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大沼ヒロシ

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「パパさんこんにちは」の巻
パパさん「免許を取れと?」


ヒロシ「だって父さんは無職だし」


マルぼん「身分証明証として、保険証を持ち歩くのも辛いしね、いい加減」


ヒロシ「車を運転しなくてもいいから、身分証明証代わりに免許証を持っていてほしいなと」


パパさん「無理だな。無理。俺はまだ16歳だから免許取れないし」


 今のパパさんはママさんが出会い系サイトで知り合った高校生なので、免許をとれないのも当然です。そもそも籍も入っていないしね!


ヒロシ「でも保険証を持ち歩くのもいかがなものかと」


マルぼん「つまり、一目でこの人がパパさんとわかる仕組みがあればいいわけで。う~む」


 少し考えて、マルぼんはパパさんに催眠術をかけました。ふらふらと外へと飛び出していくパパさん。


ヒロシ「どこへ行ったの?」


マルぼん「近所の小学校の女子トイレさ。不法侵入するように催眠術をかけたんだ」


ヒロシ「正気の沙汰じゃないよ! 微笑町では現在、性犯罪者には去勢が義務付けられているほど条例が厳しくなっているんだよ!?」


マルぼん「今のパパさんは未成年だから大丈夫だよ。それに」


ヒロシ「それに?」


マルぼん「条例の改正でね、微笑町の性犯罪者の腕には番号の刺青が彫られて、その番号を微笑警察のホームページで調べれば、その人がどこのだれでいつどこでどんな犯罪を犯したかすぐにわかるようになったんだ」


ヒロシ「なるほど。身分証明書が必要な時は番号を相手に見せればいいんだね!」


マルぼん「そゆこと」


 遺体で発見された時も、結構簡単に身元が判明しそうなのでマジおすすめ。指紋も記念に採取されるよ。


 パパさんも、新しいのがすぐみつかるし。



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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「恋人たち」の巻
「よい儲け話はありませんか? 転がっていませんか?」と、マルぼんとヒロシが夜の繁華街を歩いていると、外国人風の男性に声をかけられました。


男性「社長サン、空ヲ飛ブ気分ニナレル薬、アルヨ」


ヒロシ「間に合っているよ、そういう薬は。って、あなた、ナウマン象じゃないか」


ナウマン象「あ、バレた?」


マルぼん「こんなところでなにをしているのさ」


ナウマン象「母ちゃんが店番しとけってうるさいんだ。やらないと酷い目にあわされるし」


 ナウマン象の家がそういう商売ということをマルぼんは思い出しました。


ナウマン象「ダチにこんな体に有害な薬を売るわけにはいかねえな。じゃあな」


 去っていくナウマン象。


マルぼん「よい儲け話もなさそうだしさ、そろそろ帰ろうや」


ヒロシ「……」


 ヒロシは、壁に貼ってあったポスターを見つめたままで、返事をしてくれませんでした。


『平成の魔女狩りフェア好評実施中!!』と、ポスターには書いてありました。


マルぼん「警察のポスターだね。えっと、なになに…『ただいま微笑署では覚せい剤・麻薬追放キャンペーンを実施中! 怪しいと思う人がいたら、たとえそれが親兄弟でも容赦なく通報してください!! 有力情報には金一封が!!』だってさ」


 ヒロシは携帯電話を取り出すと、ポスターを見ながらどこかへ電話をかけはじめました。


マルぼん「ヒロシ、まさか…」


ヒロシ「金一封、明日にはもらえそうだね。明日は焼肉を食べに行こうよ」


 この普段と変わらない、なにげないやりとりが、まさかあんな事件を引き起こすことになろうとは、マルぼんは思ってもみませんでした。


 数日後。
ポリスメン「うわー殺せー」


ポリスメン「うわー死なせー」


 たいまつを持った微笑署の麻薬対策係のメンバーが、ナウマン象の母ちゃん経営の覚せい剤製造工場を襲撃しています。


ヒロシ「どうでやす? 旦那~組織が一網打尽です~げへへ~」


 対策係の部長にゴマをするヒロシ。


ヒロシ「げへへ~金一封はいついただけるでやんしょうか」


部長「おい」


ヒロシ「はい?」


部長「おまえの腕、なんか注射の跡あるんだけど。もしかして、やってたの? 覚せい剤」


ヒロシ「!!」


部長「図星って感じだな。取調室で、涙あり笑いあり血しぶきあり弁護士なしのきままなトークといこうか? 」


ヒロシ「ちが…ちがうんです! この注射の跡は、あの、血液検査の跡なんです!! 最近、動いてもないのに体重が激減して、頭がふらふらして吐血とかもして…だから検査を…」


部長「はいはい」


ヒロシ「自由のない授産施設で療養するのはいやー!! マルぼん、なんとかしてー!!」


マルぼん「はい『嘘からでた真琴』。この琴を弾けば、嘘が本当になる」


ヒロシ「それだ!!」


 ポロロン~ポロロン~♪


ヒロシ「ぶほっ」


部長「吐血した!! 本当だったのか!! 疑ってごめんね。あたい悪い子だった!」


ヒロシ「あうあうあう」


マルぼん「よかったね。本当によかったね」


部長「大団円ってやつだな、あはは」


 あうあう言っているヒロシの口に、金一封を押し込む部長。国家権力に超憧れるマルぼん。


マルぼん「ところでナウマン象は?」


部長「どうもうまいこと逃げ出したらしいな。今、近所を捜索させている」


ポリスメン「うわー」


ポリスメン「うわー」


ナウマン象「畜生…畜生!!」


 製造工場を襲撃され、ポリスメンに追い詰められるナウマン象。この町では覚せい剤が発覚=市中引き回しの上打ち首獄門です。捕まってはいけません。


ナウマン象「どこか隠れるところ…隠れるところは…あった!!」


 ナウマン象が飛び込んだのは、我らが微笑小学校。その校庭の隅にある、豚の飼育小屋でした。飼育小屋では、現在、3匹の子豚が飼育されています。


豚A「ぶひぶひ」


豚B「ぶひぶひ」


豚C「ぶひぶひ」


ナウマン象「すまねえ。おまえらの家、ちょいと借りるぜ」


 豚たちの間で身を潜めるナウマン象。しかし


ポリスメン「こっちに逃げ込んだはずだ。探せ」


ナウマン象(くっ…)


 ポリスメンたちに魔の手は、着実に彼に迫りつつありました。


豚A「ぶひ」


ポリスメン「おや、小屋から豚の声が」


ナウマン象「やばい!」


 右手で豚Aの口を塞ぐナウマン象。


豚B「ぶひ」


ポリスメン「おや、やっぱり小屋から豚の声が」


ナウマン象「やばい!」


 左手で豚Bの口を塞ぐナウマン象。


豚C「ぶひ」


ポリスメン「おや、やっぱりやはり小屋から豚の声が」


ナウマン象「やばい! ああ!!」


 豚Cの口を塞ごうとするナウマン象でしたが、彼の両手はふさがり、豚Cの口を塞ぐことはできません。


豚C「ぶひぶひ」


ポリスメン「おや? おや? おやおや?」


ナウマン象(やばい!!)


 このままで見つかってしまいます。どうするどうなるナウマン象。


ナウマン象(くそ…あれしかないか…畜生!! さようなら…)


 豚Cを抱きしめるナウマン象。


ナウマン象「さようなら、俺のファーストキス!!)


 手の代わりに、唇で豚Cの口を塞ぐナウマン象。


豚C「……!」


ナウマン象(これがファーストキス……太陽みたいな味だ、な…)


 しばらく後、ポリスメンが去ったあとも、ナウマン象は豚Cを抱きしめたままでした。そして数日後。


ナウマン象「俺、こいつと結婚するわ」


豚C「ぶひ」


一同「ええー!?」


 ナウマン象の、豚との結婚宣言は、微笑町各所に波紋を広げました。


ナウマン象ママ「きー!! 豚との結婚なんて許さないザマス!!」


 激怒するナウマン象ママ(逮捕されたけど、金という名の魔法で無事出所)


ナウマン象「母ちゃん、俺はカツ子(命名した豚の名前)を真剣に愛しているんだ。頼む、結婚を認めてくれ!!」


ナウマン象ママ「無理ザマス無理ザマス」


 結婚を反対され、激やせするナウマン象。ブックオフで買ってきた『失楽園』を読みふけり、「カツ子は川島なおみだな。血がワインだな」とわけのわからないことを言い出す始末。


 こんなナウマン象のために、なぜかヒロシが立ち上がりました。


マルぼん「この前、ナウマン象を国家権力に売ろうとしていたじゃん」


ヒロシ「あの時のことは僕も反省している。でも、僕は好きなのに愛しあうことを許されない恋愛をする人を応援しなければいけないんだ。なぜなら僕もまた、認められない愛を貫く男だから」


マルぼん「ふうん」


ヒロシ「これがその彼女さ」


女の子『べ、別にあんたのことなんて、好きじゃないんだからね』


 画面に赤面した女の子(アニメ絵)が映っているパソコンをマルぼんに見せてくるヒロシ。


マルぼん「(無視して)でも、ナウマン象はなんか気の毒だから、機密道具をだしてあげるか。『マイ法律』。このノートに書けば好きに法律を作ることができる。このノートに『異なる生物同士の婚姻もOK』とか書くと…」


ヒロシ「他の生き物と結婚できるんだね! よし、法律を盾にして、美都(お気に入りの攻略対象)との結婚を両親に認めさせるぞ!」


美都『べ、別にあんたのことなんて、好きじゃないんだからね!』


 パソコンを抱えて部屋を飛び出すヒロシ。


 他の部屋から「何を言っているんだ、このバカ!」「おまえなんて父親と認めない!」「育て方を失敗した私の罪です」「この子を殺して私も死にます!」『べ、別にあんたのことなんて、好きじゃないんだからね!』なんて声がしました。


 パソコンは生物じゃないと思いましたが、マルぼんは心に秘めることにしました。


 ここは微笑町の役所。マルぼんとヒロシは、ナウマン象とカツ子さんの入籍に付き合ってやってきました。


ナウマン象「ありがとうありがとう、心の友たちよ。入籍さえしてしまえば、お母様も納得してくれるはずだ」


カツ子「ぶひ」


ヒロシ「僕の恋は実らなかったけど、幸せになってくれよな」


ナウマン象「おう。おう。世界中の人の分まで幸せになるぜえ」


 婚姻届を提出するナウマン象。


役場の人「受理できませんね」


マルぼん「え!? でも、法律は…」


役場の人「たしかに法律は改正しましたけどね、異性物同士の結婚は可能ですけどね、同姓同士の結婚はまだ認めれられてないんですよ」


ヒロシ「ええ!?」


役場の人「その豚、オスですね」


ナウマン象「!!」


ヒロシ「『マイ法律』で同姓でも結婚できるように法律を変えよう」


マルぼん「アレな、一度しか使用できないんだ」


ヒロシ「それじゃあ…」


ナウマン象「…なぁ」


ヒロシ「なに?」


金歯「金歯の家ってさ、大奥あったよな。宦官とかも雇ってくれるよな」


ヒロシ「おまえ、まさか!!」


マルぼん「待った待った! これを使え! この薬! 3丁目の工場の裏の池から取った水を加工した薬」


ヒロシ「3丁目の工場の裏の池って言えば、魚類がなぜか性転換してしまうあの池? 近所の人が急に暴力的になって流血沙汰が異様に多くなっているあの3丁目の工場の裏にある池? 調査しようとした偉い学者さんが何者かに襲われると言う事件があったあの3丁目の工場の裏にある池?」


マルぼん「そうさ。この薬を飲んだら性転換が簡単に」


ナウマン象「こんなもんいらへんねん!!」


 薬の入ったビンをブン投げるナウマン象。


 床に叩きつけられる例の薬。ビンが砕け散り、辺りは薬でびしょびょしょに。


ナウマン象「愛があれば、性別なんて超えられるんや。こんな薬、いらん!!」


マルぼん「ナウマン象…」


ヒロシ「どうやら、ナウマン象に教えられたようやな」


ナウマン象「俺のわがままでカツ子の性別を変えるなんて、俺にはそんなことできない」


ヒロシ「なら、ナウマン象が性転換すればいいのに」


ナウマン象「!!」


 床にこぼれた薬をなめ始めるナウマン象。ナウマン象(♀)の誕生です。


 こうしてナウマン象(♀)とカツ子(♂)は無事、入籍したのでした。


ナウマン象子「2人とも、ありがと! ささやかだけど、披露宴をしたいの。近所の空き地に来て」


マルぼん・ヒロシ「わーい」


金歯「……」


役所の人「あ、坊ちゃま」


金歯「あの、ヒロシたちと一緒にいた、豚を抱いた美女は誰でおじゃる?」


役所の人「美女? ああ、坊ちゃまのご学友のナウマン象どのです。あの気色悪い生物のだした薬で女性になったんです」


金歯「萌え…」


役所の人「はい?」


金歯「ナウマン象萌えー!!」



 
 恋のルーレットは、思わぬ方向へとまわりだしました。


金歯「ナウマン象たんは、朕と結婚すべきでおじゃるから!!」


ナウマン象たん「ごめんなさい…ワタクシには愛する豚が」


カツ男(カツ子が改名)「ぶひ」


金歯「生まれて初めて好きになった人のココロが、すでに豚で満たされていた!!」


 泣きながら去っていく金歯。捨て台詞で「貴様らの人生、台無しにしてやる!!」とか言っていたんで、心配になったナウマン象たんは、いつものメンバーを招集しました。ナウマン象たんとカツ男の幸せを祝う会会合INヒロシの部屋。



ナウマン象「…というわけなの」


マルぼん「たしかに金歯はなにするかわかんないし、怖いな。ヒロシくんはどう思う?」


ヒロシ「うるさいなあ。もうすぐこのヒロインとのエンディングなんだ。黙れよ、現実世界。ごめんな、バーチャル世界のみんなー」


カツ男「ぶひ」


ルナちゃん「はい、はーい」


マルぼん「あ、ルナちゃん。今回初登場だね」


ルナちゃん「とりあえず、よくわかんない化け物と、バーチャルにしか興味を示さないバカと、豚に恋して性転換まで果たしたバカと、そんなバカにホの字の金持ちバカと、さっきから会議を覗き見している血だらけの半透明のバカが消えればいいと思います」



マルぼん「え、なに、最後の人って誰?」


ルナちゃん「さっきからそこにいるじゃない」


マルぼん「そんな人、マルぼんには見えないよ!! 怖っ」


 そんあこんなで話し合っていたら、突然、武装集団が乗り込んできました。手際よく一同を気絶させる武装集団。


 しばらくして目覚めると、そこは白い壁に囲まれた一室。


ナウマン象たん「カツ男さまがいないわ」


 一緒に拉致されたはずのカツ男の姿がありませんでした。


金歯「こちらでおじゃるよ」


一同「!!」


 ちょうどマルぼんたちを見下ろす位置にある小部屋。そこにいた金歯はなにかを食べていました。


金歯「とんかつでおじゃる」


ナウマン象たん「いやぁぁぁぁぁぁ!! いやぁ…カツ男!! カツ男ー!!」


金歯「安心するでおじゃる。このとんかつはカツ男ではないでおじゃるから」


カツ男「ぶひぶひ」


ナウマン象たん「よかった」


ヒロシ「…とんかつの匂いが漂ってくる」


ルナちゃん「おいしそうな匂い…」


金歯「うぬらは3日ほど、飲まず喰わずで眠っていたでおじゃるからな。とんかつの匂いがたまらんのは当たり前でおじゃる。ほら、そこのテーブルの上を見てみるみるでおじゃる」


マルぼん「…料理道具? それに本が置いてあるぞ。なになに『初心者でもできる!! 豚を殺すところからはじめるとんかつ作り』だって」


 一同の腹の音がなり、視線がカツ男に注がれました。


ナウマン象たん「ちょ、ちょって、みんな」


 そんなナウマン象たんの腹も「ぐー」と鳴りました。


金歯「うぬらがとんかつ作りをはじめたら、炊き立てのごはんと千切りキャベツの熱々の味噌汁、それから秘伝のとんかつソースを届けさすでおじゃる」


 一同の飢えた狼のような目が、カツ男に注がれました。


ナウマン象たん「だめだよ…カツ男は食料じゃなくて…恋人…私の…」


 でも、よだれをダラダラ流しているナウマン象たん。


金歯「好きな相手を食べてしまうナウマン象たんの表情。みものでおじゃるな!!」


ヒロシ「所詮は、人間と豚だよ…」


ルナちゃん「私、腕によりをかけるから…」


ナウマン象たん「マルぼん、なんとかして!!」


マルぼん「『擬人化光線銃』!! こいつから放たれる光線を受けたものは、なんでも人間に見えてしまう。カニバリズムな人でない限り、食欲はなくなるはず」


ヒロシ「は…!!」


ルナちゃん「私たち、こんな小さな男の子を食べようとしていたなんて…恐ろしい」


マルぼん「成功だ!!」


ナウマン象たん「……」


 ナウマン象の目が、据わっていました。


ナウマン象たん「カツ男…かわいい…かわいいよ」


 それはもう、愛に狂った女の目でした。カツ男が擬人化したことで、彼女の愛は暴走をはじめたのです。


ナウマン象たん「愛している…ひとつになりたい。身もココロも…血も……肉も………肉も!!」


 テーブルに置かれていた料理道具のなかから、巨大な肉切り包丁を手にしたナウマン象。それを思い切り振り上げて、カツ男めがけて







日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「シリーズ 世界の拷問」の巻
ヒロシ「どんな拷問にも耐えることのできる鋼の精神を身につけることができる機密道具だして!!」


 反政府テロ組織『お兄ちゃん大好き!』に所属し、政府と密接なつながりがある金歯コンツェルンのことを嗅ぎまわっていたことが露見したヒロシは、まもなく秘密警察に連行され、拷問にかけられます。


 もし口を割れば、組織の掟により、ヒロシは処刑されます。ヒロシは掟を守る自信がないのです。


マルぼん「これを身に付けてみて」


ヒロシ「なにこれ。ブレスット? はい、身に付けたよ。って、ええ!?」


 マルぼんは持っていた鈍器のようなものでヒロシの頭を殴打しました。「なにをするのかね!?」と突っかかってくるヒロシに、黙って貯金通帳を見せるマルぼん。


ヒロシ「僕の通帳じゃないか。あ、残高が…増えている!!」


マルぼん「このブレスレットを身に付けているとだな、体がなんらかのダメージを受けるたび、自分の口座にそれなりの金額が振り込まれるのです。


マルぼん「拷問を受けてダメージを受ければ、貯金は増える。耐えれば耐えるほど拷問を受け続けることができ、ダメージを受ける機会も増え、貯金は増える!! 鋼の精神よりも強いものは、すなわち欲望だよ!!」


ヒロシ「すごいや!!」


 そんなわけで、拷問に備えて体力づくりをすべくご飯を食べることにしたマルぼんたち。


ママさん「ごはんはできているわよ」


ヒロシ「いっただきまーす!! もぐもぐ」


マルぼん「!?」


 ヒロシがごはんを食べた瞬間、貯金が増えました。例のブレスレットの効果です。


 食べれば食べるほど、増えていく貯金。


 マルぼんは味噌汁を一滴、金魚の入っている水槽にいれました。一瞬にして死ぬ金魚。


ヒロシ「おいしいおいしい。もぐもぐ」


 増えていく貯金。


ヒロシ「もぐもぐ」


 増えていく、貯金。



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「占い」の巻
テレビ『今日のかに座のラッキーアイテムは、「タツノオトシゴのミイラ」ですー』


ヒロシ「はん! なにがラッキーアイテムだ。アイテムもっているだけでラッキーになれるなら、今頃僕は、世界大統領だよ」


マルぼん「なれるよ」


ヒロシ「え」


マルぼん「『みらい超占い本』。この占いの本には。持っていれば確実に効果のあるラッキーアイテムを紹介してくれる!」


ヒロシ「ま、まじで!? じゃあ、ぼ、ぼくのラッキーアイテムを調べておくれよ!」


マルぼん「よしきた。えっとヒロシは……7月生まれだから…あった。『このアイテムを持っていれば、確実に職にありつけます』だって」


ヒロシ「この氷河期に確実に職が約束されるとはありがたい! して、そ、そのアイテムとは!?」


マルぼん「『友人の小指』だって」


 ヒロシは包丁を持って、ナウマン象の家へと向かいました。


 ヒロシは願通り働く場を手に入れました。自由のない、塀に囲まれた場所にあるステキな職場で働いております。あと数年くらいしたら出てくると思いますので、みなさん仲良くしてやってネ!



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「年度末システム考えたやつ出てこいよ。謝れよ」の巻
ヒロシ「つゆと生き つゆと消えにし 我がいのち…」


マルぼん「なにそれ。辞世の句? パクリやん」


ヒロシ「なりゆきで、ナウマン象の野郎と決闘をすることになったんだよう。あいつ、普通の生活をしている限り一生見ることのなさそうな武器とか用意しているんだ。『脳吸出し便箋』とか、『胆嚢抉り出しポイ』とか、『膵臓炎症させエコバッグ』とか、『寿命奪いメガネクリーナー』とか、『腸閉塞起こしつくしんぼ』とか、『嫁燃やしメロンソーダ』とか、得体のしれない武器を、それはもう数多く。僕はもう、だめだ。死ぬ羽目になるだろう」


 マルぼんは、ヒロシの生命力を主食にしている森の妖精(新設定)なので、宿主であるヒロシに先立たれると非常に困ります。だから、機密道具を用意しました。


 スポイドでヒロシの服に液体をかけるマルぼん。服に、染みができました。そして、マルぼんは、ヒロシを無言で殴りました。


ヒロシ「あ、ああ!? 気持ちいいー!? んほおおおおおおおお」


マルぼん「この機密道具は『楽染み』。この液体で染みをつけられると、一番嫌なことがすばらしい快楽となる。暴力が一番嫌いなヒロシくんは、暴力を振るわれることで快楽を得る体となった」


ヒロシ「こいつはすごいや!」


男「その染み、ぜひとも私にも作ってください!」


 通りすがりの男性が、突然、マルぼんに懇願してきました。それなりの金はでるようだったので、マルぼんは『楽染み』をその男性に使いました。


 お辞儀をして去っていく男性。


ヒロシ「どんな人だったの?」


マルぼん「近所の病院の医師。明日、はじめて1人で手術をするらしいのだけど、どうしても、人の体にメスをいれるのか嫌で、死すら視野にいれていたんだって」


ヒロシ「へえ。ということは『楽染み』のチカラで、『人の体にメスをいれる』のが志向の快楽になったんだね、あの人」


「現役医師、白昼堂々、メスで通り魔! 5人が死傷!」というニュースが新聞の紙面を賑わしたのは、翌日のことでした。


 マルぼんは『楽染み』の効果は絶大だと思いました。



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「騎士道大原則ひとーつ」の巻
 ヒロシがなんか紙を見つめてよだれをたらしています。紙には『ルナちゃん』と書かれていました。


ヒロシ「ルナちゃんはぁはぁ。ルナちゃんはぁはぁ」


マルぼん「なんで『ルナちゃん』という字だけで、そこまで発情できるの? それが萌えるってやつなの?」


ヒロシ「ぼ、ぼくは…ぼくはねえ、ルナちゃんを守るためなら…なんだってできるんだぁ。へ、へへ…ぼくはねえ、ナイトなんだぁ」


マルぼん「キモいけど、好きな相手を守りたいという志は買おう。よし、これを身に付けたまえ。『騎士道メダル』」


『騎士道メダル』を身に付けるとその人の脳が、守りたい人の脳とリンクします。


 守りたい人が不快になると、その不快な気分がメダルを装備した人の脳に送り込まれます。メダル装備者は、守りたい人の不快さの原因を取り除くため、体が勝手に動くのです。


ヒロシ「これを装備していたら、僕は大好きなルナちゃんの騎士になることができるのですね! さっそく、ルナちゃんに報告してくる!」




ヒロシ「というわけで、キミは僕がまもる! それじゃ」


ルナちゃん「そう。それじゃあ」


 去っていくヒロシくん。


ルナちゃん「またあのキモ少年が、ロクでもないことをはじめたみたい。最終的には、悲惨な目に遭うんだろうなぁ、いつものパターンからいって。あいつ、どうにかして、いなくならないかしら」



救急隊員「どうしました!」


マルぼん「ヒロシくんが突然、走り出して道路に飛び出して車に!」



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「不審者はマルぼんに任せろ!」の巻
不審者「さぁ、おじさんと一緒に、不幸も悲しみもない幸せの国へ旅立とう!」


ルナちゃん「幸せの国…ステキ!!」


マルぼん「ルナちゃん、色々な意味であぶなーい!!」


ずきゅーん!!


不審者「おぶっ」


ルナちゃん「ああ!? 幸せの国の使者さま!!」


マルぼん「ルナちゃん、こいつは幸せの国の使者さまじゃなくて、近所でも話題の不審者(ベレー帽を被って画家を装い、スポーツカーに乗り、ターゲットを釣る)だよ! 付いて行ったらヤバイじゃすまないよ!? 半日くらい、車であちこちを連れまわされるよ!?」


ルナちゃん「いいえ、この方は…足を撃たれてのたうちまわっているこの方は、幸せの国の使者さまよ。実は幸せの国のプリンセスである私を迎えに来てくれたの」


マルぼん「現実を直視しなよ。幸せの国の使者は、この男みたいに下半身を露出させていないよ」


ルナちゃん「現実つまんねえ。現実つまんねえ。つまんねえ現実を見るくらいなら、私は一生、妄想の中を生きるの」



マルぼん「このヒロイン、もうダメだ!」


 ダメなまま放置するのもどうかと思ったので、マルぼんは機密道具『性格変更CD』を使用することにしました。


 まず、『性格変更CD』のラベルに、対象者をどんな性格にしたいか記入します。たとえば、対象者を泣き虫にした時は、ラベルに『泣き虫』と書きます。


 その『泣き虫』と書いたCDをラジカセに入れて、性格を変えたい相手が寝ている時に、枕元に置き、八時間聞かせ続けます。


 睡眠学習の要領で、聞かせられた人は目が覚めたら泣き虫な性格になっています。


 マルぼんはたまたま(本当に)持っていたスタンガンでルナちゃんを(やや暴力的に)眠らせ、近所の廃屋に連れ込み、ルナちゃんの母親の携帯に『ルナちゃんは無事です』とルナちゃんを装ってメールを送り、『現実的』と書いたCDを八時間聞かせ続けました。


 そしてルナちゃんは目を覚ましました。


マルぼん「気分はどうだい?」


ルナちゃん「きえー!!」


 ルナちゃんは、『防犯のため』と称して日ごろから胸元に隠している硫酸入りの瓶を取り出すと、マルぼんにかけてきました。


マルぼん「ぎゃー!!」


ルナちゃん「現実め! 現実め! 私の世界に入ってくるな! 私の夢を汚すな! 現実め!」


 すべてが終わり、ルナちゃんが手の届かないところへ旅立った後、マルぼんがCDを確認すると、『現実的』ではなく『現実敵』と書かれていました。


 ドジなマルぼん! 皆さんも誤字には気を付けてね!




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「私はやってない! 潔白だー」の巻
ヒロシ「なんだと!? どこの馬の骨ともわからないひげ親父の毛(どこの毛かは、秘密。知りたい方、作者までメールを)に入った水を『聖水だ!!』と飲み干し、なおかつ一万五千円で売りつけてくる女が何を言う!!」


ルナちゃん「キー!! あたいのことはともかく、偉大なる尊師の悪口まで言うなんて!! 死んでからまた死ね!! 来世はうじむしになあれっ」


 以上のようなカンジでルナちゃんと喧嘩したらしいヒロシ。なんだかとてつもなく、おちこんでいます。


ヒロシ「よく考えたら、僕の交友関係にいる女性は(お母さんを除いて)ルナちゃんくらいだ。ルナちゃんと絶縁したら、僕は一生(お母さん以外の)女性と話す機会がないかもしれない…へ、ウへへ…死のう」


マルぼん「待て待て。『今の旦那が怒るので息子捨てます』みたいなお手軽感覚で、地球よりヘビーとされる命を捨てようとするな。いい機密道具があるからさ。はい『復縁筆』」


『復縁筆』は鉛筆の機密道具。まずこ適当な紙にこの鉛筆で自分の名前を書きます。同じ紙に、復縁したい人の名前を書きます。すると、ウソみたいに復縁できてしまうのです。


 さっそく紙に『大沼ヒロシ』と『羽柴ルナちゃん』と書くヒロシ。書いた直後、ルナちゃんから電話がかかってきました。


ヒロシ「え、ホント!? うん…うん。あ、ありがとう。うん。うん。うん!! それじゃあね!!」


マルぼん「どうだった?」


ヒロシ「上納金230万円を納めたら口をきいてくれるって。さらに30万円納めたら、一緒に下校してくれるって! ありがとうマルぼん。『復縁筆』最高ー!!」


 ルナちゃんとの和解費用計260万円を用意した(ルナちゃんの紹介してくれた消費者金融で借りた)をヒロシは、
なぜかさえない顔。


ヒロシ「実はね、他にも和解してほしい人がいるんだ」


マルぼん「へえ。いったい誰?」


 ヒロシは『復縁筆』で「ヒロシのおかあさん」「ヒロシのおとうさん」と
書きました。


マルぼん「ヒロシくん…」


ヒロシ「へへ…父兄参観も近いし、ね」


 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。


男性は、ヒロシがかつて『父』と呼んだ男でした。

ママさん「タカヒロ…」

タカヒロ「許してくれるなら…やり直さないか」

ママさん「もう…馬鹿なんだから」

 ひしと抱き合う2人。こうしてヒロシに『父』が戻ってきました。




 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。



男性は、ヒロシがかつて『パパ』と呼んだ男でした。

ママさん「マサヒロ…」

マサヒロ「許してくれるなら…やり直さないか」

ママさん「もう…馬鹿なんだから」

 ひしと抱き合う2人。こうしてヒロシに『パパ』が戻ってきました。




 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。



男性は、ヒロシがかつて『父上』と呼んだ男でした。

ママさん「イエミツ…」

タカヒロ「許してくれるなら…やり直さないでござるか」

ママさん「もう…馬鹿なんだから」

 ひしと抱き合う2人。こうしてヒロシに『父上』が戻ってきました。



 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。



男性は、ヒロシがかつて『ダディ』と呼んだ男でした。

ママさん「ヒロミ…」

ヒロミ「許してくれるなら…やり直さないか」

ママさん「もう…馬鹿なんだから」

 ひしと抱き合う2人。こうしてヒロシに『ダディ』が戻ってきました。




 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。



男性は、ヒロシがかつて『お父様』と呼んだ男でした。

ママさん「ジェファーソン…」

ジェファーソン「許シテクレルナラ…ヤリ直サナイカ」

ママさん「もう…馬鹿なんだから」

 ひしと抱き合う2人。こうしてヒロシに『お父様』が戻ってきました。




 しばらくすると、1人の男性がママさんを訪ねてきました。



男性は、ヒロシがかつて



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「とくにおちもない話」の巻
 ヒロシが真剣な顔をしてパソコンに向かっていたので「どうしたのカナ? 調べ物カナ? 西野カナ?」と尋ねてみると


「働かずに楽して暮らしたい」とか


「今の親は偽者で、本当の親は大金持ち。今まさに、リムジンで僕を迎えにきている」とか


「知り合いの臓器を合法的に売る方法」とか、そんな不吉ワードを検索していました。


マルぼん「貴様! 楽して金持ちになりたいとか、ロクな考えじゃないぞ!?」


ヒロシ「ああー水道の水がある日突然、石油にならねえかなー」


 マルぼんは無言でヒロシをなぐっていました。


ヒロシ「なにをいたす、下郎!! であえー国家権力であえー!!」


マルぼん「うるさい!! 殴ったほうも痛いんだ(心が!!)」


 マルぼんは、見ていると努力の大切さが身に染みて分かる観葉植物型機密道具『努緑』を出し、「汗水流して働くことの大切さ」「楽して稼いだ金は身につかない」と、ヒロシに説教をしました。その説教の成果もあり、ヒロシはようやく働くことを決意してくれたのです。


ヒロシ「ただ働くだけじゃ、ダメだと思う。僕、ヘルパーの資格をとろうと思うんだ。そして、福祉の仕事に従事する」


 すぐに行動にうつすヒロシ。ヘルパーの資格をとった現在、ホームヘルパーとしてあちこちのお年寄りに家を飛び回っています。マルぼんも一安心です。



ヒロシ「おばあちゃん、こんにちは」


おばあちゃん「ああ、大沼さん。こんにちは」


ヒロシ「さっそく掃除からするね。あ」


おばあちゃん「どうしたの?」


ヒロシ「おばあちゃん。通帳だしっぱなしだよ。危ないよ」


おばあちゃん「そうかねえ」


ヒロシ「おばあちゃん。よかったら、僕が預かっておこうか」


おばあちゃん「いつも熱心にやってくれる大沼さんなら、安心だわ。
あずかってちょうだい」


ヒロシ「よし。きちんと預かっておくから安心してね。絶対きちんと預かっておくから
安心してね。絶対勝手につかわないし。うん。つかわないし。熱心に働いていたのも、
別に信用を得るためとかそんなんじゃないし。うん。ないし」



 くどいようですが、一安心です。

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「何でも買います! なんだって!」の巻
ナウマン象「おい、金歯! 貴様の会社の商品に、異物が混入されていたぞ。金よこせ!」


金歯「勘弁してよ!」


ナウマン象「おい、ヒロシ! 貴様に保険金をかけたから、死ねよ!」


ヒロシ「シニマース!(自害)」


ナウマン象「ルナちゃん…俺…俺!」


ルナちゃん「きゃー! けーだーもーのー!」


 こんな感じで、毎日をケダモノのように生きているナウマン象。そのナウマン象のまわりに、異変が起こり始めていました。


ガシャーン。


ナウマン象「うわっ! だ、だれだっ。窓に石をぶつけたやつは!」


出前持ち「ちわーっす。注文の特上寿司30人前、お持ちしました」


ナウマン象「そんなの注文していないYO!」


暗殺者「キキッ!」


ナウマン象「ゲェー! 暗殺者!? ひぃー!」


明智光秀「敵は…敵は微笑町3丁目45の4『ハイツ泥田坊』の404号室にあり!」


ナウマン象「夜襲だっ! であえ、であえ!」



ナウマン象「…こんな感じで、俺、いつのまにかあちこちから怨みを買っていたらしいんだ…なんとかしてくれよ」


マルぼん「無理だね」


ナウマン象「そ、そんなこと言わないで、なんとかしてくれよう」


マルぼん「う~ん。怨みを消すことはできないけど、怨まれまくっていたら得をする機密道具ならあるよ。はい『買い鳥』」


買い鳥「こんにちは。私こと買い鳥は、未来百貨店の代理店を勤めておりますです


 と、そのとき。ナウマン象がヒロシ宅にいることを突き止めた誰かの仕業なのでしょうか、火炎瓶が投げ込まれました。


買い鳥「今ナウマン象さんがぶつけられた怨み、30万円で買い取らせていただきます」


ナウマン象「さ、30万円!? マジで!」


マルぼん「『買い鳥』はどんな物でも、たとえものでなくても買い取ってくれるんだ。どんなに人から怨みを買っても、その怨みをさらに買い取ってもらえる。お得だろ」


ナウマン象「そいつはすげえ。すげえや。…待てよ。怨みを買いまくったら、俺は光の速さで億万長者じゃねえか?」


マルぼん「そうだね」


ナウマン象「よし。よしっ。思うままわがままに生きて、億万長者になってやるぜ」


ヒロシ「……」


ナウマン象「お、ヒロシの死体。ちょうどいい。おまえ、死んだら遺骨を海に撒いてほしがっていたけど、そんなことしてやるか。鳥葬だ、鳥葬!」


ヒロシ「……」


ナウマン象「ガハハ。憎め。俺を憎め!」


 それから時がたつこと数日。


ナウマン象「親父が俺に多額の保険をかけたんだ。で、今日、家で飯を食ったら、尋常じゃないくらい体が悪いんだ」


買い鳥「すんばらしい怨みですね。45万円で買い取らせていただきます」


ナウマン象「……俺さ、最近、外にでるのがいやなんだ。すれ違う人すれ違う人すべてが、俺の命を狙っているように思えて。お前と出会ってから、積極的に人の怨みを買うような行動をしているだけど…間違っているよな。なんとかならないか。ならないのか」


買い鳥「ようするに、人の温かみがほしいと」


ナウマン象「うん」


買い鳥「わかりました。少し待ってください……OK!」


ママさん「あら。ナウマン象ちゃん。ちょうどよかった。毒の入ってない暖かいスープがあるけど、飲んでいく?」


ナウマン象「……あ、温かくておいしい」


ママさん「やだ、おおげさよ」


ナウマン象「本当においしいです! 情がこもっていて……ありがとう。ありがとう。俺は、人を嫌いにならずにすみました。恩に着ます!」


買い鳥「はい、確かに。では、150万円いただきます」


ナウマン象「え」


買い鳥「今、私があなたに売った『恩』の代金ですよ。『怨み』で儲けた金があるから払えるでしょ」


ナウマン象「ぼったくりだっ。二度と『恩』なんて買うもんか!」


買い鳥「あなたは、怨みだらけの暗くて冷たい光のない世界を、人の情けなしで過ごしていくんですが。お強いですね」


ナウマン象「う。うう。光…光ぃ」


 その後、ナウマン象はあっという間に『恩』のために資産を失い、今では消費者金融に入り浸っているとか。怨みを買うのも恩を売るのも計画的に。



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ヒロシの仲間たち18 中村さんちの未亡人
 微笑町3丁目に住んでいる中村さんの奥さん。夫である中村さんが亡くなった後、哀しみという名の色気を身に着けたことで、男どもの目を引き付けるようになった。その後、「こち亀」で両津の珍商売が成功したとき並の勢いで、フィギュア化、ゲーム化、アニメ化、映画化、実写ドラマ化されて、巷の話題をかっさらう。


 NHKでも特集が組まれるなどして大いに話題になったが、ある日、中村夫人の知人だというネクロマンサーのA氏が週刊誌で「自分は中村さんの夫をゾンビとして生き返らせた」と告白し、翌日には記者会見を開いた。A氏によると、数年前に知人を通じて知り合った中村夫人から、「近々、夫が死ぬので、ゾンビとして生き返らせてほしい」と頼まれたという。軽い気持ちで引き受けたものの、いつの間にか、中村夫人が世紀の未亡人として扱われていることに罪悪感を覚え、告白に至ったという。


 週刊誌が中村夫人を追及したところ、彼女は事実を認めた。墓の下に隠れていた中村氏も姿を現し、「自分は未亡人萌えで、是非とも妻に未亡人属性を持ってもらいたかった。色々考えて、自分が一度死んでゾンビ化して蘇れば、妻が未亡人属性をもてるのではと思いついた」と真相を明らかにし、「正直、こんなにブームになるとは思わなかった。反省しています。これから成仏します」と反省の色をみせた。


 

主な登場回……第69話「彼女が喪服に着替えたら!」、第70話「故人授業は斎場で」、第77話「やつらの足音が聞こえた!」

 


 


 

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「とくになし」の巻
 ヒロシが北朝鮮の核施設にダイナマイトを抱えて突撃し、警備員によって射殺されました。
享年10歳。


「だいたい人類ってのは、なんでもかんでもすぐに捨ててゴミ扱い。バカじゃないのバカじゃないの。限りある資源をどう思っているの」


 常々そんなことを言っていたヒロシは「僕、今シャアみたいじゃない?」とか言って人類に絶望し、北朝鮮の核施設で爆発して色々しようと考えていたのです。


 その最中の、死。


 マルぼんは亡きヒロシの思いを叶えるべく、動き始めました。


「アクラッツTD」この薬を服用すると、醜いもの悪いものが美しいもの善いものに見えるようになります。醜ければ醜いほど美しく、悪ければ悪いほど善いものに見えます。


 マルぼんは「アクラッツTD」を大量に購入し、ダムに投入しました。


 町の住人に「アクラッツTD」の効果が出始めました。ゴミを漁る隣のおばさん。新車を自分でボロボロにぶっこわして悦に浸っている隣のおじさん。


ヒロシ「まさに理想郷だね」


 生き返ったヒロシも大喜び。


ヒロシ「この調子で世界中に革命をおこそう…俺たちが理想だ!!」


 敬礼ポーズをキめたヒロシに、麻袋を持ったナウマン象が襲いかかったのは
その直後でした。


ナウマン象「ヒロシかわいいよ、かわいいよ…」


 麻袋にヒロシを詰め込み、逃げていくナウマン象。マルぼん「そうか。『アクラッツTD』の効果で、醜いヒロシがかわいく見えているんだな」


金歯「あ、美しい生き物発見!!」


マルぼん「え?」


金歯「マルぼんは美しいでおじゃるな。その美しさ、永遠のものとしたい…」


 マルぼんは、金歯の配下の黒服によって金歯リムジンに押し込められました。


金歯「腕のいい剥製職人が、うちにいるのでおじゃるよ」


 君たち、金歯家専用美術館で、僕と握手!
 

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「恋した相手はプランクトン」の巻
ヒロシ「今から死ぬ」


マルぼん「ははは。見てみなよ、ヒロシくん。この漫画最高だよ。あははは。ひっひっ…あひゃひゃひゃひゃ!!」


ヒロシ「(死亡ネタ、使いすぎたか…)人生がつまんねえんだよ!! なんとかしてよ!!」


マルぼん「ひっひひひひ!! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 最高だ、最高だよこの漫画」


ヒロシ「保健所に通報。怪しげな生き物が部屋に居ついていると、保健所に通報する」


マルぼん「これなんかいかがですか、大沼の坊ちゃま。クイズ即席マシーン。ボタンを押すとですね、押した人の身近な事柄からクイズを作り出してくれる、未来の世界の人気玩具です」


ヒロシ「このスイッチを押せばいいの?」



第一問

今夜の大沼家の晩御飯は次のうちどれ?

A カレーライス 

B 鍋焼きうどん 

C ビーフストロガノフ



ヒロシ「なるほど。こんな感じでクイズが作られるんだね」


マルぼん「どうでしょうか、おもしろそうでしょう?」


ヒロシ「うんうん。ようし。どんどんクイズを作って、自分だけのなぞなぞ本を作るぞっ!!」




第二問

ヒロシくんの父親は服役中ですが、罪状は?

A 幼女へのストーカー行為 

B 老女へのストーカー行為 

C 女優へのストーカー行為



第三問

新しい恋人との新生活のため、まとまった資金のいるヒロシくんのお母さんは、
ヒロシくんに保険をかけました。そんなヒロシくんのお母さんが最近こっていることは?

A ヒロシくんの食事に少しずつ毒を混ぜる。

B ヒロシくんの食事に結構な量の毒を少しずつ混ぜる。

C ヒロシくんの食事に結構な量の毒をダイナミックに混ぜる。



ヒロシ「死ぬ」


マルぼん「坊ちゃまー!!」



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「季節外れだったと反省している」の巻
ヒロシ「ふんふんふふーん♪」 


マルぼん「おやヒロシ氏。鼻歌まじりでノートになにを書いているの?」


ヒロシ「これだよこれ。見てよ」 


マルぼん「えっと、なになに。『運動会を考えたヤツ、死ねとは言わないけど息の根とまれ』。え、ノートの全ての行全てのページに同じことが書いてある!しかも一行ごとに全て色が変えてある! きもっ」 


ヒロシ「へ、へへ…運動会を考えたヤツなんて、酷い目にあえばいいんだ。へ、へへ……運動会こそ、人類最大の愚行……!」 


マルぼん「そうか。微笑小は、もうすぐ運動会。運動音痴のヒロシにとって、運動会はまさしく地獄。恐怖からついに発狂したか」 


 これから中学高校と進学していくヒロシ。いつまでも運動嫌いではまずいと思ったマルぼんは、機密道具を用意することにしました。 


マルぼん「『チュー毒』」 


ヒロシ「ネズミのおもちゃけ」 


マルぼん「このネズミの中には、犯されると『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』がいれてある。このネズミロボに噛まれると、その毒に感染することができるのさ」


ヒロシ「ちょ、毒とか使うなよ、毒はまずいよ。毒は。ど…」


 ガブッ。 


 こうしてヒロシは『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』に体を犯されました。


マルぼん「どうだ!? 運動がしたくてしたくて仕方なくなったろ」


ヒロシ「今度の運動会。スポンサーは金歯の家か」 


 マルぼんの質問に答えず、ヒロシは部屋を出て行きました。


ママさん「ねえ、ヒロシはどうしたの? なんかガソリンとか空き瓶を大量に抱えて出ていったけど」 


 金歯宅前。 


ヒロシ「金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!
金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!」


門番「なんだ貴様は!」


ヒロシ「『運動会をなくす会』の者だっ!! 金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!金歯一族は運動会のスポンサーになるのはやめろー!!」


門番「取り押さえろ!!」


ヒロシ「痛い痛い! 暴力を振るった! 暴力を振るった! みてください、この人暴力振るいましたよ! 善良な一般市民であるこの僕に! いてて、救急車よんでー!!」


門番「頭おかしいやつか!」


ヒロシ「なんだと、この資本主義の奴隷どもめ!!」


 手製の火炎瓶を投げまくるヒロシ。金歯宅は火の海に包まれました。


門番「うわ、うわあああああ!!」


 その場から逃亡したヒロシの行方は知りません。


 その後、交番の掲示板には『飛行機を乗っ取って某国に亡命した方々』『大企業に爆弾とか使って脅迫した方々』『凧を使って戦闘機をおとそうとした方々』の写真と並んで、ヒロシの写真が掲示されることとなったのでした。


 マルぼんは『運動が好きで好きでしかたなくなる毒』の効果は絶大だと思いましたが、「運動と言うより活動だよな」とチラッと思いました。



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「恨めしいなんて流行おくれ」の巻
金歯「幽霊なんているハズないでおじゃるよ。この文明社会でなにを言っているんでおじゃるかね、ヒロシは」


ヒロシ「幽霊はいるよ! たとえばこのCD。よく聞くと、かすれた女の声で『ヒロシおにいちゃん、だーいすき』って入っている!」


金歯「妄想でおじゃる」


ヒロシ「妄想ちがう! 妄想ちがうー!」


金歯「はいはい(笑)」





ヒロシ「ということがあったんだ。幽霊の実在を証明できる機密道具をだして!!」


マルぼん「うぃーす。『なんでも召喚マシーン』。こいつは実在するものから、実在しないかもしれないものまで、なんだって召喚できる機密道具さー。こいつで幽霊を召喚しませう」


金歯「くだらないことをやっているでおじゃるね」


ヒロシ「金歯…! 貴様、人の家に勝手に上がりこんで!!」


金歯「気にしない気にしないひとやすみひとやすみ」


 そして『なんでも召喚マシーン』のスイッチを入れて、幽霊の召喚をはじめて3時間…


金歯「やはり幽霊なんていないでおじゃるね」


ヒロシ「畜生…って、携帯に電話だ。ちょっと待ってね。ええっと、ナウマン象からか。もしもし…………ええ!?」


マルぼん「どうした?」


ヒロシ「マルぼん、ちょっと、部屋の外へ」


マルぼん「なんだよう」


ヒロシ「あの、ね。金歯が、対立する貴族の運転する牛車にはねられて亡くなったって。3時間前に」


マルぼん「……」


 部屋で幽霊を待つ金歯を見て、マルぼんは『なんでも召喚マシーン』の効果は絶大だと思いました。


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「ヒロシ、霧の中」の巻
 3日間音信不通になっていたヒロシがようやく帰宅。理由を聞いてみると

ヒロシ「給食を残したら、担任のサイノカワラ(イタズラをした生徒を河原に連れて行って、無理矢理に
石を積み上げさせ、いいところまで積んだら壊させるということを強要し、PTAから訴えられたということからついたあだ名)に怒られたんだ。で、学校の地下にある特別指導室(元防空壕。保護者には内緒で、色々やってます。それはもう、色々やってます。だって教師である前に人間だもの)に連れて行かれ、昼夜問わず飲まず食わずの強制労働。もう嫌だ。汚れたから死ぬ。僕は死ぬ」


とのこと。


 ちなみにヒロシが残した給食は「ぶどうパン」。パンのなかに干しぶどうがはいっているもので、ヒロシは干しぶどうが大嫌い。目の前にあるだけで「神は死んだ!」「自由も死んだ!」「大沼死すとも干しぶどうは死せず」「干しぶどうの表面のシワから殺し屋が僕を狙っている。誰に、誰に頼まれた!? 兄貴か!?」とパニックになったり、「サルでもできる自爆テロ」という本を片手に町内の「干しぶどう工場」の住所を調べたりするほど大嫌い。そんな物を「食えよ。世界には飢えで苦しんでいる人がごまんといるんだ。食えよ」と無理矢理食べさせるのは酷な話だと、マルぼんは思いました。


ヒロシ「マルぼん。苦手なものを克服できる機密道具、出してよ」


 ヒロシを不憫に思ったマルぼんは、色々考えてみることにしました。


「干しぶどうに中毒性のある草(幻覚のオプション付き)を混入する」「干しぶどうに中毒性のある粉(激しい被害妄想ができるようになるオプション付き)を混ぜてみる」「いっそのこと楽にする」など、ヒロシの安全を第一に考えた計画を立案しましたが、どうもしっくり来ません。


 で、さらに悩んだ末「嫌いなものなら好きなもので上から塗りつぶしてしまえばいいのでは」と、マルぼんは思いついたのです。マルぼんの知人の一人暮らしのおじいさんに、ジャガイモを親の仇みたいに嫌っている人がいるのですが、その人も大好物のカレーの具としてのじゃがいもは、「うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまい。うまいよおかーさーん」と、何かに獲りつかれたかのように、素手で貪り食ったりしますし。


マルぼん「ヒロシくんの好物って?」

ヒロシ「ぷに~でふわふわ~で萌え~な美少女」


「こいつは人間として腐っている」と思ったのも束の間。マルぼんはある機密道具のことを思い出しました。『擬人火』。この火で軽くあぶったものは、どんな物でも『ぷに~でふわふわ~で萌え~な美少女』にその姿を変えてしまうのです。マルぼんはさっそく干しぶどうをあぶってみました。


ヒロシ「すごい! 干しぶどうが光の速さで『毎朝、僕を起こしに来てくれる幼なじみ』に化身した!」


 美少化した干しぶどうを見て、早くも脳内設定を作りあげたヒロシ。


マルぼん「これで干しぶどうも克服だね」


ヒロシ「はぁ? 人間の姿をしたものを食べろだなんて何言ってンの? さてはマルぼん、留学先のパリで知り合った美人に食料としての魅力を感じてしまうタイプ?」


マルぼん「ここにもモラルの壁が」
 ヒロシ「結局、干しぶどう克服は無理だったね。所詮、未来の世界の生きる価値もないろくでなしの機密道具か」

マルぼん「な!? なんだと! 貴様! この口が! この口が罵詈雑言を産み出すのかー!?」


 こんなカンジで殺傷沙汰になったマルぼんとヒロシですが、半日後には「『擬人火』をいじって遊んで、おもしろおかしく生きていこうぜ」という結論に至り、見事仲直り。2人で町へと繰り出しました。


ナウマン象「おう。ヒロシじゃねえか。新しく買った薬の効果を確かめたいから、この風邪薬と睡眠薬を同時に服用しろよ」


 繰り出した瞬間、ナウマン象に遭遇したマルぼんたち。恐怖に駆られたヒロシは、とっさに『擬人火』でナウマン象をあぶってしまいました。


ナウマン象「ああ!? 俺様の体が『陸上に命をかけていたが足の故障で夢を断念し、生きる希望を失っていた時に心やさしいガキ大将と出会い、癒され、やがて愛情を感じるようになる美少女』になってる!」


 光の速さで事情を飲み込み、脳内設定を構築するナウマン象たん。


ヒロシ「なにを言っているんだナウマン象! その姿はどう見ても『クラスの世話焼き委員長』だろ!?」


ナウマン象「貴様の仕業か! このっこのっ!」


 男として譲れないもの(脳内設定)をかけて戦い始めるヒロシとナウマン象たん。しかし『ダメおたく。金も力もなかりけり』とはよく言ったもので、ヒロシは一方的にナウマン象たんに殴られています。「一人暮らしのおじいさんが命の次に大切にしている、今は亡き孫愛用のお茶碗」をも砕くナウマン象のパンチをまともに受けつづけるヒロシ。


ヒロシ「あれ!? いつものナウマン象に殴られている時は痛さしか感じないけど、今のナウマン象に殴られても痛くない…?
 それどころか、それどころか…この感覚は!」


 殴られながらも満面の笑みを浮かべるヒロシを見て、マルぼんも幸せです。


 そして、時はながれ、夏。


ヒロシ「きゃっ!? セミの死骸!」


 光の速さで生きることをあきらめたセミの死骸が道に転がっていたのを見て、ヒロシが嫌悪感がこれみよがしにつまった悲鳴をあげました。



ヒロシ「ぼ、僕は干しぶどうやマルぼんと同じくらい、セミが嫌いなんだ。特に死骸。なんで仰向けで死ぬんだよ。あの白い部分とか茶色の部分とか、ちょっとグロすぎない? というか全滅しろ!」


 荒れるヒロシ。


ヒロシ「あと、すぐ死ぬなよ。生きろよ。生きぬけよ。生きてればいいことあるんだから。生きろよ。生きてくれよう」


 壊れるヒロシ。小学生が壊れたままというのはマズいので、マルぼんは『擬人火』でセミの死骸をあぶりました。


ヒロシ「ああ…『口うるさいけど生徒想いの女教師(メガネを外すと美人)』の死骸! ああ!」


 その後も道でセミが朽ち果てているのに遭遇する度、マルぼんは『擬人火』を使いつづけました。スモッグとダイオキシンとなんとか2.5の量世界一の微笑町ですから、セミの死亡率もケタ違いで、マルぼんの作業量も半端なものではありませんでした。で、ようやく帰宅。


マルぼん「さぁ、お家に入ろう」


ヒロシ「その前に、どんなものでも腐らせず、永久に美しいまま収容できる機密道具だしてよ」


 美少女(本当はセミです。あくまでセミです。ええ、もちろんセミです)の死骸を山ほど抱えたヒロシが、満面の笑みをうかべていいました。幸せそうなヒロシを見て、マルぼんも嬉しかったのですが、近所の人は汚いものでも見るような顔をしてヒロシを見ていました。そんなわけで部屋はヒロシの持ち帰った美女の死骸(セミ)で埋め尽されているのでした。


マルぼん「捨ててきなさい。捨ててらっしゃい」


ヒロシ「マルぼんは、空想美少女がいっぱいなバーチャル世界にしか明日への活路を見い出せない哀しい哀しい社会の被害者が、ようやく見つけだした現実との接点(セミの死骸)を、生きるという苦しみから探しあてた希望を、捨てろというの!」


マルぼん「はい(即答)」


ヒロシ「こ、この鬼畜! 畜生! 保健所の監視つき!」


そろそろ真剣にうざいのでマルぼんは強制的にヒロシの希望を排除することにしました。『ナカッタのコト煮』。みらいのせかいに存在するナカッタという動物の肉を、みらいのせかいに存在するコトという果物を液状にしたもので煮て完成するお薬です。この薬は、機密道具の効果を打ち消す効能があります。


 例えば『機密道具の力で株のインサイダー取り引きで大もうけしようと企んだものの、あえなく失敗して全財産を失ってしまうも、人として大切ななにかを思い出した社長サン』に『ナカッタのコト煮』を使用すると、『機密道具で株のインサイダー取り引き』がなかったことになり、社長サンは元の『人を人とも思わず、独居老人を容赦なく騙して金を奪い、最期はマスコミの前で銃剣で刺し殺されるような冷酷非道な男』に戻ってしまうのです。


マルぼん「この『ナカッタのコト煮』で、美女をセミに戻してやる!」


ヒロシ「そんなことしたら、このエルドラドが一気に地獄に!」


マルぼん「ほらほらほらー! どうだぁ、ヒーロシィ!」


ヒロシ「美女の死骸がセミの死骸に! 美女の死骸がセミの死骸に!」


マルぼん「希望なんて儚いものだな、ヒーロシィ!」


ヒロシ「いや、いやー! って、美女のままの死骸がある! 夢は守られた! 希望も守られた!」


マルぼん「そんな馬鹿な!…って、これ、セミじゃないよ。これ…もしかして…」


ヒロシ「……現実。現実ゥ!? ひ、ひぃ! 現実キモい! 現実キモいー!」


 一ヵ月後。庭に大きな花が、咲きました。





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