■プロフィール

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

■最近の記事
■最近のコメント

■最近のトラックバック

■月別アーカイブ
■カテゴリー
■FC2カウンター

■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
■ブロとも申請フォーム
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
「カモフラー銃で安穏の日々」の巻
ヒロシ「しまった! 絵の具を服にこぼしちまった! また母さんに虐げられる! マルぼん、なんとかごまかせる機密道具ない!?」


マルぼん「『カモフラー銃』。こいつで撃たれた人は、ごましたいことが見事にごまかされる」


ヒロシ「銃なの? 痛くない?」


マルぼん「多少はね。でも、体には無害だから。少しだけだから我慢しなよ」


ヒロシ「わかったよ。さぁ、そいつで僕を撃ってくれ」


マルぼん「よし」


 銃声が、青空に響きました。 


ヒロシ「う。少しどころか、鬼のように痛いのだけれども」


マルぼん「いけね。これ、『カモフラー銃』でなくて、マルぼんが護身用に所持している普通の拳銃だ。(最近、マルぼんの周囲には黒ずくめの怪しげな男たちがうろうろしているのです)」


ヒロシ「う、ううう。どさっ」


 倒れるヒロシ。傷口から流れ出る血が服を染めていき、ヒロシがこぼした絵の具……赤い絵の具は
みごとにごまかされ、わからなくなりました。マルぼんは『カモフラー銃』の効果は絶大だと思いました。



スポンサーサイト
日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「結局どうなったの、ゲーム脳の話」の巻
 ヒロシども微笑町のいつもの面々には、小学生という顔の他に裏の顔を持っているです。それは『ゲーム騎士団』の構成員という顔。


 21世紀。テレビゲームは驚くほどの進化を遂げましたが、、その急激な進化に隠れ、ゲームを悪事の手段に使う者がいました。彼の者の名は、ゲーム魔王。



 ゲーム魔王は、どんなゲームの中にも自在に入る事ができ、ゲームの内容をめちゃくちゃにしてしまいます。そしてプレイヤーを絶望させ、そのマイナスエネルギーを悪事に利用するのです。




 ふとしたきっかけで、ゲーム魔王の存在に気がついたマルぼんは、テレビゲームの世界に自由自在に入る事ができる機密道具『ゲームリンカー』をいつもの面々に配布し、ゲーム魔王の野望を打ち砕く『ゲーム騎士団』を結成したのです。


ヒロシ「ギャルゲーとエロゲーとグランセフトオートシリーズなら任せとけ!」


ナウマン象「連打ゲームと、歴史ゲーの武田信玄と高坂弾正がでるとこだけは任せな!」


大脳「シミュレーションやクイズゲームはお茶の子さいさいでヤンス!」


金歯「ゲーム? 金で雇ったゲーム名人がクリアするのを、横で見ているだけでおじゃる」


ルナちゃん「宗教上の理由でゲームはプレイできません」


 今日も、マルぼんとゲーム騎士団の戦いは続くのです。


ルナちゃん「三丁目の山田さんの家から、ゲーム魔王の反応が!」


マルぼん「よーし、ゲーム騎士団、ゴー!」


 さっそく、大挙して山田さんの家へと押しかけるゲーム騎士団。


山田「ゲームで遊んでいたら、突然、画面が暗くなってウンともスンともいわなくなったんだ!」


マルぼん「ゲーム魔王がゲームをめちゃくちゃにしようとしているんだ!
よし、みんな『ゲームリンカー』の準備はいいか! レッツ! ゲームイン!(掛け声)」


一同「ゲームイン!」


山田「あ! ゲーム騎士団の姿が忽然と消えたぞ! きっとゲーム世界に入ったんだ! 頼むぞ、ゲーム騎士団!」



 ここはゲームの中。


ルナちゃん「入ってはみたものの」


大脳「これはいったい、どういうゲームなんでヤンしょう」


金歯「あ、上からなにか落ちてくるでおじゃる」


ヒロシ「なんだ、なんだ、なんだ、アレは巨大な……ブロック? ……うわー!」


 ぶちっ。落ちてきたブロックに押しつぶれされ、ゲーム騎士団全滅! 完!




山田「はやく元に戻らないかな、僕の『テトリス』。頼むぞ、ゲーム騎士団!」



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「決斗! モノマネ四天王VS龍造寺四天王」の巻
 ヒロシのクラスに転校生きたる。ヤツはモノマネ名人で、有名人はもとより、『宇宙』『酸素』『てんぷらうどん』『金閣寺』『夢』『透明人間』などの、本物そっくりのモノマネで、たちまちクラスの連中を魅了! ナウマン象など、腕に『モノマネ名人命』と刺青を掘り、「それだけは止めろって言うたやないの! アンタって子は! アンタって子は!」と母親に泣かれる始末。


ヒロシ「僕もモノマネ名人になって、みんなにちやほやされたい」


マルぼん「『モノマ根』。ニバンセンジという木の根っこで、これを煎じて飲めば、モノマネがすごく上手になる。それこそ本物そっくりというくらい」


ヒロシ「そっくりじゃダメだよ。モノマネ名人のモノマネはまさに本物そのもの。生き写しくらいのレベルじゃないと勝てないよう」


マルぼん「『モノマ根』ならば大丈夫。モノマネの対象とほとんど生き写しの状態になるから。なぜなら、『モノマ根』にはモノマネの対象人物の現況の全てを、モノマネをする人にリアルタイムに伝える機能がついていて……」


ヒロシ「詳しい話はいいよ。よし、さっそく『モノマ根』を煎じて飲もう」


マルぼん「飲んだら、自分がモノマネしたい人のことをひたすら念じるんだ。そしたら、その人に生き写しになる」


ヒロシ「若手人気俳優の、金鶴ひも松。金鶴ひも松」


 しばらくすると、ヒロシの顔が金鶴ひも松の顔そのものに変化しました。顔だけではなく、背丈も、足の長さも、声も、金鶴ひも松そのものに。ただ、姿は裸でした。


マルぼん「さっきも言ったとおり、モノマネの対象とリアルタイムで生き写しになるから、対象がメイド服だったらモノマネする人も服装がメイド服に、裸だったら裸になるんさ」


ヒロシ「ということは、金鶴ひも松はいま裸なのか……」


マルぼん「どうした。憧れの金鶴ひも松に生き写しになったのに、元気ないな」


ヒロシ「うん、なんか……」


マルぼん「モノマネ対象の現在の気分とかも生き写しになるから、きっと金鶴ひも松の気分がすぐれないんだな」


ヒロシ「うぎゃー!」


 突然、ヒロシの首筋に切り傷ができました。傷から大量に血が出て、ヒロシは動かなくなりました。


 数時間後、マルぼんが気を取り直してテレビを観ていると


ニュース『若手俳優の金鶴ひも松さんが、別れ話のもつれで愛人に殺されました』


 マルぼんは、『モノマ根』の効果は絶大だと思いました。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「嵐を呼ぶぜ、家庭訪問(後編)」の巻
あらすじ

 新しいゲーム(女の子と愛をはぐくむゲーム)を買ったヒロシは、ゲームを堪能するべく、仮病を使って学校を休んだ。ところがどっこい、心配した担任のデモシカ先生が「放課後、様子を見に伺います」と連絡してきたから
さぁ大変。このままでは仮病がバレてしまう!? 一方、自分の父親が、殺されたジェファーソンではなく、今まで影に日向に支えてくれた五兵衛であることを知った紅蝿のお吉は、殺意という名のナイフを研ぎ澄まし、コンサートの開始を待つのであった。果たして名探偵アブラダモモメットはお吉の凶行を阻止できるのでしょうか。


ヒロシ「どうしよう。どうしよう。仮病がバレたら、えらい目に合わされるよ! 体罰じゃすまない、もっと高次元の罰を与えられるよ!」


マルぼん「病気の演技をするしかないな」


ヒロシ「そ、そうだね……ってだめだ!」


 ヒロシのバカは、学校に休みの連絡をする際「病気です」と言わずに「ケガをしてしまって」と言ってしまったのです。


ヒロシ「ケガをしていないと、すぐにばれてしまうよう!」


マルぼん「じゃあ、この鈍器のようなもので今から君を殴って、傷を負わせるよ」


ヒロシ「勘弁しておくれよ! ねえ、実際はケガをしていないのにケガをしているかのように見える機密道具をだして!」


マルぼん「『仮ケガ包帯』。この包帯を巻いた人、実際はケガなんてしていなくても軽いケガを負っているように見える。仮病ならぬ仮ケガの状態になるんだ」


ヒロシ「よし、デモシカが来る前にこの包帯を……」


ママさん「ヒロ君! 学校をさぼってなにをやっているの!」


ヒロシ「かあさん!」


ママさん「まったくあきれたワラシだよ! おまえのようなワラシには、おまえのようなワラシには、おまえのようなワラシには」


ママさん「しつけが必要ね!!!」


 そして


デモシカ「大沼。すごい傷じゃないか。これはまるで、鈍器のようなもので殴られたできたような傷」


ママさん「いやだわ、先生ったら。鈍器のようなものなんて。これはたんなる、転んでできたケガ。転んでできた軽いケガ。傷なんてたいそうなものじゃございません。そうよね、ヒロ君」


ヒロシ「……」


ママさん「さっき練習したでしょう。ケガよね? 転んでできたケガ。鈍器のようなもので殴られてできた傷じゃないわよね?」


ヒロシ「ハイ、コレハコロンデデキタケガデス。オカアサンハ、ボクヲ鈍器ノヨウナモノデナグッタリハシテイマセン」


ママさん「ケガなんです。たんなる転んでできたケガ。傷なんかじゃないのです。だから先生、然るべき機関に通報なんてしないでくださいね」


 マルぼんは、疑惑の傷口もたんなるケガにしてしまった『仮ケガ包帯』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「なによりも健康を愛す」の巻
 暴飲暴食。過度な飲酒喫煙。不規則な睡眠時間に、偏った食生活。外出キライ自分の部屋サイコー。大沼ヒロシという人間は、不健康の塊です。不健康の権化です。不健康そのものです。


マルぼんからのお願い:未成年の飲酒喫煙は法律で禁止されています。大沼ヒロシは命の価値を知らないバカなので、躊躇なくやってしまっております。皆さんは絶対に真似しないでくださいね


 ヒロシに早死にされたら困るマルぼんは、ヒロシを健康にするため、とある機密道具を出すことを決意しました。


マルぼん「この等身大美少女フィギュアを見てみな」


ヒロシ「興味ないね」


マルぼん「いいから、見てみろよ。こいつ……動くぜ」


ヒロシ「え、マジで?」


マルぼん「おうともよ。このスイッチを押してみな」


 ポチっとな


フィギュア「……」


ヒロシ「あ、動いた!」


フィギュア「なにあんた、気色悪い」


ヒロシ「!」


フィギュア「近寄らないでくれる」


ヒロシ「!!」


フィギュア「蛆虫」


ヒロシ「!!!」


フィギュア「醜い豚」


ヒロシ「!!!!」




マルぼん「この動くフィギュアはね、好感度が設定されている。その好感度はスイッチを押した人の健康状態と比例しているんだ。スイッチを押した人が健康なら、このフィギュアの好感度が上がり、ものすごく甘えてきたり、萌えるイベントがわんさか起こる。18禁なイベントだっておこる。スイッチを押した人が不健康なら、好感度が下がり、冷たい態度を取られる。今フィギュアが暴言を吐いたのは、キミが不健康だからさ。いいかい、このフィギュアと色々イベントを起こしたければ、生活を改めて」


ヒロシ「罵って!」


フィギュア「豚!」


ヒロシ「もっと! 激しく!」


 ヒロシはMだったので、冷たい態度は望むところでした。


ヒロシ「もっともっと、冷たくしてもらいたい!」


 こうしてヒロシは自ら進んで不健康になるように努めました。そして10年後に短い生涯を終えました。完。




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「天才画家、死す」の巻
ヒロシ「サイン会を」


マルぼん「開催しろだって?」


ナウマン象「おうよ。孤高の天才画家・ナウマン象さまのサイン会を開催してえんだ」


 お忘れのかたも多いでしょうが、われらがガキ大将・ナウマン象さんには、絵画という趣味がございます。恐ろしいほど下手で、気の弱い人ナウマン象作の絵を見たら発狂したり石化したりする恐れがあり、妊婦が見ると生まれてくる子供は尻尾とか生えてきます。絵の近くで写真を撮ると、なんか半透明の人間とかが写ったりするそうです。本人は自分の絵の腕前を「素晴らしい」と思い込んでおり、秋葉原や大阪日本橋の画廊で個展を催しては、なんの罪科もないオタクさんたちに絵を高値で売りつけたりしています。いったい、オタクさんが何人死んだと思っているんだ! 人が死んでるんやで! いいかげんにしろよ!


 そんなナウマン象が、サイン会。サイン会をしろと要求してきたのです。正気の沙汰じゃありません。


マルぼん「サイン会か…開催しようと思えば開催できるけど、先立つモノがそれなりにいるよ?」


ナウマン象「無料にしないと殺す。おまえの女房も子供も」


マルぼん「刃物を仕舞ってください! サイン会は無理ですけど、色々な人にサインをしてあげられる立場になれる機密道具なら無料でイケます!」


ナウマン象「おう、それでいいや。よこせ」


マルぼん「『サインコカイン』。このコカインを摂取するとだね、ひひひ。みんなにサインをしてあげられる立場になる」


ナウマン象「はぁ~きくー」


『サインコカイン』を注射器で摂取すると、ナウマン象は笑顔で帰っていきました。


 数日後。


ヒロシ「なんか、ナウマン象の様子がおかしかったよ。異様に激ヤセして」


金歯「体中にアザがあったでおじゃる」


ルナちゃん「ご両親らしき男女と歩いているのを目撃したんだけど、あの時、悲しい目をしてこっちを見ていたわ、ナウマン象さん」


マルぼん「なんだろうね」


 子供の、なにかを訴えるサインを見逃さない大人になりたいものです。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「名前」の巻
ヒロシ「この度、ハンドルネームを変更することにいたしました。ヒロシ改め『エターナルカイザー零式』です。以後よろしく」


マルぼん「なにその、僕の考えたオリジナルロボット未満のハンドルネーム。よしなよ。色々痛いよ」


ヒロシ改めエターナルカイザー零式「うっさい。うっさい! 僕の考えたハンドルネームにケチをつけんな!」



マルぼん「マルぼんはきみのことを思って言ってるんだ。そうだ、この『ネーミング機』で君に適したハンドルネームを作ってあげる。えっと、でました。『腐れ儒者』だって。これでいきなよ」


ヒロシ改めエターナルカイザー零式改め腐れ儒者「そんなハンドルごめんこうむる! 僕はエターナルカイザー零式!」


マルぼん「よしなよ! おすすめできないよ!」


ヒロシ改めエターナルカイザー零式改め腐れ儒者改めエターナルカイザー零式「うっさい! 僕にさわんな! えいっ」


ばきっ


マルぼん「うっ」


ヒロシ改めエターナルカイザー零式改め腐れ儒者改めエターナルカイザー零式「ど、どうしたのマルぼん。悪いところにでも当たった!? ご、ごめんよ。ねえ、大丈夫…」


マルぼん「……」


ママさん「きゃー!!人殺し!!」


ヒロシ改めエターナルカイザー零式改め腐れ儒者改めエターナルカイザー零式「ち、ちがうのです。これちがうのですー!!」


ママさん「警察よんで~!! 警察~!!」


そして


ニュース『マルぼん氏を器物破損したとして、
微笑署はマルぼん氏の同居人であるA少年(小学生)を補導し事情を聞いています』



 こうして、ヒロシ改めエターナルカイザー零式改め腐れ儒者改めエターナルカイザー零式には『A少年』という立派なハンドルネームがついたのでした。


 マルぼんは『ネーミング機』の効果は絶大だと思いました。草葉の陰で。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ヒロシ、マンガスキ。ヒロシ、ゲンジツキライ」の巻
ヒロシ「うへ、うへ、うへへへへへへ。ひひ、ひひひひひひ、あはははははははは、ひゃひゃひゃひゃひゃひ!」



マルぼん「なになに発狂?」


ヒロシ「ちがうよう。これを読んでいたの。この漫画を。瀬戸際太郎先生の『愛と魔法の双子 ズングリとムックリ』の最新刊だよ」


マルぼん「瀬戸際太郎? 誰それ。『ズングリとムックリ』? なにそれ」


ヒロシ「知らぬと? 瀬戸際太郎先生と、その作品を知らぬと!?」


 ヒロシの話によると、瀬戸際太郎は元々は同人誌でオリジナル作品をほそぼそと発表していた漫画家さんだったのですが、ついに商業誌デビュー。『シェフの友社』からでている「少年ポリノークマサーン」という雑誌で『ズングリとムックリ』の連載を開始したとのことでした。


マルぼん「マルぼんも漫画は好きだけど、瀬戸際太郎という人は知らなかったよ。そもそも『少年ポリノークマサーン』なんて雑誌、見たことも聞いたこともない」


ヒロシ「かなりのマイナー誌だからねえ。売り上げも悪いし……ああ。アホみたいに売れるメジャー誌で連載を持てたら、瀬戸際太郎先生の認知度もあがるだろうに」


マルぼん「それならこれを使ってみるか。『脚光ライト』。このライトから照らされる光を浴びたら、その人は日の目を見るようになる」


 マルぼんとヒロシは、さっそく『脚光ライト』をもって瀬戸際太郎の自宅へと向かいました。


瀬戸際太郎「だれだ、だれだお前たちは!」


 突然現れたあやしい2人組に、びっくりする瀬戸際太郎。さっさと仕事を終わらせようと、『脚光ライト』の光を浴びせました。


瀬戸際太郎「まぶしい! 光が、光が!」


マルぼん「それ、退散だ」


ヒロシ「これで瀬戸際先生も、メジャー作家だよ。そのうち、ものすごく売れる雑誌で連載を持ったりするだろうね」


 しばらく後。近場の本屋。


ヒロシ「あ、ルナちゃんだ。店員となにか話しているぞ」


ルナちゃん「『月刊・汚れた現実聖なる真実』の今月号、あるだけ全部下さい」


ヒロシ「え? なんで同じ雑誌を何冊も買うのさ」


ルナちゃん「『月刊・汚れた現実聖なる真実』はうちの教団が出している雑誌なの。心が清らかになる読み物がたくさん載っているから、ご近所の人に配るのよ。別に『教団内でノルマがあって本をたくさん買った人は位があがる』とか『位目当てで自腹で大量購入したものの、おき場所がないので無料で配っている』ってわけじゃないから」


中年女性「『月刊・汚れた現実聖なる真実』の今月号をあるだけ……あ! ルナちゃん!」


ルナちゃん「うふふ。残念ね、この店のは全て私が買い取らせていただいたわ」


中年女性「ムキー!!」


ヒロシ「なるほどなるほど。本屋で発表される売り上げランキングとかで、よく宗教系の本が上位にランクされていて不思議だったんだけど、信者の方が買い占めたりしているからなんだな」


マルぼん「おい、ヒロシ。ルナちゃんから『月刊・汚れた現実聖なる真実』の今月号をもらったんだけど、
ちょっとこれ見てみろよ」


ヒロシ「あ、これは!」


『月刊・汚れた現実聖なる真実』の表紙には、「新連載漫画 真実少年エターナル・マコト 作・瀬戸際太郎」の文字が。「真実少年エターナル・マコト」は、お布施が大好きなマコト少年が、ある日『聖なる現実の力』に目覚めて、『汚れた現実』(お布施をしない信者、信者になった娘を取り戻そうと活動している家族、被害者の会、教団に批判的な記事を書く週刊誌、政財界にも顔が広い他の宗教等)を倒していくというストーリーの漫画でした。マコト少年が敵を聖なる真実の力で倒すときのキメ台詞『聖なる真実 悟れば極楽』が心底キモかったです。


ヒロシ「な、なんでこんな雑誌に連載を! こんなキモい漫画の連載を!」


マルぼん「新連載を祝って、瀬戸際太郎のインタビューが載っているよ」




インタビューより一部抜粋

 1人で仕事をしているとき、突然、怪しい2人組が家に現れたのです。2人組は私に光を浴びせると、どこかへ去っていってしまいました。あまりに不思議なことだったのでしばらく呆然としていると、そこへ、教団の方が偶然にも勧誘に来られたのです。私はさきほど起こった不思議な出来事について夢中で話しました。すると教団の方は「現れたのは、おそらく天使です。天使が浴びせたのは、聖なる真実の光。すばらしい。天使は、長年修行をつんだ人でも会うことができな存在です。あなたはきっと、生まれながらにして聖なる真実に近い存在なのです。すばらしい。すばらしい」。この言葉に感動した私は、教団への入信を決意しました。そして、聖なる真実のすばらしさと汚れた現実の愚かさを人々に伝えるため、得意の漫画を活かすことにしたのです」



 マルぼんは、瀬戸際太郎先生が抜群の売り上げを誇る雑誌で連載が持てるようにした『脚光ライト』の
効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「これはお仕置き、お仕置きにすぎないのです」の巻
ママさん「ヒロシ! また、テストで89点とったわね!


ヒロシ「89点だったら、そこそこかと」


ママさん「バカ息子! 100点以外は0点と同じ! 罰として、仕置き部屋よ!」


ヒロシ「仕置き部屋! あれだけは堪忍してください!」


ママさん「むーりー」


 仕置き部屋。大沼家の奥深くにある、脅威の仕置き施設です。人が1人、立って入るのがやっとという狭さで、座ることもしゃがむこともできません。入った人は、ただ立つことしかできないのです。壁の色は真っ白。窓はなく、電気も通っていないので、夜は本当に真っ暗になります。夏はただひたすら暑く、冬はただひたすら寒い、そんな感じです。大沼家でなにかやらかした人は、1週間、この部屋に入れられるのです。ヒロシの遠い親戚にあたる大沼某という人はつまみ食いをやらかしてこの部屋に3週間入れられて、出されたときは髪が真っ白になって発狂していて、現在も山奥の病院で療養しているということです。


ヒロシ「おーたーすーけー!」


 そしてヒロシもついに、この仕置き部屋に閉じ込められてしもうたのです。


ヒロシ「やばいやばい、このままじゃ僕は発狂してしまうよ! たすけて!」


 泣き叫び失禁するヒロシ。と、そのとき。仕置き部屋の壁が突然崩れ始めたではありませんか。


ヒロシ「こ、これは」


マルぼん「助けに来たよ」


ヒロシ「ありがとうマルぼん! でも、いかにしてこの壁を崩したの?」


マルぼん「こいつを使ったのさ」


 マルぼんは小さなツボを持っていました。そのツボの中には、無数のシロアリが……


マルぼん「こいつは未来の世界のシロアリさ。品種改良されていて、どんな分厚い壁も喰い破ることができる。こいつで仕置き部屋の壁を崩したんだ」


ヒロシ「すごいや、さっすがマルぼん」


マルぼん「このシロアリにかかれば鋼鉄の壁であろうがなんだろうが、光の速さで喰い崩してしまうよ」


山田「あ。大沼じゃないか」


ヒロシ「あ。山田じゃないか」


マルぼん「ヒロシと同じ野球部に所属している山田くんか」


山田「いまから練習です。がんばって練習して、絶対にレギュラーになるんです」


ヒロシ「まぁ、がんばりなよ。レギュラーの座は、渡さないよ?」


 ヒロシ、実は野球部のレギュラーメンバーなのです。そして山田くんとヒロシはレギュラーの座をめぐったライバル同士。


山田「ふふふ。僕は絶対に大沼……キミを乗り越えてみせるよ。キミという名の壁を!」


 そのとき、ツボから出てきたシロアリどもが、ヒロシに群がりはじめました。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「はれるやーはながちってもー」の巻
ヒロシ「ああ、今日は雨か。雨が降ったら学校を休む。これが僕のジャスティス。さぁ、マルぼん。僕のゲーム機をだしておくれ」


マルぼん「おいおい。雨が降ったら休むなんて南国ライフ、現代日本では不可能ですよ」


ヒロシ「やすむーやすむー」


マルぼん「仕方がないな。こいつを使うか。『ハレル矢』~」


ヒロシ「その矢はなんだい? ま、まさかそれで僕を」


 マルぼんは、取り出した『ハレル矢』をボーガンにセットしました。


マルぼん「シュート!」


 マルぼん、空に広がる雨雲に向かい、『ハレル矢』を放ちます。矢はものすごい勢いで飛んでいき、雨雲に吸い込まれるように消えていきます。そして。


ヒロシ「雨雲が散った!」


マルぼん「『ハレル矢』は雨雲を散らし、大空に晴れをもたらしてくれる機密道具なんだ」


ヒロシ「すごいや。これでどんな悪天候でも、いつでも青空だね!」


 そんなわけで、ヒロシは悪天候になるたびに『ハレル矢』で雨雲を散らし、晴れをもたらすようになりました。
彼は天気王になったのです。


ヒロシ「おや、今日も雨だね。よし『ハレル矢』の出番だ。ボーガンにセットして、と」


マルぼん「あれ、『ハレル矢』はこの前使い切って、新しいのを注文している最中なんだけど」


ヒロシ「でも、ここに1本残っていたよ。ではさっそく、シュート!」


マルぼん「あ、それ、マルぼんが趣味の狩猟で使っている弓矢セットの矢だ。ごく普通の矢だよ」


ヒロシ「へ?」


 雨雲に向かって放たれた普通の矢は当然空に届くわけもなく、そのまま落ちてきました。落ちてきた矢は、落ちてきた矢は、ヒロシにむかって、ヒロシの頭にむかって


ヒロシ「ギニャー!!」


マルぼん「ヒロシー!」




ナウマン象「ヒロシがアレしたらしいな」


金歯「あいつ、最近、調子に乗っていたから天罰が下ったのでおじゃるよ」


ナウマン象「ざまあみろ、だな。あははははは」


金歯「あーいい気分でおじゃる。おほほほほほほほほほ」


 マルぼんは、ナウマン象と金歯の気分も晴らした『ハレル矢』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ゆっくり寝ようぜ、ぼくらは仲間」の巻
ヒロシ「明日は試験だけど、勉強はカケラもしていない。でも、僕、眠る」


 男らしく宣言するヒロシですが、その目はどこか切なげで、足は震えていました。


ヒロシ「ママが言うんや。赤点とったら市中引き廻しだって」


マルぼん「ゆとり教育くそくらえ、だね」


ヒロシ「それなのに勉強せずに寝ようというんだよ、僕は。止めるなら、いまだぞ」


マルぼん「寝たらええやん」


ヒロシ「正直に言います。お願いですから、一夜づけでなんとかなる機密道具を出してください」


 土下座してマルぼんの足を舐めて懇願するヒロシ。マルぼんも1人の女。こんなことをされたらたまりません。機密道具を出してあげることにしました。


マルぼん「このヘルメットを被って眠るといいわ」


ヒロシ「これは」


マルぼん「こいつは眠りながらなんでもできるヘルメットよ。こいつを被って眠ると、体が自動的に動き、そのとき一番やらなくてはいけないことを勝手にやってくれるの。マラソンしなきゃいけない人だと、眠りながらマラソンする。勉強しなきゃいけない人だと、眠りながら勉強する。さぁ、被って眠りなさい」


ヒロシ「で、でも」


マルぼん「口答えしないで!」


 マルぼんはヘルメットをヒロシに被せると、鈍器のようなもので後頭部を殴打して無理矢理眠らせました。
で、翌日。学校から帰ってきたヒロシは


ヒロシ「すげえ! 試験余裕でしたよ!」


 起きるなり、ヒロシが叫びました。


マルぼん「そのヘルメットの力で、あなたは昨夜、眠りながら勉強していのよ。ほぼひと晩。そのおかげね」



ヒロシ「すごいヘルメットだよ。眠りながらどんなこともできるんだね。よし、これからはこのヘルメット
を常に被り、眠りながらいやなことをやってしまおう!」


 数日後、衰弱したヒロシは病院のベッドにいました。毎晩ヘルメットを被って眠り、勉強や運動などの嫌いなこと眠っている間に済ますようになったので、当然です。本来、体力を回復すべき睡眠時間に体を動かしているのだから当然のことなのです。


 その日の夜、ヒロシは眠るように息を引き取りました。眠りながら、逝ったのです。それがヘルメットの効果であるかどうかは、神のみぞ知ることです。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「努力だって、時には裏切ることもある」の巻
ヒロシ「痛いっ」


女「あ、ご、ごめんなさい!」


ヒロシ「いつつつ。今のは痛かった」


女「すいません、すいません、私、まだ慣れていなくて、そのせいでへたくそで」


ヒロシ「気にせんでください。昔から、痛いというのは相場が決まっているんですから」


女「で、でもベテランの人なんかは、ほとんど痛みを感じさせることなく終わらせることができるんですよ。
私ももっと練習しないと……でも、下手だからなかなかやらせてもらえなくて」


ヒロシ「日常的に練習する機会があればいいんだけど、こればっかりはねえ」


マルぼん「はい『機会到来機』。こいつはどんな『機会』でも呼び寄せることができる機密道具なの。これさえつかえば、貴女がそれを練習する機会が佃煮にするほどやってきますよ」


女「あ、ありがとうございます。これでがんばって練習します」


ヒロシ「がんばってくださいね」


その帰り道。


マルぼん「さっきの女性ののことを考えているの?」


ヒロシ「うん。がんばって練習して、立派になって欲しいなぁ。あの、注射の下手な看護師さん」





ニュース『逮捕されたのは、微笑町に住む看護師の女性です。この女性は、大量の覚せい剤と注射器を所持しているところを警官に見つかり……』



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「なに勘違いしているんだ。俺の正月はまだ終わっちゃいねえぜ」の巻
 時はさかのぼります。今年の正月終盤まで。


ヒロシ「はふー」


マルぼん「どうしたんだよ、カレンダーを見つめてため息なんてついて」


ヒロシ「いや、ね。明日から学校なんだよ。正月気分も今日までだなぁ、と想って」


マルぼん「すばやく気持ちを切り替えることができるし、いいと思うけどな」


ヒロシ「せめてさぁ、1月中くらいは正月気分を味わいたいな。毎月あることでもないんだし」


マルぼん「そうかぁ。わかった。こいつを使おう。『正月ムード鏡餅』。こいつを飾っている部屋には、常に正月ムードが……」


「きゃー!」。マルぼんの台詞は、絹を裂くような女性の悲鳴で中断してしまいました。声は外からしました。マルぼんとヒロシが窓を開けて外を見てみると


変質者「ち、ちかよると、自爆するどぉ!」


 両手にダイナマイトを持った、生まれたままの姿の男が、通行人に悪態をついているではありませんか。


変質者「生まれ変わったら、幸せな人生じゃ!」


 ドウッ。ダイナマイトで自爆する変質者。


ヒロシ「ぎゃー!」


 悲鳴をあげるヒロシ。ダイナマイトで粉々になった男の肉片が、ヒロシの顔にへばりついていたのです。


 そして今日。


ヒロシ「う、取れない。取れないよ、肉片がとれない。とれないよぉ」


 あの正月のことを思い出し、今日もヒロシはうなされています。おそらくはこの血塗られた正月のことを、彼が忘れる事はないでしょう。マルぼんは、いつまでも正月気分のままでいさせてくれる『正月ムード鏡餅』の
効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「現実はクソゲー」の巻
 マルぼんが帰宅すると、ヒロシ、ゲーム機のカセット差仕組み口に手を突っ込んで「どうして、ねえ、どうして!?」と絶叫しておりました。マルぼんが「どうしたんだい」と尋ねてみると


ヒロシ「ゲームの中の僕(の操作するプレイヤーキャラクター)は、恋に魔法に友情に冒険に、さわやかな汗を流しているってのに、現実の僕ときたらろくでなしの人生をただ無駄に送るばかり。だから僕は、ゲームの世界で生きることを決意したんだ! とりあえず、ゲーム世界への入り口らしきものがカセットの差込口しかなかったから、そこから入ろうかと」


 ヒロシくんのおとうさん。ヒロシくんのおかあさん。あながたの愛の結晶は、よりにもよってこんな成長を遂げてしまいましたよ。


ヒロシ「きーみーつーどーうーぐー」


マルぼん「はい『リアルプレイヤー』.みらいのせかいの人気ゲーム機さ」


ヒロシ「ファミコンのパチモン?」


マルぼん「一見そう見えるけど、ちがうよ。ここの差込口に好きなカセットをセットする。で、電源を入れるとそのゲームのキャラクターに身も心も変身することができるんだ」


ヒロシ「それはおもしろそうだねえ」


マルぼん「好きなカセット、だしてみ」


ヒロシ「それならこれかな。ものすごくやりこんだ思い出のあるゲーム」


 ヒロシはそのカセットを『リアルプレイヤー』にセットすると電源をいれました。


マルぼん「どんなゲームなの」


ヒロシ「オーソドックスな、剣と魔法のRPGだよ。ところで、ゲームのキャラクターになるというけど、
どのキャラクターになるとかわかるの?」


マルぼん「君にもっともふさわしいど『リアルプレイヤー』が判断したキャラクターだよ」


ヒロシ「そうなんだ。いったい僕はどのキャラクターになるんだろう。勇者かな。ラスボスの魔王だったりして。あ、なんだか、ねむく……」


マルぼん「目覚めたとき、君の心はゲームのキャラクターになっているよ」


ヒロシ「むにゃむにゃ」




『あ、もしもし。警察ですか? はい、事件というほどでもないのですが、家の前を変な人がうろうろしているんです。追い払ってもすぐに戻ってきて、家の前を徘徊するんです。右に行くかと思えば突然左を向いたり、左へ行くかと思えば突然右へ行ったり、動きが不気味なんですよ。しかも、何度話しかけても同じ返事しかしないのですよ。「武器や防具は持っているだけではいみがない。きちんと装備するんだ」としか言わないんです。
もう気持ち悪くて気持ち悪くて。あ、すぐに来てくれますか。ありがとうございます。さっさと射殺してくださいね』



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「この現実からの逃亡」の巻
「嫌いなものを答えてみろよ」と言われれば、「現実」と即答するのがヒロシという人間なのです。


ヒロシ「だから僕らは、現実からエクソダスすることを決意したんだ!」


マルぼん「誰もが夢見ても口に出さない事を、よくもまぁ、平然と口にできるね」


ナウマン象「実は」


金歯「朕たちも」


ルナちゃん「現実に嫌気がさしたのよう!」


ヒロシ「こんなにアンチ現実の仲間が集ったんだ。協力してくれるよね。僕を現実という名の檻から脱出させてくれる機密道具、出してくれるよね」


マルぼん「そうさなぁ、こいつなんていかがだろう。『ブックパスポート』。こいつを身につけていたら、本の中に入る事ができる。さらには、本の内容をまるで現実のように体験することができるんだ。まぁ、時間はたったの3時間だけど、軽い現実逃避ならできるだろう」


ヒロシ「それはすごいや。幸いみんな、自分の好きな本を持ってきている。さっそく『ブックパスポート』を
使って、本の中に入ってみよう」


 ナウマン象たちは『ブックパスポート』を身につけると、持参した本の中に入っていきました。


マルぼん「おうおう。みんなが入った本から、歓喜の声があがってくるぞ」


ルナちゃん「私、わかったよ。真にピュアなる力は、欲望にまみれた世界を浄化し、黄金の法律に守られし清浄なる銀の世界がはじまるんだ。黄金の世紀がはじまるんだ。さぁ、いこう! 聖なる言葉エテカントーレ!」


マルぼん「ルナちゃんの本は、ギュルペペ教教祖の著書『聖なる風~黄金の谷への永久なる旅路~』か」


金歯「ああん! グレアム・ヤングさま! 朕を毒殺してえ! ああ、あちらにはエドワード・ゲインさま! ああん! 朕の皮を剥いでえ!」


ナウマン象「おやかたさまぁ! 今夜は俺が、今夜は俺が高坂弾正です! ああ、ああ! 夜の甲陽軍艦ー!!」


マルぼん「ナウマン象は『衆道の戦国史』かー。そういやヒロシはどうだろう」


 ヒロシが入っている本は、3年前くらいに買ってきて以来、ブックカバーをつけたまま放置していたもの。本人もなんの本か思い出せないものです。確認の意味も込めてこの本に入ったのですが……


ヒロシ「たすけて!」


マルぼん「ヒロシ?」


ヒロシ「た、たすけ、たすけたす、たす! 無だ、全て、無だ! 白い。白い! 白が迫ってくる! 無が迫ってくる! 無! 白! 無! 白! 無! 白!あひゃひゃひゃ! この世は全て、無さー!」


マルぼん「ヒロシが発狂した!」


 マルぼんは、ヒロシが入った本を確認してみました。『マイブック』というタイトルのその本には、『日記にしてよし、メモにしてよし、絵を描いてよし、小説を書いてよし、何をするのもあなた次第。最初は400ページ白紙オンリーのこの本ですが、しばらくすれば、かけがえのないあなただけの本になる!』という煽り文が書かれた帯がついていました。中身は当然、白紙でした。


 マルぼんは、どんな本にも入ることができる『ブックパスポート』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「さぁ、今日こそ早くおうちに帰るぞ! それが夢に終わることを、ぼくは数時間に知るのでありました」の巻
ナウマン象「年賀状のお年玉クジで2等の『地域の特産物セット』が見事当選したぜえ!」


ヒロシ「うらやましい! マルぼん、うちの年賀状も調べてみようよ!」


マルぼん「喪中だったから年賀状など来ていないよ。一枚も」


ヒロシ「なら、普通のハガキ」


マルぼん「普通のハガキに年賀状クジがついているわけねえだろ、どアホ!」


ヒロシ「不公平だ! なんで年賀状だけ優遇するんだ。これは差別だ。普通のハガキに対する差別だ! 我々は不当な差別にたいしては、死ぬまで闘うぞ。立ち上がれ同志よ! 火炎瓶もってこい! 木材もってこい!」


 放っておくとうざいことになりそうなので、マルぼんは機密道具をだしてあげることにしました。


マルぼん「『クジつけ指輪』。この指輪をつけて買い物をすると、買ったものにクジがついている。それが当たりクジならば素敵な賞品プレゼント」


ヒロシ「わ! そいつはいいや!」


 ヒロシはさっそく、『クジつけ指輪』を装備して買い物に出かけました。行きつけの本屋で漫画を買うと、漫画の表紙にになにやら10ケタの数字が印刷されています。これがクジ番号です。これが当たり番号ならばいいのですが……


店員「見事当選です!」


ヒロシ「やた!」


店員「こちら、3等の切手シートです」


ヒロシ「ありがとうございます! って、本は? 僕が買った本は?」


店員「賞品は、当たりクジと引き換えになっておりますので。当店のほうで回収させていただきました」


ヒロシ「……」


ママさん「あら、ヒロくん」


ヒロシ「あ、おかあさん」


ママさん「その指輪はなに? そんなもの小学生が持っていてはダメでしょう。ちょっと貸しなさい。息子のもの(命含む)は母のもの 母のものは母のもの」


ヒロシ「あ」


 ヒロシから奪った『クジつけ指輪』を当たり前のように身につけるママさん。


ヒロシ「ところでどこに行くのさ」


ママさん「不動産屋よ」


ヒロシ「不動産…ってことは、まさか!」


ママさん「そう、ついに資金が貯まったから、今から契約に……いよいよ契約にいくの! 夢のマイホームよ! ああ、数年間身を(主にヒロシの身、とくに臓器)粉にして貯金した甲斐があったわ!」


ヒロシ「やった! マイホームマイホーム!」


 数ヵ月後。クジは見事当たっており、大沼家は一等のDVDレコーダーをゲットしました。当たりクジは当然、商品であるDVDレコーダーと交換で、突然現れた屈強な男たちの手によって光の速さで解体され、あっという間に回収されていきました。大沼家には、DVDレコーダーと莫大なローンと何も建っていない土地だけが残りました。完。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「絶愛」の巻
ナウマン象「きえー!!」


金歯「ぎゃふ!」


ヒロシ「ああ! 金歯が一撃で沈められたられた!」


ナウマン象「がははは。俺様の勝利だー!」


金歯「ちくしょう。口げんかなら、あんなやつに負けないのにでおじゃる」


マルぼん「自分の『自分のフィールドリング』。こいつをつけて戦えば、勝負の内容を自分の得意なものに強制的に変更できる。編み物が得意な人がつけたら、勝負がセーター早編み競争とかになるんだ」


金歯「よし、こいつをつけて、勝負を口げんかにしてやるでおじゃる!」


『自分のフィールドリング』を装備する金歯。


金歯「さぁ、こい…んん?!」


 金歯の言葉は途中で途切れました。ナウマン象が金歯の唇を、己のそれで塞いだのです。


ヒロシ「キスだ!」


ルナちゃん「ボーイズラブよ! ボーイズラブよ!! ボーイズラブよ!!! うきー!」


マルぼん「あれはボーイラブじゃないよ。口げんか。みらいのせかいでは、口げんかは本当に口同士のケンカを
意味するんだ」


ヒロシ「するとあれは、キスではなく、口同士のケンカなのか」


ルナちゃん「わかった。キスの上手さを競ったりするのね」


マルぼん「いや、唇をひっつけて、先に相手の舌を噛み切ったほうが勝ち」


ヒロシ「過酷!」


 マルぼんは『自分のフィールドリング』の効果は絶大だと思いました。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「がんばれ受験生! ヒロシの合格大作戦」の巻
デモシカ(担任教師)「今日は50メートル走のタイムを測るぞ。規定のタイムより遅かった者は不合格。不合格者は、外国の施設に5年くらい社会見学へ行ってもらいます!」


ヒロシ「ひょえー! 過酷ー!!」


デモシカ「あ、ナウマン象は規定のタイムより遅いみたいだな。業者さんお願いします」


業者さん「こちらへ」


ナウマン象「いやだ、いやだー! たすけて、かあちゃーん!! とうちゃーん!! 家の手伝いをするから、宿題もするから、もう喧嘩もいたずらもしねえからよう、たすけてくれよー!! とうちゃーん!! いやだー!! 怖いよーとうちゃーん!! かあちゃーん!! かあちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 トラックの荷台に載せられるナウマン象。しばらくは叫び声が聞こえましたが、やがてそれも止まりました。


ヒロシ「こいつはとんでもないことになってきたぞ。僕は走りに自信がない!」


デモシカ「はい、つぎ大沼。あ、待って、電話だ。はい、もしもし。え、はい。そうなんですか。それはご愁傷様で。おい、大沼。おまえの母ちゃん、意識不明だって。すぐ帰れ」


ヒロシ「マジっすか! いやっほうー! 帰ります」


デモシカ「タイムは明日、測るからな」


ヒロシ「……」


 胸にもやもやしたものを抱きつつも、ヒロシは帰宅しました。


マルぼん「ああ、よかった。無事に帰宅できたね。実はさっきの電話、マルぼんなんだ。キミが海外に社会見学させられそうになっていたのを見て、急いでクスリでママさんを意識不明にして病院へ運び、電話したんだ」


ヒロシ「ありがとう。助かったよ」


マルぼん「でも、結局明日、タイムを測るんだね。なんとかして、合格のタイムをはじき出さないと、キミは海外行きだ。よし、こいつを使おうか。『必勝はちまき』。こいつを頭にまくとだな、どんな試験にでも絶対に合格できる。こいつをまくんだ」


ヒロシ「よし、これで明日は楽勝かもしれないね」


 さっそく『必勝はちまき』を頭にまくヒロシ。と、その時。頭に山羊の被り物をした一団が突然、現れました。


ヒロシ「なにをする、離せ! 離さぬか!」


 ヒロシ担ぎ上げ、持参していたとても大きな布袋に押し込める山羊集団。


山羊「年齢……性別……身長に体重に声質……家庭環境……すべてが、すべてが大司祭様が示された条件を満たしている。合格だ。よろこべ少年、貴様は我が偉大なるツンデレ大萌神さま復活の生贄に選ばれたのだ」


ヒロシ「そんな神の生贄はいやー!」



 そのまま、山羊たちとヒロシは去っていきました。マルぼんは『必勝はちまき』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「成人の日おめでとう。ありがとう」の巻
 今日は成人式です! でも、体は成人していても頭は子供のままの逆コナンみたいな人がたくさん。式の会場では飲む! 飲む! 脱ぐ! 騒ぐ! 逮捕! 実名報道! の嵐! 嵐! 嵐!


ヒロシ「見ていて悲しくなるよ。日本はいったいどうなるの」


マルぼん「あの騒いでいる人々かきちんと体も頭も成人してくれたらよいのだけどねえ。そうだ。あれを使ってみるか『成人儀式セット』」


 未来の世界では、成人の儀式があります。この儀式を無事に終えた者だけが、心身ともに大人と認められ、はじめて名前を名乗ることを許されます。(成人していない者は番号で呼ばれています。人権もありません)


マルぼん「その儀式をお気軽にできるようにするために開発されたのが、この機密道具。こいつで『成人の儀式』を受けた人は、どんな人でも、未成人であれば心身ともに成人するの」


ヒロシ「よし。そこらへんで酒を飲んで暴れている新成人をとっ捕まえてきて、強制的に成人させてしまおうや」


 マルぼんとヒロシは機密道具を駆使して、暴れ狂う新成人を大量に捕まえました。そして、近くのビルの屋上へ。


『成人の儀式セット』の中からロープを取り出すと、そのロープを新成人の体に結び付けます。紐の、体と結んでいるのとは逆のほうを、近くの柱に結びつけ、そのあと、ロープを切断して、新成人をビルの上から投げ捨てます。この『ヒモなしバンジー』こそ、未来の世界の『成人の儀式』なのです。本来は落ちたあと生きていなければ成人として認められないのですが、このセットでは絶対に生き残ることができるようになっているので安心です。


新成人「これからは、税金もきちんと払います!」


ヒロシ「この調子で、どんどん投げ捨てようぜ!」


マルぼん「よっしゃー!」


ママさん「こらー! なにしてんのー! 貴様らー!」


 勢いにのったマルぼんとヒロシ、そのままママさんも投げ捨てます!


ママさん「ぎゃー!」


ヒロシ「ああ! おかーさーん!」


ママさん「もう! 気をつけてよね! 今は私1人の体じゃないんだからー」


ヒロシ「あ、そういえばそうだったねー。妹かなー弟かなー」


ママさん「もうすぐヒロシもお兄ちゃんなんだから。って、あいたたたた! おーなーかーがー!!」


マルぼん「あ! ママさんのお腹が急にでかくなった!」


 急に産気づいたママさんは病院へ。かつてないほどの難産で生まれたヒロシの弟は、
開口一番『お母さん、お兄さん、はじめまして! あなたの息子です、弟です!』とさわやかに言いました。看護士さんが思わず赤面してしまうような、素晴らしい肉体を持っていました。


 マルぼんは、どんな人間でも成人させてしまう『成人の儀式セット』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「休日出勤しなきゃならない朝、今日のお話を考えています」の巻
魔王「ふははははははは。微笑町3丁目は我のものだーふはははははは」


ナウマン象「ちくしょう、魔王め!」


金歯「こ、こうなったら、今こそ朕たち微笑町4戦士の力を結集するとき!」


ルナちゃん「わかったわ!」


ボンソワーレ黄泉比良坂氏「了解デース」


ヒロシ「あれ!? 変な外国人に居場所取られましたよ?! 皆さん、僕も戦いますよ!?」


一同「(笑)」


マルぼん「およびでない、みたいだね」


ヒロシ「主役の僕なのに! この仕打ち! なぜに僕は必要とされていないのか!」


マルぼん「『ひっぱり凧』。この凧を上手に揚げれば、あちこちからひっぱりだこになるよ。たとえば。野球の試合があれば別に上手じゃなくても呼ばれ、コンサートがあれば別に歌がうまくなくても呼ばれる。見知らぬ国家権力者の誕生日会に呼ばれたりもする」


ヒロシ「よし、さっそく揚げよう」


 しかしそこで悲劇到来。『ひっぱり凧』が実は不良品で、いきなり爆発したのです。「ぶべら」とか言いながら吹っ飛ぶヒロシ。幸いにも、命は取り留めました。病院で生死の境を彷徨うヒロシのところには、来客が相次ぎました。


女性「私は『不良品被害者の会』の者です。悲惨な体験をされた大沼さんに、ぜひ講演を」


男性「僕は『未来からやってきた生物が家に居候したために迷惑を被った人間 友の会』の者です。
ぜひ、大沼さんの体験談を我々の会報に」


 こうしてヒロシの忙しい毎日が始まりました。マルぼんは『ひっぱり凧』の効果は絶大だと思いました。




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ライバルは草津の湯」の巻
ヒロシ「げほげほ。風邪をひいたよ、げほげほ」


マルぼん「はい、どんな病気でも治してしまう薬」


ヒロシ「ごくごく。おお、力が湧いてくる。体調も万全です!」


マルぼん「どんな病気でも治してしまう薬だからね、風邪など速攻ですわ」


 と、その時。外から「きょえー」という奇声が。マルぼんたちが外を見てみると


ルナちゃん「日本政府は電磁波による不当な宗教弾圧を速攻で止めろ! さもなくばハルマゲドンを引き起こすぞー修行するぞー最高ですかー大勝利ー」


 白装束に身を包んだルナちゃんが、町中の建物という建物に白い布をかぶせようとして、警察官と揉みあいになってしまう。


ヒロシ「……」


 ルナちゃんを、心底軽蔑した表情で見つめるヒロシ。


 マルぼんは、恋の病まで治してしまった「どんな病気でも治してしまう薬」の効果は絶大だと思いました。




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「僕のおじさんあなたのおじさん」の巻
ヒロシ「あ、親戚のそば松おじさんだ」


そば松「ヒロシくん、私はいまから、ここで死ぬよ」


ヒロシ「え、なんで!?」


そば松「実は、彼女と、すごい、けんかをして、別れることになって、それで」


ヒロシ「そば松おじさん、そんな理由で死んだらだめだよ」


そば松「ヒロシくんの、言うとおりだ、やはり生きるよ、私は」


マルぼん「なんだこの、吹けば飛ぶような軽い大人」


ヒロシ「そうだよ。生きなきゃダメだよ。彼女のことは忘れるんだ。たった今、そば松おじさんの新しい人生がはじまったんだよ。人生の再出発なんだよ」


マルぼん「そうか再出発か。それならこいつをプレゼントしようか。『人生のスターターパック』。今まさに人生の再出発をしようとしている人が開けたら、これからの人生に必要になるアイテムがたくさんでてくるんだ。漫画家を志そうという人が開けたら、漫画道具がでてきたりとか、そんなカンジ。これをどうぞ」


そば松「いいよ、いい。いらないな」


ヒロシ「その浮かない顔。どうもまだ、別れた彼女のことを……過去を引きずっているようですな。この『スターターパック』を開けて、思い切って人生の再出発を彩ってくだされ」


そば松「よ、ようし! 開けてやるぞう!」


 そば松さんが『人生のスターターパック』を開けると、でてきたのは『目だし帽』『ピッキングセット』『金属バット』『ロープ』『青酸カリ』『のこぎり』『睡眠薬』『大型量販店で大量に売られているので誰が買ったかどうか特定しにくい服』『ビニールシート』『大人1人くらいが余裕で入りそうな旅行鞄』『偽造した遺書』『偽造パスポート』といったアイテムでした。


そば松「……」


ヒロシ「……」


そば松「よし、これで過去を断ち切ってくる!」


 とび出していくそば松さん。


ヒロシ「ちょ。ちょ、待って! おじさーん! おじさーん!!」


 マルぼんは、
そば松さんの人生の再出発に必要なアイテムをだしてくれた
『人生のスターターパック』の効果は絶大だと思いました。




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「人妻と独居老人~しばられて……色欲物欲螺旋地獄~」の巻
ママさん「さぁ、晩御飯のコンソメスープができましたわよ。そうだ、ヒロくん。隣に住んでいる『妻に先立たれて、ほかに身内もなく、現在1人暮らしの資産家の初老の男性』にこのスープを届けてきてくれない?
そろそろ点数を稼いでおかないと」


ヒロシ「微笑町は、家と家との間が数百メートルあるくらい広大な町。初老の男性の家に届く頃には、スープは冷め切っております、母上!」


マルぼん「はい、どんなものでも冷めなくなる『永久ほっとオイル』。このオイルに少しでも触れたものは、どんなものでも永久に冷めなくなるんだ」


 オイルをスープにたらすマルぼん。「ほんとに冷めないのかな」と半信半疑でスープを初老の男性の家に届けに出かけるヒロシ。数時間後。


ヒロシ「スープ冷めなかったよ!」


 スープに魅せられてしまった初老の男性からもらったお土産をどっさり抱えたヒロシが帰ってきました。


マルぼん「『永久ホットオイル』の効果は絶大なんだよ」


ママさん「にしても、隣人の初老の男性、お土産どっさりくれたわね。これまでの点数稼ぎのおかげで。このままがんばって、どんどん点数稼いで、結婚して、とっとと死んでもらって、遺産がっぽり」


初老の男性「信じてたのに!」


ママさん「ゲゲーッ!? 隣に住んでいる『妻に先立たれて、ほかに身内もなく、現在1人暮らしの資産家の初老の男性』!」


初老の男性「おまえを殺して俺も逝く!」


 刃物のようなものを振りかざす初老の男性でしたが、そこはさすがママさん。刃物のようなものを奪い返し、逆に初老の男性を刺殺!


ヒロシ「人殺しや! 警察に通報せえ!」


ママさん「親を庇う気配カケラもなし!?」


 ママさん。窓をぶちやぶって逃亡です。ヒロシの通報により、町のあちこちに包囲網ができあがっていたのですが、そこはさすがママさん。15歳になるまで山でオオカミに育てられていた経験を活かすべく、山に逃げ込みました。


ママさん「人の噂を七十五日、それくらいたてば、きっと大丈夫。きっと大丈夫よ。事件も風化しているわ。それまで山に隠れていよう」


 時効制度がなくなくると法律で決まったのは、それから数日後のことでした。
町には今日もママさんの顔写真&懸賞金の金額が載った手配書が大量に貼られ、あちこちに懸賞金狙いのハンターがたむろしています。マルぼんは、ほとぼりまで冷まさなかった『永久ホットオイル』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ヒロシ、フリーペーパーがほしい」の巻
ヒロシ「ねえねえ。なんで紙切れを読んでクスクス笑っているの?」


男「駅前にできた自己啓発セミナーが配っているフリーペーパーだよ。なかなかおもしろいことが書いてあって」



ヒロシ「へえ。僕も読んでみたいなぁ」


男「もうなくなったみたいだぜ」


ヒロシ「残念。あ。あそこでルナちゃんが、見知らぬ男性といざこざを起こしているぞ」


ルナちゃん「ねえ、あなたもうちの教団を止めてしまうの?」


信者「はい。駅前にできたところのほうが、より高次元の存在に我々を導いてくれるからです。今までありがとう。さようなら。さようなら。輝く季節をありがとう。さようなら」


ルナちゃん「ああん。どうして、どうしてみんな駅前にできたカルト宗教に行っちゃうのん!」


マルぼん「それはこいつが原因ですね」


ルナちゃん「なにこの紙切れ」


マルぼん「駅前のカルト宗教が配っているフリーペーパーだよ。おもしろくって、ためになって、もうすぐ世界を終わるようなことが書いてあって、『うちの教団に入った人だけたすかりますん』ということが書いてあって、なんだか正しいことが書かれているような気持ちになる文章が満載で、無料。こいつを読んだ心の弱い人たちが
感動して、駅前のカルト宗教にはせ参じているんだ」


ルナちゃん「ちくしょう!」


ヒロシ「へえ。そんなにおもしろいのか。なんとしても読みたいな」


マルぼん「ふむ。フリーペーパーの類が読みたいと。そこらの店で、店員が趣味で作ったようなやつが配られているんじゃないか」


ヒロシ「それがオイルショックで、微笑町では紙不足。この前まで掃いて捨てるほどあったフリーペーパーも、
ほとんと見ることができなくなったんだ。哀しいね、時代ってさ。ああ! どんなものでもいいから、フリーペーパーを読みたい!」


マルぼん「そうかー。わかったよ。みらいのせかいの駅前をうろついて、フリーペーパーとか集めてくるわ」


 そんなわけでマルぼん、一時帰宅を許されました。


ママさん「ごめーん、ヒロくーん」


ヒロシ「どうしたの、母さん」


ママさん「夏休みの間に新しいパパを紹介するつもりだったけど、ちょっと無理になったの。どうしようもないヘタレでね、さっきも別れ話をしてきたんだけど、『別れるなんていうなよお』と失禁しながら叫んでさ。
たいへんだったのよー」


ヒロシ「へえ」


『微笑町の大沼うどん子は、地球に生命が誕生して以来最大の俗物だ。淫乱だ。ろくでなしだ。うんこ未満の存在だ。豚を夫とし、蛆虫を伴侶とする俗物だ。夜な夜な男を漁り、全てをすすりとる。悪女のなかの悪女だ。悪女。悪女。あーくーじょー。あと蛆虫。蛆虫女。豚。豚。豚。おなかがすいた。きょえー!! 救世主より』


 上記のような文章が書かれた紙が、大沼宅の近隣に大量にばら撒かれていたのは翌日のことでした。全てが手書き、全てが赤鉛筆で書かれていました。コピーしたものは一枚もありませんでした。おーるはんどめいど。


ヒロシ「これが憧れのフリーペーパー!」


マルぼん「いや、これ、怪文書」



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「仕事が終わらない。はやく家に帰りたい」の巻
マルぼん「『新年お年玉クジ』で見事当選したよ! ほら、『打ち出の小槌』の3個セット! 1回だけ、自分の欲しいものをなんでも出すことができる機密道具なんだ。1個はキミにあげよう」


ヒロシ「わ! 素敵な機密道具! ありがたくちょうだいするよ!」


ナウマン象「残りのひとつは、当然、俺にくれるんだろうな」


 体に巻きつけた大量のダイナマイトをちらつかせるナウマン象。その手には火のついたロウソクが。マルぼんはしぶしぶ『打ち出の小槌』をひとつ、ナウマン象に渡しました。マルぼん「……欲しいものの名前を叫びながら振れば、欲しいものがでてくるよ」


 満足げに去っていくナウマン象。


マルぼん「気を取りなおして、さっそく使ってみようか」


ヒロシ「よし、それじゃあ!」


『現金1000万円!』と叫んで、小槌を振るヒロシ。すると、小槌の先端から大量の1円玉が流れ出てくるではありませんか。


ヒロシ「ぎゃー! こりゃなんですかー!」


マルぼん「小槌の先端には穴が開いていて、その穴から望んだものがでてくるの。つまり、その穴を通れるサイズになって出てくるんだ。それをすっかり忘れていたよ」


 マルぼんが小槌で出した美少女人形も、穴を通れるようにバラバラの状態ででてきました。接着剤でひっつけないと。


ヒロシ「そういえば、ナウマン象はなにを出すつもりなんだろうね」


マルぼん「あいつ日ごろから、頼りがいのある素敵な恋人が欲しいとか言っていたっけ」


『民家から人のものと思われる大量の肉片を発見。この家の住民の自称ガキ大将を任意同行』というニュースが
微笑町を駆け巡ったのは、その夜のことでした。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「正月ネタもそろそろ使えない」の巻
マルぼん「正月の朝からギャルゲーギャルゲーまたギャルゲー。少しは正月らしい遊びでもしたらどうだい! まったく、恐ろしい子だよ!」


ヒロシ「現代っ子をなめるな。僕は正月らしい遊びなど、ひとつも知らん。悔しかったら教えてみろ。僕に正月らしい遊びを!!」


マルぼん「そうだなぁ、コマまわしとか凧揚げとか双六とか福笑いとか」


ヒロシ「福笑い? いかなる遊びなの? ちょっと気になるなぁ」


マルぼん「よし、みらいのせかいでもっとも流行している福笑いをだしてあげよう」


 と、その時。「キャー」という、絹を裂くようなママさんの悲鳴。マルぼんと大沼ヒロシが急いで悲鳴のしたほうへ駆けつけてみると、血のついた刃物のようなものを持った男が逃げ出すところでした。部屋には刺されて事切れているママさんの姿が。





 ヒロシとマルぼんは警察に呼ばれました。ママさんを殺したと思われる男の顔を目撃していたからです。詳しく話を聞きたいとのことです。


警官「あなたが見た男の目は、こんなカンジでしたか?」


ヒロシ「いえ、もっとキツネのようなカンジでした」


警官「じゃあ、こんなカンジ?」


ヒロシ「ああ、こんなカンジです」


警官「鼻はこんなカンジですか?」


ヒロシ「いえ、もっとだんごっ鼻……」


警官「ふむふむ……」


 マルぼんは、ヒロシに本格的な福笑い(英語で言うとモンタージュ写真)を提供できてよかったと思いました。




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「とくになし」の巻
雲戒「南朝滅びろっ、ワンツースリー! 南朝滅びろっ、ワンツースリー!」


 袈裟姿もサマになってきた雲戒上人。今日も南朝調伏の祈祷に夢中。夜な夜な写経とかもしています。


雲戒「祈祷をはじめて、はや数週間。南朝にはなんの変化もないか…いったいなにがいけないのか…」


マルぼん「マルぼん、そっち方面には詳しくないからなあ」


雲戒「ふむ…どうにかそっち方面に詳しい人の意見を聞く方法はないか…」


マルぼん「う~ん…あ、あるよ! ちょっと待っていて」


 マルぼんは未来への直通電話で、ある人を呼び出しました。


柳生ポン兵衛「柳生ポン兵衛でござる」


雲戒「侍? ワシには頼もしい僧兵がいるから…」


マルぼん「柳生氏は、未来の世界の剣豪。氏に任せればOKだよ」


柳生ポン兵衛「ふむ」


雲戒「え、刀を抜いて…なにを…」


柳生ポン兵衛「ポン引き流奥義…『御意剣御感双 』!!」


 氏がそう叫びながら刀を振り回した瞬間…雲戒上人は血しぶきと共に倒れました。



雲戒「うう、ううう…な、なんか聞こえる…なんか…え…『祈祷は1人よりたくさんでやった方がいいですよ(ルナちゃん)』だって…? な、なるほど…ぐふっ」


柳生ポン兵衛「ポン引き流奥義『御意剣御感双 』で攻撃された者は、
今際のきわ、その人がもっとも必要とする素敵なご意見ご感想を聞くことができるのでござる。是非、来世の参考に」


 是非とも来世の参考に、とマルぼんは思いました。


日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「絵画いしくお世話します」の巻
ナウマン象「俺の…この俺様の絵が一枚も売れない。いったいどういうことだ。どういうことなんだよ、腐れ外道どもっ」


 皆さんお忘れでしょうが、プリティーチャーミングな敵役でおなじみのナウマン象さんには『絵画』という趣味があります。総作品数は999をゆうに超え、金歯の好意で個展なんかもよく開かれるのですが、売れる気配はまるでありません。


 というのも、ナウマン象の絵は『気の弱い人が見たら石化する』『数年にわたり不幸が連続しておこっていた、
とある家の倉庫を調べたらナウマン象の絵が見つかり、その絵を燃やしたら不幸はパッタリと止んだ』『ナウマン象の絵をみた妊婦が出産した子供に角や尻尾が生えていた』『犬の名前に”さくら”とつけたら「アニメからとったろ」と決め付けられた』『幼馴染の女の子がいるのに、他人にはギャルゲーのキャラにしか見えない。本当だよ。本当なんだよ。幼馴染は実在するンだ。ハードディスクの中に』など、怪奇現象を引き起こしてしまうのです。


ナウマン象「貴様らの機密道具で、俺様の絵を全部売りさばけ、いいなっ」


 日本刀片手に襲い掛かってくるナウマン象に恐れをなしたマルぼんは、ついついこの頼みを聞いてしまったのです。 


 ふと横を見ると、ヒロシがお坊さんに髪の毛を剃ってもらっていました。


ヒロシ「ナウマン象の絵を売りさばくなんて、そんなひどいことは正気ではできない。せめて出家して、身を清めてからやりたい…」


 マルぼんたちの行おうとしていることは、あきらかに人の道を外れているものでした。


 ナウマン象の絵売りさばき会議を始めるマルぼんと雲戒(出家したヒロシの僧名)。


雲戒「少し前にさ、『どんなモノでも、それを一番必要としている者に引き取られる機密道具』ってあったよね。それを使ったらいかがだろう」


マルぼん「『適材適所スプレー』だね。このスプレーを吹き付けたモノは、そのモノはそれをもっとも必要としている人の手に渡る」


『適材適所スプレー』を用意したマルぼんと雲戒は、微笑町から120キロ離れた山奥に建設されたナウマン象の画廊(周辺の草木はすべて枯れはて、動物がいる気配もない。鳥も寄り付かない)へと向かいました。


雲戒「さっそく『適材適所スプレー』をナウマン象の絵に使用しよう」


 画廊に到着するなり、ナウマン象の絵に近づく雲戒。瞬間、目から鼻から耳から口から…おびただしい量の血を吹き出し、一瞬で嘘みたいに痩せこけてしまいました。


雲戒「あ、うう…ああ…」


マルぼん「う、雲戒が廃人に…仕方ない。防護服を身に着けて作業だ」


 毒でも呪いでも防ぐことができる防護服を着て作業をすることにしたマルぼん。それでも何度も嘔吐し失禁し、体はボロボロ。なんとかすべての作業を終えたのは3日後のことでした。


マルぼん「さ、作業終了」


 ナウマン象の絵すべてに『適材適所スプレー』を吹き付けるのに成功したマルぼん。髪もすべて白髪になり、余命も短そうな雰囲気です。そこへナウマン象がやってきました。


ナウマン象「うん? おめえら、なんで宇宙服みたいなの着ているんだ?」


マルぼん「ヨ、ヨーロッパでは、絵を愛でる人の間で流行しているんだよ。宇宙服…ごめん、もう帰るから」 


ナウマン象「あ、おい」


 なんとか帰宅し、雲戒の精神と体も健康を取り戻した頃、ナウマン象から電話がかかってきました。


ナウマン象「おう。おかげ様で、絵がすべて売れたよ。しかも追加注文アリで、今、画廊に篭って描きまくっているんだ」 


マルぼん「そいつはなにより」


ナウマン象「しかもだな、買ってくれたのは外国人! どこの国の人かわかんねえけど、おれの絵って、いつの間にか世界に認められていたんだぁ。しっかし、マルぼんの言うとおりだな」


マルぼん「なにが?」


ナウマン象「絵を買いに来た外国人な、マルぼんたちと同じように宇宙服もどきを着ていたんだよ。絵を運び出す連中も。本当に流行しているんだな」



雲戒「マルぼん」


マルぼん「やあ、雲戒上人。どうした、新しい袈裟でも欲しいの?」


雲戒「ちがうよ。今、ニュースを見ていたんだけど。I国で変な病気が流行していて、A国が細菌兵器を使ったんじゃないかと言われているんだって」


マルぼん「A国はI国でゲリラに苦しめられているからなぁ。細菌兵器もありえるかも」


雲戒「その病気の症状だけど、目から鼻から耳から口から…おびただしい量の血を吹き出し、一瞬で嘘みたいに痩せこけて、やがて死に至るらしいよ」


マルぼん「それ、たぶん細菌兵器じゃないよ」

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「さんがにちもおしまい」の巻
 というわけで、ヒロシは魔法少女ムリぼんと暮らすことになったのでした。なんというか、アレですね。魔法少女と同居なんて、ヒロシも本格的に創作作品の主人公ってカンジ?


ムリぼん「ボクの魔法で、ヒロシお兄ちゃんを幸せにしちゃうよっ。なんでも言ってねっ」


ヒロシ「うわー。一人称が『ボク』とか、妹でもなんでもない赤の他人『お兄ちゃん』と呼ばれるとか、語尾につく『っ』とか、リアルで言われると、嘘みたいに殺意が芽生える」


 憧れの創作作品の世界に少し幻滅しつつも、ヒロシはムリぼんに色々お願いしてみることにしました。なんとなく、前に一緒に住んでいたヤツ(名前失念)よりはマシそうだし。


ヒロシ「ねえムリぼん。結論から先に言うと、僕は社会的に成功した立場になりたいんだ。それで毎日をおもしろおかしく暮らしたい。光の速さで社会的勝者になれる魔法をかけておくれよ」


ムリぼん「ふむふむ」


ヒロシ「『ふむふむ』。言うに事欠いて『ふむふむ』。うわー。こいつ殺してえ。


ムリぼん「ヒロシおにいちゃんの腐った欲望を満たすのにピッタリの魔法さん、確かに存在するよっ。今から呪文を詠唱して、魔法をかけてみるねっ」


「さっきは魔法に『さん』をつけてなかったじゃん。なに、計算? 計算のつもり?」とかヒロシが思っていると、ムリぼんはどこからともなく琵琶を取り出してきました。


ムリぼん「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす


 それまでアイドル声優みたいに甘ったるいものだったムリぼんの声が、突然しわがれた老人の声にかわりました。


ヒロシ「なんで『平家物語』?」


ムリぼん「ムリぼんのジョブは琵琶法師なのっ。だから、魔法を使うときに『平家物語』さんを最初から最後まで歌いきらなきゃならないのっ。ああん。また最初から…祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…


ヒロシ「うわ! 僕の目の前に、突如として大量の札束が出現したぞ!」


ムリぼん「ムリぼんが魔法さんで出したお金さんだよっ。全部で4兆5600円さんもあるのっ。人生の勝利者さんって言えば、やっぱりお金持ちさんだもんねっ」


ヒロシ「紙幣番号も、一枚づつ異なっている! すげえや。無駄飯喰らいの先代(マルなんとか)とは、神と愚かな人間どもくらいの差があるよ。ありがとう!」


ムリぼん「で、ヒロシお兄ちゃんは、人生の勝利者さんになって、これからどうするの?」


ヒロシ「へ?」


ムリぼん「なにか目標さんがあって、人生の勝利者さんになりたかったんでしょ?」


ヒロシ「そ、それはそうさ…よし、とりあえず、欲しかった漫画やゲームを大人買いだ!…どうよ!?」


ムリぼん「まだ、ほとんど残っているねっ。4兆円さん。もしかして、もうオシマイさん? 人生の勝利者さんの夢さんって、そこらのバーチャル少女に思いを馳せる青少年と同じレベルのものだったの?」



ヒロシ「いや、その」


ムリぼん「ムリぼん、ヒロシお兄ちゃんの豪気なところをみたいなっ」


ヒロシ「う、あ、うう…(ぶちっ)」


ムリぼん「ヒロシお兄ちゃん?」


ヒロシ「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


ムリぼん「ダメだよっ! ばら撒いた4兆円さんに灯油さんなんて撒いたらダメだよっ! 火さんでもついたら、築15年の家さんが悲惨なことに…って、ああー! 燃えるぅー!!」


ヒロシ「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 火葬だぁ! 4兆円の火葬だぁ! あひゃひゃひゃひゃひゃ!」


ムリぼん「ああ、なんということにっ」


???「君には失望したよ、ムリぼん」


ムリぼん「貴様はっ」


マルぼん「俺さ」


ムリぼん「貴様、マルぼんっ。廃棄所分されて、その遺骸は刑務所の囚人の服にリサイクルされた筈っ」


マルぼん「脳死寸前だったところを助けられたので無問題。それよりも、君はヒロシのことをなんにもわかっていない」


ムリぼん「なんだと」


マルぼん「たとえば、昨日から大工さんになった若者に『原子力発電所を建築しろ』と言ってもムリな話。同じように、100円持っているだけで世界の王になったような気分になる小心者のヒロシに4兆円も与えるなんて愚の骨頂。金額の重みに耐えかねて発狂するのは、火を見るよりもあきらかだ。でも、大工さんは経験を積めば原発だろうが核ミサイルだろうが作れるようになる。ヒロシも、いままでたくさんお金を使っていれば…」


ムリぼん「4兆円を有効に使用できた…つまり、ヒロシには経験が不足していたと」


マルぼん「そういうこと」


ムリぼん「なら、魔法の力でヒロシに経験を」


マルぼん「やめとけやめとけ。そんなの無駄の無駄無駄。エロゲーギャルゲーでたくさんのヒロインと恋仲になった青年が、現実では、まるで前世からの因縁でもあるかのように色恋沙汰に縁がないのと同じだ」


ムリぼん「マルぼんには、ヒロシに経験をつませる秘策があると?」


マルぼん「あるさ。機密道具に不可能はそれほどないっ。さぁ、いまお見せしよう。ヒロシに経験をつませることができる機密道具!」


ムリぼん「これは…血!? 真空パックに入れて保存してある血液!」


マルぼん「これこそ機密道具『経験血』。『経験血』はクロウシローという特殊な薬品を混ぜた血液なんだ。この血液を輸血された人は、血の持ち主のいままで体験したこと経験したことを、ものすごい勢いで疑似体験できる。
この『経験血』は、未来の世界の億万長者ジッタクニー・プール氏のものなんだ」


ムリぼん「ジッタクニー・プール氏といえば、裸一貫で億万長者にまで上り詰めた今太閤。氏の『経験血』の輸血すれば、ヒロシも上手な金の使い方ができるというわけね。でも、よく氏の血液を入手できたんだね」


マルぼん「氏は、色々な病気で3年くらいまえからこん睡状態。楽勝だったよ」


ムリぼん「病気…『経験血』の安全性はいかがなものなの?」


マルぼん「よし、さっそくヒロシに『経験血』を輸血しよう!」


ムリぼん「黙殺!?」


マルぼん「うい。輸血完了。これでヒロシは、一代で億万長者になった男の経験を持つ小学生(好みのタイプ・バーチャル)として生まれ変わった!」


ヒロシ「ん…」


ムリぼん「ヒロシお兄ちゃん、分かる? これ…4兆円さんだよっ」


ヒロシ「貯金して」


ムリぼん「おおっ。有効な活用法さん!」


ヒロシ「あ、その前に一億円でロドリゲス石油の幹部連中の買収を」


ムリぼん「ロドリゲス石油?」


マルぼん「ジッタクニー・プール氏の経営する石油会社のライバル会社だね」


ヒロシ「う、あ…そこにいるのはニワニー…」 


マルぼん「ニワニーというのは、先ごろなくなった氏の長男だ」


ヒロシ「父を許してくれ。おまえが…おまえがポリエチレンの口車にのるから…許してくれ」


マルぼん「氏の右腕と言われたポリエチレンは会社のっとりを企てていたらしい。ニワニーはこのポリエチレンに煽られて、氏に退陣要求を突きつけたんだ。その直後、急にニワニーは亡くなったから、なにかあるんじゃないかと言われていたんだけど…やっぱり、父である氏の差し金で…」


ムリぼん「どうでもいいけど、なんでそんなにジッタクニー・プール氏に詳しいの?」


マルぼん「よく聞いてくれました。実はマルぼんの両親は、氏の…」


ムリぼん「とてもうざそうな設定なので、超却下」


ヒロシ「うう…許してくれ。子供が乗っているなんて知らなかったんだぁ。直接手を下したのはワシじゃない…うう。ううう…」


ムリぼん「うなされているね」


マルぼん「財を成すには、闇に手をそめることもあっただろう。その時の経験を思い出して、罪の意識に悩まされているんだよ」


ヒロシ「くるな…くるな…くるな…くる…な…ブチッ」 


ムリぼん「ヒロシお兄ちゃん?」


ヒロシ「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


ムリぼん「ダメだよっ! ばら撒いた4兆円さんに灯油さんなんて撒いたらダメだよっ! 火さんでもついたら、築15年の家さんが悲惨なことに…って、ああー! 燃えるぅー!!」  



ヒロシ「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 火葬だぁ! 4兆円の火葬だぁ! あひゃひゃひゃひゃひゃ!
 皆さん、今から謝罪しに参りますぅ!」


ムリぼん「無理だね」 


マルぼん「超ムリ」





日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「年賀はがきでひとそうどう」の巻
 マルぼんが得意先まわりを終えて帰宅すると、ヒロシが手紙を書いていました。


ヒロシ「『拝啓、微笑郵便局様。現在保管中の手紙やはがきを配達したら、色々としちゃいます』っと」


マルぼん「ちょっとちょっと。なんで郵便局への脅迫状など執筆しているのさ」


ヒロシ「ルナちゃんに送った年賀状の文面がさ、今考えたら人生の汚点になるくらいとんでもない代物だったの。恥を隠すためには、命(他人の)をも厭わないのが日本男児だろ」


マルぼん「なら、脅迫状なんてアグレッシブな方法をとらずにさ、マルぼんに『機密道具貸してん』とでも言ってくれればいいのに。はい、『いつでもだれでもお気軽に回収ホール』。このホールは世界中のありとあらゆるところに繋がっていて、手を突っ込めば、いつでもだれでもお気軽に好きなものが回収ができる」


ヒロシ「そいつはいいや。よし、さっそく。…OK! ルナちゃんへの年賀状を無事回収できた」


マルぼん「えっと『僕と結婚しなければ、お前の年老いた両親が死ぬ。めったざしにされて!』。たしかに
人生の汚点レベルの文面だね…」


ヒロシ「だろ? 思い出すたび赤面さ。よし。さっそく書き直そう」


 ヒロシは、満面の笑みを浮かべながら年賀状を書き直しました。


『ルナちゃんへ。僕と結婚しなければ、君の年老いた両親と愛犬を死なせた後、あなたの名前を叫びながら自決します。いやなら結婚しろ。これは命令だ』


ヒロシ「よし、書き直し完了。どう? さっきとは比べものにならないくらい、ルナちゃんへの想いが詰まっているだろ?」


 マルぼんは即答を控えました。


ヒロシ「ふと思いついたんだけど、『いつでもだれでもお気軽に回収ホール』で商売できねえかな。僕みたいに失敗作を回収したい人、けっこういると思うんだ」


マルぼん「そうだね。今日の晩飯代にこまるくらい困窮しているマルぼんと君だから、さっそく商売を始めてみよう」


 ということで、マルぼんとヒロシは『なんでもサルベージ社』を設立。悩める人のために活動を開始したのです。客は金歯に頭を下げ、たくさん紹介していただきました。 


発電所の人「サルベージおねがいします」


ヒロシ「はいはい。で、モノはなんでしょう」


発電所の人「ドラム缶(中身入り)が数百本です。上司に言われてやったものの、やっぱ貯水池に捨てたのはまずいと思って」



暴力で色々する人「サルベージおねがいします」


ヒロシ「はいはい。で、モノはなんでしょう」


暴力で色々する人「ドラム缶(中身入り)です。若頭に言われて埋めたものの、やっぱ沈めたほうが見つかりにくいと思って」



医者「サルベージおねがいします。いや、上司が『絶対安全だから』っていうんで仕方なく使ったんですよ。今頃になって『色々やばい』とか言われても、ねえ」



 人間社会の黒いところばかり見る羽目になったので、辞めました。


マルぼん「しかしまぁ、今回のオチはよめたね」


ヒロシ「読めたって…どんなだよ?」


マルぼん「ママさんが来て『ヒロシは育て方を失敗したから回収しますう』とか、そんなカンジのオチ」


ヒロシ「そんな、訴えたら勝てるようなオチ、ごめんこうむるよ」


ママさん「ねえ」


マルぼん「ほらきた!」


ママさん「ちょっと買い物へ行ってきてくれない? タバ子とシン奈の離乳食が切れていて」


マルぼん「え」


ヒロシ「ぷ。マルぼんの予想おおはずれ。最近、調子悪いねえ。買い物は僕が行くから、養生しなよ。じゃ、行ってきますー」


マルぼん「おかしいなあ。マルぼんの予想が外れるなんて」


認識番号JHAS37564「よお。ひさしぶり」


マルぼん「あ、ヒロシの子孫であり、マルぼんの真の持ち主である認識番号JHAS37564!」


認識番号JHAS37564「親切丁寧ななキャラクター説明ありがとう」


マルぼん「どうしたの? 君は歴史に残る極悪人・大沼ヒロシの子孫として、『主食は年寄りの足の裏の皮』と決め付けられるなど人間として扱われず、どこへ行くにも監視がついていてるほど行動を制限されているはず。
よくこの時代に来られたね」


認識番号JHAS37564「実はだな、マルぼんを買った電気店から連絡があったんだよ。『マルぼんシリーズには、開発段階で致命的なミスがありました。そのうち近くにいる人に色々おこります』って」


マルぼん「…よ、ようするに」


認識番号JHAS37564「マルぼんシリーズは全部回収だとさ」


マルぼん「回収してどうなるの? ねえ、回収してどうなるのー!?」


認識番号JHAS37564「代わりにさ、最新タイプのお世話生物がもらえるんだ。安心して眠ってくれよ。あ、メーカーさんこちらです」


マルぼん「たぁーすぅーけぇーてぇー!」



ヒロシ「ただいまぁ。マルぼん、具合はどう…」


ムリぼん「ヒロシおにいちゃん、おかえり!」


ヒロシ「だれ!?」


 マルぼんが廃棄処分され、その代わりにやってきたムリぼんはなんと魔法少女でした。次回から「ムリぼんと暮らす」が始まります。


 人生の落伍者への就職が内定しているヒロシくんの未来を救うため、魔法でナウマン象を蛆虫に変えたり、魔法で金歯を蛆虫に変えたり、魔法でルナちゃんを蛆虫を変えたり、大脳だけはスルーしたり、好物が黒猫の生き血だったりと、八面六臂の活躍の予定です。






次回以降のサブタイトル


第一話「魔法の怪生物登場」


第二話「いのちを売ってさらし首」


第三話「ルナちゃんの、耳」


第四話「もしも部屋の壁にある、人の顔に見えなくもないシミが『お兄ちゃん、だーいすきっ!』と言い出したら」


第五話「あの人美形だから、ストーカーじゃなくて純愛」


第六話「ドキッ!? ライバルは出入国管理局」


第七話「しつけですって。車に放置していたのもしつけですって」


第八話「地獄法要極楽法事。死を呼ぶ快楽七回忌」



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
次のページ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。