、野田内が……」


 羽山さんは、野田内氏を見つめると、なにやらぶつぶつと呪文を唱え始めました。


羽山「妖精魔法・相手を好きなように操れるようになるの術!」


野田内「あ、あれ、体が勝手に……! なんぞこれっ」


 野田内さんは包丁を持ったまま、外へと飛び出していきました。悲鳴と、パトカーや救急車のサイレンの音があたりに響き、尋常じゃないくらい騒がしくなりました。一発の銃声が響いた後は不自然に静かになりました。


 羽山さんが、再び『勇者探知機』を起動させます。


勇者探知機『モットモ勇者ニフサワシイ人物ガミツカリマシタ』




日記 | 11:33:06 | Trackback(0) | Comments(0)
あの子の近くに大沼ヒロシ
ヒロシ「気づかれることなくルナちゃんの部屋で一生過ごす方法ないかしら。ベッドの下とか、タンスとタンスの隙間とかはすぐバレそうだし。あ、天井裏という手もあるね」


マルぼん「とりあえず病院行こう、な。ダイジョウブキミハオカシクナイ。ワルイノハヤサシクナイ世界」


ヒロシ「僕は本気だよ!」


マルぼん「……確かに、その目は男の目。本気のようだな」


 こういう場合、漢と書いたほうがいいかとは思いましたが、マルぼんは「漢と書いてもおとこと呼ばせない協会」の理事なので止めました。止めましたけど、ヒロシの目は間違いなく本気。そんな本気に心打たれたマルぼん。


マルぼん(思えばヒロシもかわいそうなんだ)


 「双子は不吉」という古い考えを持つ家に、運悪く双子の片割れとして生まれたヒロシ。兄であるヒロフミが跡取りとしてチヤホヤされているのとは対照的に、学校へ行く以外は家の地下に造られた特設座敷牢(広さは畳二畳ほど)で過ごすことを強いられております。そんなヒロシのせつない願い……「好きな人の部屋で生涯を送りたい。老いていきたい。死んでいきたい。朽ち果てていきたい」という願望を現実のものとすべく、マルぼんはいつものように機密道具を使用することになったのでした。


 まずはマルぼん、一個の押しピンと微笑町の地図を取り出します。んでもってその押しピンでヒロシの手を


マルぼん「ブスっと刺す!」


ヒロシ「ひぎぃー!? なにをいたすー!」


 ※ヒロシとマルぼんは特別な訓練を受けており、押しピンで刺されても痛くないし、刺しても痛くありません(心が)。普通の人は痛いはずなので、マネしないでくださいね。マネしたら、きっとおそらくロクな死に方しません。来世も、消しゴムのカスとかそんなのになるような気がします。家族の人も悲しむだろうから止めた方がいいです。家族がいない人も止めたほうがいいです。だからあなたも生き抜いて!


マルぼん「押しピンに君の血がついた。これでこの押しピンは君になったんだ」


ヒロシ「は?」


マルぼん「ヒロシ、この押しピンを地図上のルナちゃんの家に刺してみな」


ヒロシ「わかった。えっと、ルナちゃんの家はここだね。ブスっと」


 刺した瞬間、なんということでしょう。ヒロシの部屋になんかあやしげな臭いが漂いだしたではありませんか。


ヒロシ「これはルナちゃんの家で常に焚かれているお香の香りじゃないか」


 ルナちゃんは宗教上の理由から常に自室に怪しいお香を焚いており、その香りに包まれながら、世界平和と、自分たちが支持母体になっている某政党の大躍進と、自分たちの活動に否定的な人物が一族郎党ごと不幸(できれば苦しんで死ぬように)になることを願い、聖なる呪文を唱えているのです、ブツブツと。それはもう、ブツブツと。今ヒロシの部屋に漂う臭いは、まさにそのお香の香りでありました。


マルぼん「この押しピンは機密道具なんだよ」


 まずは押しピンに自分の血を付着させる。次に、行きたい場所の載っている地図を用意する。押しピンで、地図上の「行きたい場所」を刺す。すると、なんということでしょう。自分の周辺が、今現在の「行きたい場所」と同じ環境になるのです。空気の量、温度や湿度、臭い、マイナスイオンの量。そっくり同じになります。今、「行きたい場所」にいる人の体臭とかまで堪能できるのです。見栄えこそ変わりませんが、まるでそこにいるかのような気分に浸れるというわけです。


マルぼん「こんなんでも、行けないよりはましだろ?」


ヒロシ「ああ、十分さ。ルナちゃんと同じ部屋にいて、同じ空気を吸い、同じ臭いを嗅いでいるという事実さえあれば、僕はどこへでも飛んでいける。妄想という翼で、どこまでも高く飛んでいけるんだ。この空を! 色情という名の空を! アイキャンフライ! ルナちゃん、ルナちゃん、ルナちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。むう!? この臭いは、ルナちゃんの体臭かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! フォォォォォォォォォォォォォォ!!」


 こうしてヒロシは、微笑町のライト兄弟となったのでした。1人だけど。


マルぼん(よかったな、ヒロシ……!)


 しかし幸せな時は長くは続きませんでした♪


マルぼん「ん。なんだろ。なんか熱くなってきたぞ。まるで近くでなんか燃えているかのような」


ヒロシ「ルナちゃんが部屋で火を焚いたんだろ。彼女は毎日、部屋でキャンプファイアーも裸足で逃げ出すような勢いで火を焚くんだ。それを神に見立てて、祈りを捧げるんだよ」


マルぼん「そうなんだ。おまえの好きな人、頭おかしい、な」


ヒロシ「と、ところで、なんか意識が、なんか、途切れ、そうなんだけど……ぐふっ」


マルぼん「奇遇だな! マ、マルぼん……もだ……ぐふっ」


 その夜。微笑町のローカルニュースで、ルナちゃんの家が火事になったという件が報道されました。


 原因は、室内で焚いた火の不始末。幸い、死者はいませんでした。でも、半焼した家から、死後数年は経っているとみられる死体がこれでもかってくらい出てきたから、さぁ、大変! 取り調べに対し、「生き返りますから! アタシのシャクティパッドで生き返りますから!」と意味のわからない供述をしており、世間で話題になりました。


 ヒロシとマルぼんが、なにも燃やした形跡もないのに一酸化炭素中毒で死んでいるのを発見されたことは特に報じられませんでしたが、数年後、「現代のミステリー」的な扱いで某番組で紹介されて、アレコレ推理されたりして、ちょっと話題になりました。2人が生きていたことに、意味ができたのです。無駄な命などない! これで成仏できるネ! よかったネ! 完。


日記 | 20:52:36 | Trackback(0) | Comments(0)
大わらんじの男! の巻
 2012年某日……金歯(本名・滝沢金歯)の父・エメラルド★フユカイ氏が、今まさに息を引き取ろうとしていた……


金歯「ダディ、逝かないででおじゃる。朕やマミィ(本名・爆死丸ヒロ子)を残して逝かないででおじゃる」


フユカイ氏「ミーの可愛い金歯や、将来は国をも動かす大人物になるザンスよ。それこそが、ミーへの最大の供養ザンス。親孝行ザンス。大丈夫。なぜならユーはミーのサンなのだから! ぐふっ。お別れの時が近そうザンス。アディオス現世。よろしく来世。がくっ」


金歯「ダディー!!」


 こうしてエメラルド★フユカイ氏は、75年の短い生涯を終えたのでした。故人は、その豊富な財産を使ってあちこちの政治家とのパイプを作り、「裏総理」「陰から国を動かす大物」「悪左府」「大わらんじの男」「地獄のスナフキン」「自称・ポストタモリ」とか呼ばれてきました。


 歳をとってからようやく出来た一粒ダネである金歯にも、是非、自分と同じような大人物になってほしいと常々思っていたのです。成長した息子を見る前に逝くのは、さぞ無念であったことでしょう。


金歯「ダディ! 朕は絶対に、国をも動かす大人物になってみせるでおじゃる。天から見守っていてほしいでおじゃる」


 こうして金歯は、人生という名のアレ狂う海を、決意という名の船で出港したのでありました。宇宙の海は金歯の海。


金歯「しかし、どうやったら大人物になれるのでおじゃろうか。とりあえずは勉強でおじゃろうか」


マルぼん「そんな金歯さんに朗報ー!」


金歯「あ、マルぼん」


マルぼん「本日は、『炙って、煙を鼻から吸引すると、不思議と頭がすっきりし、勉強が異様にはかどり、ものすごい勢いで成績のあがる薬』をご用意いたしました」


金歯「買った!」


ヒロシ「ちょ、待ちなよマルぼん。その薬、今月の『ワンダフリャフレンド』に危険だって書いてあったぞ!」


 みなさんは、町でグロテスクな生き物を見かけたことはありませんか?

 
 そのグロテスクな生物が普通にしゃべっているのを見て、「ああ、俺疲れているんだ。幻を見たんだ」と思ったりしたことはありませんか? 医師とかに相談までしてしまったことはありませんか?


 ご安心ください。それは幻なんかではなく、実在の生き物です。マルぼんと同じような生き物です。生きているんです。生きているから動くんです。命! 命ってあったけぇ!


 ヒロシは近い将来、とんでもないことをしでかし、子孫に多大なる迷惑をかけます。これは今思いついた設定なのですが、実は、ヒロシと同じように、将来とんでもないことをしでかすろくでなし候補生の少年少女は、他にもたくさんいるのです。その数、およそ150万人。


 その150万人の少年少女の元にも、マルぼんと同じ使命を帯びた怪生物が派遣されているのです。
機密道具の力で少年少女を更生させ、「とんでもないこと」を起こさないようにするという使命を帯びた怪生物たちが! なにせ150万。未来の世界では怪生物の数が足りず、新たに育成するための専門学校が作られていたりします。マルぼんも浄水器の訪問販売の会社をリストラされたあと、専門学校に入って怪生物になったクチです。


『ワンダフリャフレンド』は、ろくでなし候補生や派遣された怪生物、その関係者向けに発行されている雑誌です。最新の機密道具情報や、読者コーナーなどが充実していて絶大な支持を受けています。ヒロシも勿論愛読者。連載漫画「日和見ガッデム! 鬼ムカデくん」はアニメ化もされました。読者同士の交流も盛んで、ヒロシの今の奥さんも、この雑誌の文通相手募集コーナーがきっかけで知り合いました。


ヒロシ「『炙って、煙を鼻から吸引すると、不思議と頭がすっきりし、勉強が異様にはかどり、ものすごい勢いで成績のあがる薬』服用した子供に、異常が出るって書いてあったぞ!! 震えが止まらなくなったり、頭痛がしたり、右腕に秘められたパワーが抑えられなくなったり、場合によっては死も!」


 人間どもの「あんなこといいな。できたらいいな」という限りない欲望を満たすべく、日々開発されている機密道具。中には粗悪で、副作用があるものも少なくありません。『ワンダフリャフレンド』は、そんな不良品情報も掲載しているのです。


マルぼん「異常が出たのは、運が悪かっただけだよ。小さいことは気にすんな。ワカチコワカチコ」


金歯「うぬらは何の話をしているのでおじゃる? ホラ、金はここにある。薬をはよう渡せ」


マルぼん「ヘイ! 毎度ありがとうございます。こちら、おつりと商品でござーい」


金歯「うむ。早速炙るでおじゃる。ほぁ~」


ヒロシ「炙っちゃった。吸っちゃった!」


金歯「むほっ。頭がスッキリしてきた! これなら勉強もアホほどはかどりまく……まく……まくり……」


ヒロシ「ゲェー!! 金歯のボディが膨張し始めたー!!」


金歯「まく……まくり……くり…・ひでぶっ!」


 爆発四散。繰り返す。金歯が爆発四散。金持ちのドラ息子から、肉片へと華麗にトランスフォーム! ヒロシ、金歯の肉片へと駆け寄ります。


ヒロシ「大丈夫か! 生きているなら返事しろ」


金歯「ダディ、今、あいに逝きます。がくっ」


ヒロシ「金歯ー!!」


マルぼん「金歯のうすのろめ! どうせ死ぬんなら、おつりを返す前に死ねばよかったんだ!」


ヒロシ「酷し! あまりにも酷し! もぉ我慢できない! ぼかぁ行動を起こすぞ!」


マルぼん「やるなれ勝手にやればいいさ。マルぼんは止めないよ?」


 マルぼん余裕の表情。というのも、不良品機密道具を規制したり、被害者を救済する法律が、21世紀現在存在しないのであります。


ヒロシ「ぐぬぬっ。1人では無理でも、仲間がいればなんとかなるはずだ!」


 ヒロシは、「ワンダフリャフレンド」を通じて知り合った、自分と同じ境遇の友人たちに連絡をとり、協力を求めました。


タカシ「俺も機密道具で酷い目にあっているんだ。男なのに妊娠して、今や3児の親だっ」


マサエ「あたしは、故郷の村を焼かれたのよ。今やダムの底だ」


二右衛門「オラだってやってやるだ! 死んだじい様の敵さとったるだ!」


権太「日照り続きで村の畑が大変なのも、あいつらのせいだ! 一揆だ直訴だお祭りだ!」


ボブ「おいおい、ミーのことを忘れていないか? 力を貸すぜ」


コンスタンチン「私もだウォッカ! 立ち上がるでウォッカ。やってやるでウォッカ!」


李「アイヤー!!」


 こうして、国籍・性別・年齢を問わず、多くの仲間が集まったのです。彼らがまず始めたのは、署名活動でした。駅前等に集まって


            (めんどくさいので中略)


 そしてついに国が動きました。機密道具の品質に関する法律や、「未来からきた怪生物に不快な目にあわされたら、復讐とかしてもいいよ! 例えば、殺すとか死なすとか!」という法律が作られたのです。これらの法律は、運動のきっかけとなった金歯から「キンバー法」と名づけられ、多くの少年少女を救うことになるのでした。


ヒロシ(金歯。君のお蔭で国が動いたよ。君の死は無駄ではなかったんだ!)


 マルぼんを火炎放射器とかで処分しつつ、夜空の星を見上げ、亡き友へ想いを伝えるヒロシ。この後彼は、今回の運動で知り合った怪しげな団体の勧めで政治活動を始めて、それはそれは胡散臭くなるのでした。めでたしめでたし。



日記 | 11:13:12 | Trackback(0) | Comments(0)
ヒロシ、僕が僕であるために の巻

<前回までのあらすじ>


 あたし、大沼ピロ美! ヒロシお兄ちゃんの妹だよ! 


 株で大損こいたヒロシお兄ちゃんは、当面の生活費を工面すべく、漫画やゲームやDVDなんかを売り払おうと、近所の「そういうものを買い取ってくれる古本屋」へ向かったんだけど、いつもはすんなり買い取ってくれたそのお店で、身分証明証の提示が義務付けられるようになっちゃってたの!


 自動車の免許証も、諸事情で戸籍もないヒロシお兄ちゃんには、酷な話だよね。案の定、その場で壊れちゃって、「ワイがヒロシや! 大沼ヒロシなんやー!」と絶叫。号泣。失禁。あらあらうふふ。


 なんとか家に帰り着いたヒロシお兄ちゃんは、マルぼん(クズ)に「簡単に身分証明できるようになる機密道具だしてー」と泣きついて、マルぼん(生きる価値のないろくでなし)は、おカネ次第でどんな身分証明証も用意してくれる業者を紹介してくれたの。


業者「いくらだす」


ヒロシ「無料でおねがいしまーす♪」


 ところがこの業者、実は箸が落ちてもむかつくお年頃だったの。ヒロシの発言に激怒して、持っていた出刃包丁でヒロシお兄ちゃんのお腹を、それはもう、何度も何度も、めった刺し刺しめった刺し! 福本清三先生ばりの倒れ方をしたヒロシお兄ちゃんが、近場の病院に搬送され、大手術が行われたところまでが、前回までだったよね。


 今回のお話は、半年以上の入院を経て、ヒロシお兄ちゃんが退院してきたところからはじまります。


 それじゃ、これからもピロ美をよろしくね!


<前回までのあらすじ ここまで>




ヒロシ「しかしえらい目にあったよ。あと少しで、三途の川の向こう側へいっちまうところだった。はははは」


マルぼん「・・・・・・」


ヒロシ「どうした」


マルぼん「今までだまっていたけれど、マルぼん、実はもうすぐ死ぬんだ。具体的に言うと、あと10秒」


ヒロシ「なんだってー!」


マルぼん「しかもマルぼんの種族は、死ぬ時に炎上する。……ヒロシ、涅槃で待つ」


ヒロシ「ちょ」


 2012年。大沼宅は、よくわからない炎に包まれた! 焼け跡から、住人と思われる遺体が多数発見されました(たまたま、ママさんの過去のボーイフレンドが大集合する催しがひらかれていたのです)が、損傷が激しくて身元が判明しないものが多数。でも、ヒロシの遺体だけは、腹の手術跡が決め手となって、すぐに身元が特定されたのでありました。


 まさかあの業者、こうなることを予想して……。ちくしょう、泣かせるなぁ。完。



日記 | 22:22:22 | Trackback(0) | Comments(0)
sayonara
ヒロシ「わーん、マルぼーん」


マルぼん「どうした」


ヒロシ「今日、空き地に行ってみたら、ナウマン象と金歯のかわりに、よくわからないおっさん二人がいて『今日から我々が「マルぼんと暮らす」のガキ大将&イヤミキャラです』とか言ってんだよ」


 ガキ大将&イヤミキャラきどりで、いじめられたわけですが、大人のパワーで行われるそれは、既に暴力の域だったとかなかったとか。


マルぼん「で、ナウマン象と金歯はどうなったの?」


ヒロシ「なんかヘッドハンティングされて、別の町でガキ大将とイヤミキャラをやっているとか」


マルぼん「やつらをヘッドハンティングするとは、変わった趣味をもったやつがいるんだね」


ヒロシ「ぼ、僕もどこかにヘッドハンティングされたいよ」


マルぼん「なんの特技もねえのに、よくもまぁ、そんな願望をもつもんだね」


ヒロシ「どんな形でもいいから、ヘッドハンティングされたい~されたい~」


マルぼん「『ねらい目マーク』。このマークを体につけていると、なんの才能もなくてもヘッドハンティングされる」


 ヒロシはさっそく『ねらい目マーク』を体につけました。するといきなり、いかにも金持ってそうなおっさんがいきなり部屋に入ってきました。


おっさん「私はさる大会社の社長だが、きみをヘッドハンティングしたい」


ヒロシ「ま、まじですか! やたー!」


おっさん「正確には、君の一部分だけなのだけど」


 おっさんのうしろには、「ごめん。株でとちって」と申し訳なさそうな顔をしているママさんと、いつも臓器密売組織の人が。


 マルぼんは、ヒロシの腎臓と肝臓だけをヘッドハンティングしてしまった『ねらい目マーク』の効果は絶大だと思いました。


日記 | 11:43:47 | Trackback(0) | Comments(0)
しつけと称せばオールオッケー
マルぼん「すばらしい機密道具の登場だよ。『身代わり人形』。この体に自分の毛とかを埋め込めば、怪我をした際、その怪我によるダメージをこいつが引き受けてくれる。ダメージを引き受ける度、人形にはヒビが入る。ヒビが入りきって壊れるまで、効果は続くんだ。さぁ、ヒロシくん、こいつにキミの毛を!」


ヒロシ「なんかそれ、前も使った覚えがあるぞ。しかも欠陥があって、えらい目にあった気が」


 たしかに、ヒロシは『マルぼんと暮らす』の第231話「ヒロシのアニマル大作戦の巻」と、その後編にあたる第232話「涙(るい)は友を呼ぶ。悲しみと言う名の友を…の巻」で、『身代わり人形』を使っています。


『身代わり人形』には、「1回も使っていないにも関わらず、ちょっと落としただけで大破する」など耐久面で問題がありました。その欠陥のためヒロシはとんでもない目にあって心と体に深い傷を負いました。それだけではなく、財産も社会的地位も一気に失い、決まりかけていた妹さんの縁談も破談になりました。「ヒロシ兄さんは悪魔や。悪魔なんや!」とは、妹さん(現在は老人介護施設でケアマネをやっています)の談です。


マルぼん「これは改良型の『身代わり人形』なんだ。絶対に壊れない、永遠に使えるやつなんだってさ」


ヒロシ「本当に? まぁ、いいや。ちょっとこれから、1人で500人の敵と戦わなきゃいけない用事があるんで、とりあえず使わせてもらうよ」


 ヒロシは『身代わり人形』を受け取ると、自分の毛を埋め込みました。


ヒロシ「さて、これで……って、わわ!」


 なんということでしょう。あろうことかヒロシときたら、『身代わり人形』を落としてしまったのです。落ちた衝撃で、頭部にヒビが入る『身代わり人形』。


ヒロシ「まるで改良されていないじゃないか。すぐに壊れたぞ!」


マルぼん「まぁ、見てなよ。ほら、ヒビが修復していくだろう」


ヒロシ「あ」


マルぼん「ほら、完全にヒビがなくなった。説明書によると修復機能がついたらしいんだよ」


ヒロシ「うああああ」


マルぼん「どうしたヒロシ……って、ああ!」


 いつの間にか、ヒロシの頭部にヒビが入り、そこから血が噴出していました。まるで噴水です。ヒビが入っているのは、『身代わり人形』のヒビが入ったのと同じ箇所。


ヒロシ「いででででででで」


 苦しむヒロシですが、やがて頭部のヒビは自然に閉じていきました。すると、再び『身代わり人形』の頭部にヒビが。すぐさまヒビは修復され、なくなります。するとすると、再びヒロシの頭部にヒビが入り、赤い噴水。しばらくするとヒビは閉じて、『身代わり人形』にヒビ。


ヒロシ「いででででででで」


 マルぼんは改良型『身代わり人形』の説明書を熟読してみました。


説明書『今までは所有者の負ったダメージを人形が引き受けるようにしていましたが、それに加えて改良型では人形の受けたダメージを所有者が引き受けるようにもなっています』


説明書『その際に所有者が負ったダメージは、すぐに人形が引き受けます。その人形のダメージを所有者が引き受ける。ようするに、ダメージを永遠に行ったり来たりさせることで、人形が永遠に使えるようにしたのです』


説明書『なお、ダメージが行ったり来たりする過程で、痛みは若干残りますのでご了承ください』


ヒロシ「いででででででで!」


 ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ、ヒロシの頭にヒビ、人形の頭にヒビ……


ヒロシ「いででででででで!」




日記 | 13:01:26 | Trackback(0) | Comments(0)
親子で還ろう
 マルぼんが帰宅すると、ヒロシがママさんとケンカ中。まぁ、いつものことなんで、ニヤニヤと薄笑いを浮かべながら、ビール片手に様子を見守ることにしたマルぼん。



ヒロシ「だって約束したじゃないか。オトナのくせに約束をやぶるの!?」



ママさん「だから無理なものは無理なの! 納得なさい!」



ヒロシ「ちきしょー! 来世は絶対、母さんの子宮以外のところから誕生してやる!」



ママさん「私だって、あんたみたいなわからずやを天から授かるのは二度とごめんよ!」



 ケンカはすぐに終わってしまいました。おもしろくないマルぼん。どうにかエスカレートできないものかと、ヒロシに話しかけてみました。



マルぼん「ケンカの原因は?」



ヒロシ「母さんが、テストで100点を取ったら、『ゲポポマスアイランド』へ連れて行ってくれると約束したんだ」



 『ゲポポマスアイランド』とは、最近、微笑町近海の島にできた遊園地です。島そのものが遊園地になっており、「飲む・打つ・買う」を様々な角度から体験できるアトラクションが盛りだくさんの、人気のスポットです。



ヒロシ「で、この通りテストで100点を取ったんだ。にも関わらず、母さんのやつ『ゲポポマスアイランドには連れて行けない』とのたまいやがったんだよ! 約束をやぶりやがって!」



マルぼん「それは辛かろう。くやしかろう。ようがす。マルぼんがなんとかしましょう。『約束絶対手形』。これを持っていたら、たとえどんなことがあっても約束を破られない。」



 たとえば『誰かと映画を観にいく約束をしていたのに、映画館が閉まったいた』なんてことがあっても、『約束絶対手形』を持っていたら閉まっていたハズの映画館が開き、映画を観ることができるのです。



 ヒロシが『約束絶対手形』をマルぼんから受け取ると、ママさんがやってきました。



ママさん「さぁ、『ゲポポマスアイランド』へ行きましょう。約束したでしょ」



ヒロシ「やったー! それじゃあ、行ってくるね」



マルぼん「楽しんできな」



 ママさんとヒロシを見送る2人。



マルぼん「あれ、ちょっと待てよ。たしか『ゲポポマスアイランド』って」



 『ゲポポマスアイランド』は先週、地殻変動によって島ごと海に沈んだはず。今は海の底です。



警察官「こんにちは。実はこの家のヒロシさんとそのお母さんが、船で沖へと繰り出して、海へと身を投げたようなんです。場所は……ほら、この前、海に沈んだ遊園地があったでしょ。あのあたりです。今、懸命に捜索しているんですが……」



 マルぼんは、たとえどんなことがあっても約束を破られないようにできる『約束絶対手形』の効果は絶大だと思いました。


日記 | 13:03:20 | Trackback(0) | Comments(0)
「かなしきドールたち」の巻
ナウマン象「ヒロシを殺そうと思います」


ヒロシ「なんなの、唐突に!」


ナウマン象「俺もガキ大将のはしくれだし、まぁ、ここいら一発だな、大きな打ち上げ花火をだな、上げてだな。将来、その筋に入った時の箔にしたいんよ」」


ヒロシ「ひえー!」


ナウマン象「逃げるな! 一度でいいから殺されて! 一度でいいから!!」


ヒロシ「なんとか無事に逃げ延びてきたわけだけど、このままじゃ、本気で取り返しのつかぬことになりますよ? この僕は」


マルぼん「たしかになぁ。よし、こいつを使うか。『みがわり人形』。この人形に自分の髪の毛を1本植毛する。
すると、この人形は自分と同一の存在となり、自分がなにかダメージを受けた際は、この人形がそのダメージを肩代わりしてくれるんだ。肉体的ダメージであろうが精神的ダメージであろうが経済的ダメージであろうが、どんなダメージでも引き受けてくれる、超高性能な人形なの」


ヒロシ「こいつさえあれば、ナウマン象にどんな暴力をうけても大丈夫ってわけだね。よし。僕の髪の毛を植毛してみたよ」


ママさん「さぁ。部屋の掃除をするわよ。て、それは人形!」


マルぼん「人形がなにか?」


ママさん「私は、親の意志のまま、敷かれたレールをひたすら歩く生きた人形としてその半生を送ってきたから、人形と名のつくものは大嫌いなの! 壊す! ソノ人形ヲ破壊スル!」


ヒロシ「ひょえー! そいつを破壊されたら、僕は! 僕は!」


ママさん「コノ鈍器ノヨウナモノデ、 ソノ人形ヲ破壊スル!」


ヒロシ「あぶなーい!」


ママさん「死ねよやー!」


バコッ


ヒロシ「ぎゃー!!」


 人形の頭部がママさんの鈍器のようなもので殴打したかに見えた瞬間、ヒロシの頭部から血が噴出しました。ヒロシが人形をかばったのです。


ヒロシ「こ、これで、ぼくは、だい、だいじょう、ぶ…がく」


 マルぼんは、『みがわり人形』のみがわりになって致命傷を負ったヒロシのダメージは引き受けてくれない『みがわり人形』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 13:35:59 | Trackback(0) | Comments(0)

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