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大沼ヒロシ

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「なんだかんだ言われるけれど、『トンカツ慕情』とかいい話もあるし、『美味しんぼ』は嫌いになれない。だが、『五年目のパスタ』の信! テメーはだめだっ!!」の巻
 ヒロシたち微笑小学校の少年少女。今日は調理実習の一環として、公園で生活するアウトドア主義者の皆さんへ炊き出しすることになりました。


 ヒロシの所属するブラックファング班は豚汁を作ったんですけど、せっかく作った豚汁を「このような物、豚の餌にもならぬ!」とドブに捨てた失礼極まりないじいさんがいたんです。


 じいさんは僕たちにしつこく付きまとい、「豚も食べない物を生み出す悪魔の子供らめ!」「貴様らのお母さんは、みんなワシの愛人だった! マジやよ! 嘘じゃないよ!? 今、わしのこと笑ったな!? どどどどどど童貞ちゃうわ!」」「晩飯はまだですか?」「おばあさん(故人。非実在)はどこですか?」「あなたはだれですか?(答・息子)」などと言ってきたので、「豚が豚汁を食ったら共食いですねー!」となんとなく小突いてみたら、そのじいさん、なんと代議士や政財界の大物も利用する高級料亭『泣いて美食を斬る』のオーナーだったのです!


 怒り狂ったじいさんは、その権力を駆使してヒロシたちをペットのハゲタカの生餌にしようと学校側に圧力をかけ、大ピンチに陥りました。


 じいさんに面識のあった金歯のとりなし(有料)で、とりあえず「いますぐ餌」ということはなくなったんですけど、「一週間以内に超美味い料理を差し出せ!できなきゃ体を紐でしばって砂漠に放置」ということになってしまったんです。


 マルぼんは「塩と砂糖の区別もつかない」「米を洗剤であらう」「夕食の買い物へ行ったと思ったら、引き取り手のない死体を引き取ってきた(深読み禁止)」など、今時ギャルゲーのヒロインにもないような料理オンチという設定があるので、
頼りになりそうにありません。


 なんとか超美味な料理をつくらなければならないということで、今日は学校を普通にサボり、いつものメンバーで集まって作戦会議です。


 料理の話と聞いたマルぼんが「名士が訪ねてきたので、女房を殺してその肉を調理して出した男の美談」とか「飢饉になったので村の誰かを殺してみんなで食う事になり、あるおばあさんがクジに当たって食べられることになったものの、不憫におもった嫁が自分が身代わりになった美談」など、なぜか中国のカニバリズムにまつわる話を嬉々とした表情で語りだしたりして、かなり邪魔だったのですが、なんとか会議は進みました。


 その結果、「山で遭難し、五日間飲まず喰わずの男が救助されたが、救出直後は何も食べることができず、なんとか食べることができたのが暖かいスープで、そのスープが絶品だった」という話を参考にし、スープ料理を作ることになったのです。というわけで、材料集めスタート!


マルぼん「山で遭難したといえば、昔、飛行機事故で生き残った人たちが死んだ人たちの……」


 材料集めスタート!!


 スープを作ることになったヒロシたちは、みんなで手分けして材料集めを開始しました。


 作るスープは『ガラハド・アイスソード』という名前のもので、「断食修行中の坊主もその匂いを嗅いだら辛抱できず、高い壁を飛び越えてまでやってきた挙句、作っている人を殺して奪い取るまでして貪り食い、有罪確定服役後も、もう一度スープを味わいたいばかりに仲間を煽って刑務所から脱獄(鉄格子に味噌汁を吹きかけてサビさせる)し、軍隊まで出動する大騒動を引き起こした挙句射殺され、最後は自称市民団体が『税金の無駄遣い。政府は謝罪しろ! 首相は靖国参拝するな!』と騒ぎ出してデモ行進をした挙句、国を相手取って未払い賃金計三千万円の支払いを求める裁判をおこすほど美味い」という逸話が残っている素晴らしいもので、当然のように材料も金と黒いコネクションを利用しなければ集まらないものばかりなのですが、ヒロシたちはまる一日をかけ、全てそろえることに成功したのです。


 残念ながら材料を集める過程で起きた某自然保護団体との壮絶な銃撃戦で、ブラックファング班のメンバーの半分が死亡・重傷・消息不明になってしまいましたが、彼らの犠牲を意味のあるものにするためにも、なんとしても『ガラハド・アイスソード』を完成させねばなりません。完成させたあと、班のなかでは一番の親友だったブライアンの遺骨を、彼の故郷であるマサチューセッツに届けなければなりません。勇敢だったブライアンの最期の言葉を、彼の妻と、娘と、年老いた両親に届けなければいけないのです。


 ヒロシは料理の教科書(「OH!MYコンブ」全巻)を手に、キッチンへと向かいました。


 今回はまるで蚊帳の外のマルぼんが「ソーセージ工場でバイトが一人行方不明。さてどこへ行った?(答・消費者の食卓)」などと、聞きたくない答えたくないクイズなどで妨害してきたのですが、そんな妨害には負けずヒロシはついに「ガラハド・アイスソード」を完成させたのです。


 さぁ、あのじいさん呼ぼうぜ! とか思っていると異変は起こりました。「ガラハド・アイスソード」から突然異臭が漂い始め、近くにいた人は全員鼻血が止まらなくなり、近所のドブでザリガニやフナが大量死し始めたのです。通報で駆けつけた警察の持ち込んだ検査用の小鳥は死ぬし、近所の雑貨屋ではガスマスクの値段が高騰するし、大失敗です!


 今から新しい料理を考えるのも作るのも不可能っぽいので、本気で万事休す。ヒロシが頭を抱えて悩んでいると、マルぼんがなぜか干し柿を差し出してきました。


マルぼん「この機密道具、使ってくれよ」


 マルぼんは、ヒロシを……露骨に仲間はずれにしたヒロシを助けてくれるというのです。ヒロシはマルぼんの友情に、涙がとまらなくなりました。ありがとう親友。ありがとう生涯の友。


ヒロシ「ありがとうありがとう……それで、この干し柿にはどんな道具なの?」


マルぼん「食べた人がどんなものでも美味しく食すことができるようになる機密道具さ。
正式名称は『干し餓鬼』。餓鬼地獄の鬼のおやつをイメージして作られたもので、未来の世界では好き嫌いという万死に値する罪を犯した小学生のお仕置に使用されるんだ。摂取したものは胃やら満腹中枢がバグって、何を食べても何を飲んでも満足できず、飢えや渇きが癒される事がなくなり、苦しみつづけてやがて発狂するんだ。あのじいさんが来たら、スープを飲む前にこいつを食べさせるんだ。だってホラ、お腹がすいたらなんでも美味しく感じるだろう?」


 さっすがマルぼん。もうなんでもいいや。




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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ヒロシは名ピッチャー!?」の巻
ヒロシ「最近は野球選手、それもピッチャーになりたいという思いがふつふつと湧いてきました。その想いの強さは、あの日、僕から家族を奪った戦争に対する憎しみと同程度であると、もっぱらの評判です。」


マルぼん「努力しなよ、努力は美しいよ。かわいいよ。かわいいは正義だよ」


ヒロシ「僕は理想と努力とマズい飯は大嫌いなの! 戦争と同じくらい嫌いなの!」


マルぼん「機密道具を出せと?」


ヒロシ「イエス! イエス! 名投手になれる機密道具を! この場に出しておくれよ!」


マルぼん「『なゲル』。このゲルを利き腕に塗れば、『投げる』という動作がとても上手に行えるようになる」


ヒロシ「すばらしい機密道具!」


 さっそく『なゲル』を利き腕に塗り続けるヒロシ。そうしているうちに。


ヒロシ「ぼぼぼぼぼぼくの利き腕が、なんかこう、、なんかこう、君の悪いメタモルフォーゼを遂げた! まるでタコの足みたいだっ」


マルぼん「ああ、副作用だな」


 今回の件で、ヒロシは、マルぼんを含めた『現代に生きるちょっと不思議な生物』全体に、「安易に道具や魔法の力に頼ってもいいものか?」という疑問を投げかけたのでした。


 疑問とかを投げかけられるようになったヒロシ。マルぼんは『なゲル』の効果は絶大だと思いました。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「俺とヒロシと人妻と」の巻
ヒロシ「3丁目の五色沼サンとこの未亡人、美しいなぁ。あれはもう、罪だよ、罪。美しさは罪。微笑さえ罪だよ。絞首刑だよ。電気椅子だよ」


マルぼん「おまえは同級生のルナちゃんが好きなのではなかったけ?」


ヒロシ「それはふるい設定さ。『僕がそのうちとんでもないことを子孫にまで迷惑をかけ、そんな歴史をかえようと、未来の世界からマルぼんがやってきた』という設定と同じくらい無意味。とにかく未亡人のハートをゲットできる機密道具をだしてください。これは命令です」


マルぼん「そんな機密道具ないよ。いろいろな機密道具があるけど、未亡人を虜にする道具だけは、いまだ開発されていないのだ。古典的だけど、ラブレターなんて書いてみたら? メールやラインなんかより喜ばれるかもよ。そうかもよ」


ヒロシ「ラブレターとは考えたね。よし。さらさらさら。できた。ホラ! 読んでみてよ!」




『僕はオスです。あなたはメスです。オスとメスがそろって、することはひとつです』

 
 以上、ヒロシのラブレターの内容でした! 現場から俺がお伝えしました!



マルぼん「ココロがこもってないな」


ヒロシ「ココロなんて生きていく上で邪魔。ココロがあるから、人は悲しみ、怒り、憎しみをもつんだ。そして殺人や戦争、虐殺、民族浄化、そしてピンポンダッシュなんてくだらないものをひき起こしちまうんだ、そんなもので苦しむのならば、愛などいらぬ。ココロなんて、そんなものいらない」


マルぼん「どっかの漫画のボスキャラみたいなこと言うなよ。ココロは大切だよ。ココロ最高」


ヒロシ「なら、ココロをこめた手紙を書ける機密道具だしてよ」


マルぼん「人として当たり前のことくらい、がんばっておくれよ。でもまぁ、いいや。このボールペンを使ってみ」


ヒロシ「あ、ああ? な、なにこれ。手紙を書いているだけなのに、なにこれ。ええー!?」


マルぼん「書いている手紙にココロがこもっている最中なんだ。このボールペンは、使用するだけでココロを込めた手紙を書くことができる」


ヒロシ「すげっ!! すげっ!! すげえ…げふっ」


 突然、白目になり、あけっぱなしになった口からヨダレをダラダラ流し始めるヒロシ。


ヒロシ「あ、うう。ああ…」


マルぼん「これはまるで抜け殻だ。たんなる肉だっ」


 例のボールペンを見てみると、ペン先に小さな穴が空いていました。


 次に、手紙に目を移してみると「あなたの肉をほうばりたい」だの
「あなたが死んだら墓を荒らしてでも、あなたをゲットする」だの
ちょっと濃すぎる愛の描写が盛りだくさんでした。


マルぼん「この穴のせいで、ヒロシのココロが必要以上に手紙にこもってしまって、ココロがなくなったらしい」


 人のココロは消耗品です。社会人なんて、すごい勢いでなくなっていきます。趣味なんかて補充しないといけないのです。だから明日は有給消化です。ぜったい有給を消化してやるんだから(上司への電話を躊躇しながら)。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「さようなら今世」の巻
 午前中、大脳が久しぶりに遊びに来ました。


「ボクは世の中は腐っていると思うでヤンス」「ボクにもなにかできることがあると思うでヤンス」と、なにやら壮大なことを語る大脳、「ヤンス」という安易なキャラ付け語尾がつくようになったせいか、妙にやつれた様子。


「そういえば学校は?」とマルぼんが不審に思っていると「トイレ貸して」と部屋を出て行ってしまいました。


 しばらくすると、ヒロシたちがすごい勢いで帰宅してきました。


 なんでも、大脳が「ベロたんなんでも入門シリーズ14・キミにもなれる! 即身仏入門」という本を残して、消息を絶ったというのです。


 直後、ママさんの叫び声、「大脳くんがトイレに入ってでてこない!」
 混沌とした21世紀に嫌気がさし、世の中に警鐘を鳴らすべ即身仏への道を決意した大脳。


 なぜか大沼家のトイレをその場所に選び、立て篭もっておられます。


 さっきから、大脳が鳴らしていると思われる鐘の音が鳴り続いています。


 説得をすることにしたマルぼんたちは、まず「ベロたんなんでも入門シリーズ14・キミにもなれる! 即身仏入門」で、即身成仏について学ぶことにしました。


 即身仏とは、自分の意志で生きながらミイラになるという仏教でも最高レベルの修行です。


 最初は、山に三年間篭り、米・麦・アワ・キビ・大豆を断つ「五穀断ち」というものを行ないます。


 次は「十穀断ち」。


 五穀断ちの五つに、トウモロコシ・イモ・ヒエ・小豆・ソバの計十穀を三年間断ちます。


「十穀断ち」を終えたら、水をひたすらに飲み体を清める。


 最期は空気穴のあいた桶に入って土に埋まり、死ぬまで鐘を鳴らしつづける(止まったらオダブツ)。


マルぼん「これで3年たったらミイラになっていて、即身仏完了」


ヒロシ「でもなんでウチの家のトイレにはいるのさ」


大脳「申し訳ないでヤンス」


 トイレの中の大脳が口を開きました。


 大脳は、かなり前から即身仏のことを決意していて、その準備を進めてきていたそうです。


「五穀断ち」「十穀断ち」を終えたところで、大脳は即身仏のことを家族に話したそうなんですが、家族は猛反対。


 大沼家のトイレに立て篭もったのは、両親に認めさせるためだとか。


大脳「両親がどうしても反対するのなら、ネットで調べて作った『周囲5キロ以内の生き物という生き物が死滅し、10年間、草木一本生えなくなっちゃうガス』で自爆する覚悟もできているでヤンス」


ヒロシ「通報! 母さん警察呼んでー!」
 通報で駆けつけた警官から、マルぼんたちは思いもよらぬ事実を聞かされました。


 大脳が大沼家のトイレに立て篭もったのとほぼ同時刻、町の各地で世を儚む系小学生が「即身仏になる」と立て篭もる騒動が同時多発しているというのです。


 そんな時、ヒロシのクラスの連絡網から新しい事件の一報がはいりました。


 ヒロシの同級生の中でも、フトシ君や炭水化物山くんといった、学校のよく言えばポッチャリ型、悪く言えばデブ、もっと悪くいえば生活習慣病直前な連中が、刃物片手に給食室に立て篭もったというのです。


 彼らは給食の残りを食べ散らしながら、教師や家族の説得に耳を貸そうとしないとのこと。


 町の各地で即身仏事件を起こしているのは、大脳と同タイプの「勉強はできる」ガリ勉タイプのこどもたちであるということが判明しました。


 即身仏になろうとするガリ勉たちと、給食室に立て篭もるデブたち……2つの事件は、なぜ同時に起こっているのでしょうか。マルぼんは必死で考えてみましたが、さっぱりわかりませんでした。


 ガリ勉たちとデブたち。共通点もあるとは思えません。


ヒロシ「しかし迷惑な連中だよね。ヤツらのせいで、来月開催予定の運動会は中止らしいよ」


 運動会? 中止?


 ……ガリ勉は運動が苦手、デブも運動は苦手。


 まさか。


 給食室に立て篭もったデブたち(突入した機動隊によって全員逮捕。動機は「腹いっぱいたべたかった」)のせいで、「即身仏になるとか言っている連中は、運動会をサボりたいだけ」ということになり、周りの人たちも「なりたきゃなれよ、即身仏」といった感じで、大脳たちのテンションも下がりっぱなし。


 我が子に失望した親御さん達も子供たちの即身仏化をあっさりと了承し、「それならば」と町も動き出しました。


 町役場の前にアリの飼育セットの巨大なヤツを建設して、即身仏志望の皆サマに入ってもらい「リアルタイム即身成仏の見れる町」として、町の観光名所にすることにしたようです。


 さっきマルぼんも見てきたんですが、大脳たちも「もう止めたい」「助けて。マジで」と照れ隠しなどしていましたが、望みがかなって嬉しそうでした。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「そんな2人の日曜日」の巻
 今日はみんな(マルぼん除く)で金歯の家に遊びに行きました。金歯の家にはシャーマンをやっている従兄弟が来ていて、金歯は彼のことをやたらと自慢してきます。


金歯「僕の従兄弟、救いの神さまを召喚する事ができるんだ」


ナウマン象「本当かよ~」


金歯「本当さ。さぁ、シャーマン。みんなに神さまを召喚してあげて」


従兄弟「ウンババ~(考えに考え抜いた呪文)! はっ!」


神「こんにちは」


ナウマン象「すげえ! なんか心がスっとした!」


ルナちゃん「私はなんてちっぽけなことで悩んでいたのかしら!」


金歯「これが救いというものだね。ムヒョー」


ヒロシ「ぼ、僕も僕も! はやく僕にも救いの手を差し伸べて!」


金歯「ごめん。この神は3人用なんだ。ヒロシの分の救いはないよ」


ナウマン象「ヒロシはもう帰れよ。ああ、もっと光を~」


ルナちゃん「ヒロシくんはもう帰ったら? 主よぉ私は浄化してぇ」


 ヒロシは泣きながら金歯の家を飛び出しました。金歯のいじわるで、ヒロシは愛憎や欲望が入り乱れた混沌の21世紀をなんの救いもなく生きていくハメになったのです。こうなったら頼れるのマルぼんしかいません。


 家に帰り「僕の魂を救済してくれる神さま出して~」とマルぼんに泣きついてみると、マルぼんは読んでいた漫画から視線を外す事なく、無言でなにやら豆のようなものをヒロシに渡してきました。説明書によると「ヤオヨロ豆」という機密道具だそうで、これを食べると世界中のあらゆる神からランダムで選ばれた1人が出現し、ひとつだけ願いかなえてくれる道具だとか。


 ようするに「これで魂であろうがなんであろうが好きなだけ救ってもらえ!」ということのようです。


 ヒロシは早速「ヤオヨロ豆」を飲み「神こい神こい」とひたすら念じつづけました。そうこうするうちに小1時間。部屋に煙が充満したかと思うと、中から絶世の美女の顔が浮かび上がってきたのです。女神! 女神ですー!




「僕と一緒になって下さい」。


「救ってください!」と言わなくちゃいけないのに、気づくとヒロシはこう言っていました。女神さまの美しい顔を見た瞬間「同棲開始→未来の怪生物追放→桃色同居生活」という未来予想図が脳内で構築され、口が勝手に動いていたのです。


「OKですよ」。あっさり承諾してくれる女神さま。ああ、女神さま。女神さま! これで明日からこのブログも「女神さまと暮らす」にサイト名変更ですよ! マルぼん? 死ねよ。


「それじゃあお邪魔しますよ」と言いながら煙のなかからでてきた女神さまは、頭部だけでした。正確に言うと、頭部に蛇の尻尾がついているだけの「巨大人面オタマジャクシ」としか形容できない存在でした。まるで邪神のようです……。崩れ行くヒロシの脳内未来予想図。ヒロシが呆然としていると、異変は起こりました。


煙が充満して振り向こうともしなかったマルぼんが、気づくと石化していました。


テレビやらパソコンやら電化製品が勝手についたり消えたりします。


雲ひとつなかった青空を、黒い雲が包み「ゴロゴロ…」と雷が。


「キャー! 突然町中の女性が妊娠したー!」
外から聞こえるとても説明的な叫び声1。


「キャー! 突然町中の動物が性転換したー!」
外から聞こえるとても説明的な叫び声2。


「キャー! マリア象が目から血の涙をながしたー!」
外から聞こえるとても説明的な叫び声3。


「キャー! 終末時計が一気に3分進んだー!」外から聞こえるとても説明的な叫び声4。


「キャー! 実はノストラダムスの例の予言が示す日が今日ということが唐突に判明したー!」外から聞こえるとても説明的な叫び声5。


 どう贔屓目にみても、邪神のようです。いろいろめんどくさくなったので、ヒロシは寝ました。


 翌朝。朝ご飯を食べようと台所へ行ったら、お母さんが赤ん坊になっていました。昨日、降臨した邪神ちゃんは、ヒロシの行くところ行くところについてきては災厄をばら撒いているので、そのせいだと思います。


「ごはんできましたよ、ヒロシさん」。台所のテーブルには、頭と尻尾だけでどう作ったのか、邪神ちゃんの作った朝食が並んでいました。一見普通の和食ですが、実際は「知能を持った焼き魚の活け造り(焼かれているけど生きていて、そのずば抜けた頭脳を活かして『熱い…熱いよぉ』『早く殺して!』『人間のすることか』と苦しみや憎しみを訴えてくる)」とか邪神っぽいものだったのでヘコみました。


 頼みの綱の自称「未来の世界からやって来た素敵な素敵なお友達」は昨日から石化したままで何の役にも立たないので、現状を打破する手段がありません。そうこうしているうちに学校がはじまる時間。今日はテストがあるので、さらにへコんでしまうのヒロシなのでした……


「テスト、イヤですか?」。登校途中、当然のようについてきた邪神ちゃんが言いました。「そりゃそうさ」とヒロシが答えると邪神ちゃんはどこかへと飛んでいってしまいました。 学校につくと先生や生徒たちが倒れていました。みんな皮膚が黒くなり苦しそうです。


「なんかペストが発生したらしいからしばらく学校閉鎖らしいわよ」
近くにいたルナちゃんが言いました。


「今日の給食、プリンがあったんだけど残念だ」
ナウマン象が残念そうに言いました。


「うちにペストのワクチンがあるから、みんなおいでよ。あ、3人分しかないからヒロシは遠慮しろよ」
金歯が言いました。


 去っていく3人の後姿を見つめていると、いつのまにか近くに邪神ちゃんが存在していました。「これで学校休みですね。テストもありませんね」。全ては邪神ちゃんの思いやりの賜物だったのです。思わず胸が「キュン♪」としてしまったヒロシは、無言で邪神ちゃんを抱きしめてしまいました。邪神ちゃんとひっついた部分の皮膚が煙をだしてただれはじめましたが、ヒロシは邪神ちゃんをより強く抱きしめるのでした。


 翌朝。昨日のことがあったせいか、照れくさくて邪神ちゃんをまともに見ることのできないヒロシです。邪神ちゃんも照れくさいらしく、ヒロシと目が合うと顔を赤らめてどこかへ飛んでいってしまいます。そとから爆音と悲鳴がしましたが無視、無視、無視。



 石になった自称「未来の世界からやって来た素敵な素敵なお友達」は河原に、赤ん坊になってしまったお母さんは教会の前にそれぞれ放置してきたので、家はヒロシと邪神ちゃんの2人きり。この状況も照れをレベルアップを助長している様子。


 ヒロシとしてはもっともっと邪神ちゃんとスキンシップを測りたいのですが、がんばって話しかけてみても「義理とはいえアナタなんてお兄ちゃんなんて認めないもん!」とか「許婚なんて親が勝手に決めただけよ」とか言ってすぐにはぐらかされてしまいます。


「ひょっとしたら嫌われたのかも」とヒロシが落ち込んでいると、ふいに右の掌に激痛がはしりました。見てみると掌に傷ができ、そこから流れる血はまるで文字のようで「ゴメンネ」と読み取れました。どうやら、奥手な邪神ちゃんの精一杯の意思伝達手段のようです。


 ヒロシがあさっての方向を向いたままの邪神ちゃんに「気にしてないよ」と言うと、今度は左の掌に激痛・出血。血は「アリガトウ、ダイスキ」という文字の形。


 ヒロシがあさっての方向を向いたままの邪神ちゃんに「僕もだよ」と言うと、今度は右足に激痛・出血。血は「ウレシイ」という文字の形。


 ヒロシがあさっての方向を向いたままの邪神ちゃんに「僕もうれしい」と言うと、今度は左足に(以下略)。


 こんな感じで一日中邪神ちゃんと言葉と血文字のキャッチボールに興じていると、ヒロシはあることに気づきました。立っていると頭がフラフラし、気を失いそうになるのです。恋です。恋にちがいありません。ヒロシはきっと、邪神ちゃんに恋をしているのです。

 恋に生きる毎日とは、たとえそれが平凡でも素晴らしいものだと思います。今日もヒロシは邪神ちゃんとの蜜月を楽しみにしつつ、いつものメンバーと登校です。



ルナちゃん「親戚のおばさん、生れてきた子供にツノとか尻尾とか生えていたんですって」


ナウマン象「俺の姉ちゃんは生れてきた子供が光の速さで成長し、すでに老衰で危篤状態なんだ」


金歯「ウチのメイドは生れてきた子供の第一声が『生んでくれって誰が頼んだ』だったそうでおじゃる」

 平凡。平凡。本当に平凡な毎日。邪神ちゃんの影響で、少しファンタスティックになっている気もなきにしもあらずですが、なんの変哲もない平凡な1日最高。


ルナちゃん「そういえば、隣の未亡人は生れてきた子供が豚だったって。最近はヘンなことが多いよね。」


ナウマン象「知り合いの釈迦族の王様は、生れてきた子供がいきなり『天井天下唯我独尊』と言ったかと思うと、東門から出ると哀れな姿の老人に、南門から出ると病人に、西門から出ると死人に、北門から出ると修行者にそれぞれ出会い、生老病死から救われたい一心で、女房子供を捨てて出家したらしいよ」


金歯「そういえば某国の軍のお偉いさんをやっている叔父さんに聞いたんだけど、ペストの蔓延を防ぐため、この町がミサイルの標的になっているんだってー」


ナウマン象「へー」


ルナちゃん「某国ってば、だいたーん」


金歯「でさ、ウチの家、新しいシェルター造ったんだけど、今からみんなで入りにこない? あ、シェルターは3人用だから、
ヒロシの分はないよ」


 某国のミサイルが我が町に飛んでくるとか飛んでこないとかでヤバい状況です。ヒロシはいっそのこと邪神ちゃんと
悲しみも苦しみもない幸せな空想の世界へでも旅立とうかと思いはじめていると


マルぼん「なにを困っているんだい、ヒロシくん」


 いつのまにか元に戻り、家にも戻ってきていたマルぼんが事情を訊ねてきました。
ヒロシがこの状況にいたるまでの経緯とミサイルの標的になっているという現状を説明すると、
マルぼんはニタリと笑うと「良い道具がある」となにやらスイッチのようなものを取り出してきました。


ヒロシ「これは……まさか迎撃ミサイルの発射スイッチ!? これで飛んでくるミサイルをちぎっては投げちぎっては投げするんだね!」


マルぼん「こんなこともあろうかと、世界の主要都市にしかけておいた自爆装置の起動スイッチさ。一斉に爆発すると、地球上の生物という生物を死滅させ、向こう千年草木1本生えない状態にする威力があるんだ。へ、へへ……マ、マルぼんたちだけ死んでたまるかっての。人類皆兄弟。地球家族。みんな死ぬ時は一緒ー! ウヒャーッハハハハハハハハハハハハハ!」


 どうやらマルぼんはミサイル襲来という現実を直視できず、復帰早々、一足先に「悲しみも苦しみもない幸せな空想の世界」へ旅立ってしまったようです。


「ミサイル発射されたって。あと2時間で着弾。ヒロシもはやくシェルターに入りなよ。あ、シェルターなんてないか(笑)」こんなメールが金歯から届き、いよいよ終末の時は近づいているようです。


邪神ちゃん「あきらめないで……」


 沈黙を保っていた邪神ちゃんが、そう呟いて飛んで行きました。

 飛んでいった邪神ちゃんは、その命をエネルギーを力に変えて、ミサイルと某国を消滅させたのでした。


「悲しまないで……私はアナタの中で生きているの」。邪神ちゃんのそんな声が、聞こえた気がしました。


 そう。そうなんです。邪神ちゃんは死んだワケではなく、ヒロシの中で生きているのです。生き続けていくのです。
ヒロシは邪神ちゃんに笑われないために、立派な大人になる決意をしました。


ルナちゃん「あれ、ヒロシくん。なんかお腹大きくない?」


ナウマン象「本当だ。弟が生れる寸前のウチの母ちゃんみたい」


大脳「これは…(聴診器で僕のお腹を調べつつ)。ヒロシのなかで新しい命が息づいているでヤンス! あっしの診たてでは、あと1時間くらいで腹をブチやぶって誕生するでヤンス! 生命の神秘でヤンスー!」


 邪神ちゃんは、文字通りヒロシの中で生きていたのでした。めでたしめでたし。





日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「正義の、そのあと」の巻
 体のどこかが少しでも痛むと「もしかして癌? ひょっとして癌?」と思い込んでしまう程、繊細でビクビクと暮らしているマルぼんは、今日も病院です。


 で、その病院の帰り、マルぼんは見知らぬ中年男性に話かけられました。


 マルぼんにはまるで見覚えのない男性だったんですが相手は妙にマルぼんに親しげで、「俺はアンタの恩人だったりするんですよ?」とかのたまいます。


 よくよく話を聞いてみると、その人は以前、謎の怪人に襲われていたマルぼんを助けれてくれたヒーロー集団の一員・ダンタイピンクさんだったんですよ。


 聞くところによるとこのヒーロー集団、親会社である某消費者金融が経営危機とかで規模が小さくなって、1万人いたメンバーもほとんどリストラされて、今はピンクさんを含めて数人だけだとか。


ピンクさん「ブルーは失業者手当てで食っているらしい。オレンジは家族で姿を消したなぁ。パープルは借金で臓器を……」


 ピンクさんの語る他のメンバーの現状に興味を持ったマルぼんはピンクさんと酒を飲みに行くことになり、話の成り行きでヒーロー集団の建て直しに力を貸すこととなりました。


 規模を縮小したにもかかわらず、親会社の消費者金融がヒーロー集団に課せたノルマは「半年以内にデスビリアン(敵である悪の組織)壊滅」という、ムチャクチャなものだそうです。


ピンクさん「ここはですね、いっちょマルぼんさんの機密道具でですね、敵を小指で一網打尽できる超必殺技(核みたいなの)を開発してもらってですね、大勝利というカンジでいきたいわけなんですよ」


 マルぼん、ピンクさんの他力本願な態度に少しムッときました。


 正義の味方たるもの、たとえ微力でも自分の力でなんとかするべきです。


 そして、ありもしない超必殺技に期待するよりも、地味でもいいから少人数でも有効な攻撃方法を考えるほうが大切だと思いました。


 継続は力。地道な努力は時に派手な一撃を凌駕するのです。


 マルぼんはそのことを説明するため努力の大切さをひたむきに訴えた、みらいの世界の昔話をピンクさんに語り聞かせることにしました。


 「昔々、あるところ(ソビエト社会主義共和国連邦)にイワノフくんという青年がいました。イワノフくんは元KGBの諜報員で資本主義国家でスパイ活動などをしてお金を稼いでいました。ところが、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊してイワノフくんは職を失ってしまいます。『かっての上司はロシア政権下でもそれなりの地位についているのに、なんで自分は……』と世間を憎み、両親を憎み、恋人を憎み、友人を憎み、そんな自分自身をも憎んだイワノフくんでしたが、このままではいけない一念発起して、普通にサラリーマンとして働く事にしました。しかし、人生とは荒れ狂う海のようなもので、ここでもイワノフくんに問題が起こります。同性愛者の上司が、関係を迫ってきたのです。身も心も汚されたイワノフくんは、ウォッカを浴びるように飲まなければ眠る事のできない体になってしまいました。そうしなければ、あの夜のことを夢に見てしまうのです。ある日、諜報員時代に愛用していたAK47が手元にあったので、これで上司を殺そうかと考えましたが、AK47なんて使った日には光の速さで捕まってしまうにちがいありません。証拠の残りにくい殺し方を考えたイワノフくんは、昔の同僚から譲り受けたプルトニウムのカケラを職場の上司の椅子にこのプルトニウムを忍ばせました。半年後、上司は死にました。証拠は残らず、ロシアの警官は今日もウオッカを飲んでコサックダンスに夢中。もしもあの時、AK47を使っていたらイワノフくんはあっさりと捕まり、強制収容所で穴を掘っては埋め掘っては埋めという強制労働を強いられ、発狂死していたことでしょう。やはり、人間は地道な努力が大切なのです。そんなこんなで毎日をおもしろおかしく生きるイワノフくんでしたが、あるとき見知らぬ女性が彼の前に現われました。」(ギロチン社刊『母から子に是非とも語り継ぎたい<父親はだまって養育費だけ払ってろ!>666の物語』より抜粋)


 話を聞き終わったピンクさんの目には、うっすらと涙がうかんでいました。目からウロコがナントヤラ、な状態です。どうやらマルぼんの言いたいことをわかってくれたようです。


ピンクさん「上司かわいそう……」




 昨日は「かわいそうなのはイワノフかホモの上司か」で揉めて、それぞれ割れたビール瓶と分厚い灰皿を装備した状態で睨みあうという状況が続いたマルぼんとピンクさんでしたが、偶然通りかかった警備員のおじさんの仲裁で、なんとか最悪の事態だけは避けることができたのでした。


マルぼん「さあ。気を取り直してデスビリアンを完膚なきまでに叩き潰す方法を考えましょう」

 
ピンクさんに芽生えた憎悪を全部飲み込んで、本題に戻るマルぼん。


ピンクさん「……悪いのは本当にデスビリアンなんでしょうか?」


マルぼん「はぁ?」


ピンクさん「イワノフくんの話で俺は思ったんです。政府がイワノフくんを放置しなければ、彼は上司を殺す事はなかった。本当に悪いのはイワノフくんじゃなくて政府なんです。デスビリアンにも同じことが言えるのではないでしょうか?」


 話がおかしな方向に進んでいきました。


ピンクさん「デスビリアンだって、今の政府がきちんとしていれば怪人による破壊工作なんて行なわなかったはずです!
悪いのは政府! デスビリアンはむしろ被害者!」


 ピンクさん、もう止まりません。


ピンクさん「我々は戦う相手を間違っていた! 腐りきった現政府を打ち倒して、国境も差別もなく、デスビリアンを含めた全ての人間が平等に暮らすことのできる理想の世界を成立させるのです! 諸君! 我々は狼である! これは聖戦であるー!」


 盛り上がったピンクさんが「小指を切断してやんごとなき某所に送りつけて宣戦布告~」とか言い出したので、やばいと思ったマルぼんは黙って帰ることにしました。




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「いつかはいけるぜエルドラド」の巻
「僕をリフォームして。僕の人生をリフォームしてー!」と帰るなりマルぼんに泣きついてきたヒロシ(ひきこもり)。理由を尋ねてみると


ヒロシ「ルナちゃん。今宵、僕の家で遊びぬかないかい?」


ルナちゃん「ヒロシくんの家、なんか怪しい生き物でも居候しているかのような異臭がするから、そんな誘いは断固拒否」


なんて世の中の無情さを訴えかけるようなエピソードがあったらしいんです。


 マルぼんは機密道具『エルドラ戸』を取り出しました。この『エルドラ戸』を家の扉に設置すると、訪ねてきた人の脳内ハッキングして、家を訪問者が夢みる理想郷へと作りかえてしまうのです。


ヒロシ「そいつはすげえや! 超おもしろかっこいいぜ!」>
マルぼん「さっそくこの汚い家をヒロシくんの理想郷に作り変えてみよう」


 というわけで、家をヒロシの理想郷へと変えてみましたんですが、どういうわけか家はなんの変化もありません。


マルぼん「あれ? おかしいな故障かな? ねえ、ヒロシくん」


ヒロシ「なにこの怪生物。害虫?」


マルぼん「え、え?」


ヒロシ「近寄るなよ。臭いよ。お母さん、殺虫剤くれよー!」


 ヒロシにとっての理想郷は『マルぼんがいない我が家』でした。


マルぼん「というワケで『エルドラ戸』を使って、我が家をルナちゃんの理想郷に改造し、ウキウキドッキンドッキンな桃色展開にしてしまおうというワケさ。ヒロシくん。わかってる? きちんと理解できてる?」


ヒロシ「わかってるよ。ようするに『ヒロシくんカッコイイ。抱きしめて。もう離さないで。うっふんあっはん』ってことだろ」


マルぼん「まるで違うよ、愚か者」


 こういうワケで、マルぼんたちは『エルドラ戸』を使っての作戦を発動したのですが、「もしもルナちゃんの理想郷が『自分以外の人類死滅』とかだったらイヤだから、ナウマン象あたりのいらない人材で実験しよう」ということになりました。


ナウマン象「なんだって? 至福の快楽が千年間続く黄金郷があるって? やい、永住権をよこせよ!」


ヒロシ「ナウマン象クラスの人間になると、黄金郷の永住権なんて、この世に生を受けた瞬間に備わっているよ。この扉の向こうが千年王国だよ」


ナウマン象「この先が酒池肉林…! 酒池肉林!」


 誘われるまま、『エルドラ戸』の仕掛けられたヒロシ宅の扉を開けるナウマン象。『エルドラ戸』はナウマン象の脳内を瞬時にハッキングし、ヒロシ宅はナウマン象の理想郷へと姿を変えました。


ヒロシ「ドアがチョコレートになってる。柱は千とせアメだ。 お菓子の家? ナウマン象の理想郷はお菓子の家だったんだ!」


ナウマン象「なんだ、このメルヘンの塊。俺はこんなの…うん?」


 いつのまにか、マルぼんたちの前に小さな女の子が立っていました。「マンモス子!?」と叫ぶナウマン象。女の子は、十年前に流行り病で亡くなった、ナウマン象の妹のマンモス子ちゃんだったのです。


マンモス子「兄ちゃん」


ナウマン象「ああ、そうだ。そうだった。マンモス子の夢は、将来の夢は『お菓子の家を作って、兄ちゃんと食べる』だったな…。
はは、兄ちゃん、すっかり忘れてたよぉ…」


マンモス子「兄ちゃん。おまんじゅう、おあがりなさい」


ナウマン象「ああ、ああ。うまい。うまいよ、マンモス子。兄ちゃん、幸せだぁ。うまい、うまい。」


 涙を流しつつ、お菓子を食べ始めるナウマン象。ナウマン象の理想郷…それは、幼い命を散した妹の夢がかなった世界でした。


ヒロシ「なにこの茶番」






ヒロシ「ナウマン象の理想郷が思いやりに溢れていたのは、きっとなにかの偶然さ。そうに違いないさ。市民の年貢で私腹を肥やして性格のひん曲がっている金歯なら、どす黒い理想郷に違いないんだ」


 というワケで、ルナちゃんの話はどこかへはき捨てられ、今度は金歯を誘い出すことに。


金歯「なんでおじゃる? 至福の快楽が千年間続く黄金郷があるでおじゃるか? 永住権はいくらでおじゃるか?」


ヒロシ「無料、無料なんだよ。さぁ、この扉の向こうがパラダイスさ」


金歯「どれどれ。って、薄汚い部屋にちゃぶ台が置いてあるだけでおじゃる! これのどこが理想郷でおじゃるか!」


 と、その時。金歯の家族が鍋を抱えて現われました。


金歯ママ「金歯ちゃん。なにをしているの、ごはんよ」


金歯パパ「金歯。今日はどんなことがあったんだい」


金歯「ああ、温かい…とても温かい。そうでおじゃる。朕は、お金もメイドも死後はいる巨大な墓も殉死者もいらない。本当は、この温かさが欲しかったんでおじゃる……」


金歯パパ「こらこら。そうがっつかなくても、ごはんは逃げないぞ?」


金歯ママ「金歯ちゃんったら。そんなにごはんおいしい?」


金歯「おいしい。おいしいでおじゃるよ、父様、母様!」


 金歯の理想郷。それは、金でも名誉でもなく、家族の温かさが感じられる食卓でした。


ヒロシ「だからなんなんだよ、この茶番」




ヒロシ「大脳! キミのエルドラドが今ここに!」

日本カモシカ「どれどれでヤンス。ああっ。ヒロシの家が世界中のあらゆる本が集まった『知識の城』に! ようし。ここに世界中の勉強をしたい子供たちを集めて、差別も国境もない学校にするでヤンスー!」

ヒロシ「ひぃぃ! またも茶番!」




ヒロシ「ねえ、太くん(飽食デブキャラ)…」


太「ああっ。ヒロシの家が世界中のあらゆる食物が集まった『食の城』に! ようし。ここの世界中の飢えた子供たちを集めて、差別も国境もない食堂にするブー!」


ヒロシ「ちゃーばーんーはーやーめーろー」






 結局のところ、ヒロシ以外の人は、いい人ばかりでした。


マルぼん「もう諦めたら、この心不細工ボーイ!」


ヒロシ「まだだ。まだ終わらないよう。ルナちゃん…僕の最愛の人なら、『神サマの奇跡の力で全人類が深い部分でひとつに』『壺が高く売れる』『足裏診断も高価格で十分イける』とか黒い理想郷を思い描いているに違いないよう。呼んでー! ルナちゃん呼んでー!」


 思わぬところで本来の目的にもどりました。というワケで、マルぼんはルナちゃんを言葉巧みに誘い出し……


ルナちゃん「だから、ヒロシさんの家は『あの家に近寄ったらだめ』と学校からプリントを渡されているから行かないって」


ヒロシ「そ、そう言わずにさ。扉を開けるだけでいいからさあ」


ルナちゃん「もう。じゃあ、扉を開けるかわりに、2度とうちの家族と関わらないでね!」


 と、ルナちゃんが扉を開けた瞬間。どこからともなく白装束の集団が意味の分からない呪文を唱えながら現われたではありませんか。


ルナちゃん「あれは微笑町に戦前から存在しているにも関わらず、徹底した秘密主義でその実体が闇に包まれた某自己啓発セミナー! まさか、こんなとこで実物にお目におかかれるなんてー!?」


 続いて、今度は黒装束の集団が、ガイガーカウンターみたいなので路上を細かく調査しながら現われました。


ルナちゃん「おおう!? あれは『ウチら、放射能で攻撃受けてますから』『ウチら、人類滅びても生き残りますから』という理由で山に篭って、滅多に町には出てこない某宗教ー! またもこんなレア宗教にお目にかかれるなんてー!?」


 さらにさらに。あちこちから青装束や赤装束やら生れたままの姿の集団が現われて、ヒロシ宅は色々な薬品やら草やお香やらの臭いが充満する、ちょっとしたテーマパークみたいになったのでした。


ルナちゃん「パラダイス! パラダイスよう!」


ヒロシ「それでこそルナちゃん! それでこそルナちゃん!」


 微笑町中の宗教という宗教が集まったヒロシ宅。


ヒロシ「さっすがルナちゃん。理想郷は大好きなカルト宗教が山のように存在する状況だったんだね。そこらのコモノ連中とはダンチですぞー」


ルナちゃん「ちがうの。私の理想郷はそんなものじゃないわ。みなさん、聞いてください!」


 ルナちゃんの呼び掛けで、静まりかえる一同。


ルナちゃん「昔から、微笑町の宗教は他の地域とは違う、独自の進化をとげてきました。そのせいか、非常に数が多く、どこも個性的な教義があります。例えばそこのハトポッポ教には『カレーは飲み物です。水分補給はカレーで行なうこと。水? ジュース? ププッ(嘲笑』なんて教義がありますね。素晴らしい教義です。ひとつひとつの宗教が独自の教義をもつことはすばらしいと思います。でも、哀しいかな、どの宗教も非常に仲が悪いです。微笑町で起こる凶悪犯罪のほとんどが、各宗教・セミナーの信者同士の軋轢から生じています。神を信じ、指導者を信じるということは素晴らしいことなのに、対立することによって全て台無しになってしまいます。よって、今日からこの場所(ヒロシ宅)を全ての宗教が争いなく、自由に交流できる『カルト宗教の理想郷』にしたいと思いますですー!」


「わー!」「わわー!」「大賛成だー」「バンザーイ!」。ルナちゃんの演説が終わると、集まったみなさんが一斉にスタンディングオベーションです。どうやらルナちゃんも、ナウマン象たちと同じように、心では平和を願っていたようです。大沼ヒロシは、どこかへ行ってしまいました。


ルナちゃん「ありがとう。みなさん、ありがとう。では、乾杯!」


一同「乾杯ー!」


 いつのまにかグラスが配られていて、一同乾杯。


 ここで異変が起こりました。集まった連中が、グラスの飲み物に口をつけた瞬間、バタバタと倒れだしたのです。


ルナちゃん「薬が効いてきたようね。一同集結!」


 ルナちゃんの合図で、頭にはヘルメット、顔にはサングラスと口を覆う布、手には角材を持った方々がどこからともなく現われました。


ルナちゃん「我らが故郷微笑町の腐敗の原因である、町議会と深く結びついた俗物どもは壊滅した! 平和な社会が一歩近づいたのである。次の標的は、我らが故郷微笑町の経済を支配し、富を独占する金歯コンツェルンである。俗物どものを壊滅できた我らならば、いちも簡単に打ち倒すことができるであろう。諸君、我々は狼である。全ての人々が公平に暮らすことができる理想郷を樹立するために戦う、夢というなの狼であるー!」


一同「うおー! 理想郷バンザーイ! 理想郷バンザーイ!」


マルぼん「カルト好きキャラは偽装だったか!」


 さすがヒロシの見込んだ女性だとマルぼんは思いました。

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「生きてるってなんだろう。生きてるってなぁに?」の巻
マルぼん「ヒロシくん、美少女とよろしくやるゲームを買ってきぞ。さぁ、恥も外聞もかなぐり捨てて、一匹のケダモノして、恋愛を楽しみまくろう!」


ヒロシ「むなしい」


マルぼん「はいー?」


ヒロシ「全てはゲームの出来事。現実とはまるで関係ないじゃないか。そんなのやって、なにが楽しい。……所詮、全てはまやかし。人生なんて一瞬で終了するのさ」


 またヒロシの病気がはじまりました。でも安心。こういうときのために、マルぼんはとってきの機密道具を用意しているのです。


マルぼん「『生き貝』~! こいつはほら貝の形の機密道具なの。これを吹けばあら不思議。生き甲斐が唐突にできて、人生はパラダイスになる。さぁ、こいつを吹くんだ、ヒロシくん!」


ヒロシ「お断りだね」


マルぼん「え!?」


ヒロシ「そんな得たいの知れない機密道具、実験ナシでつかう気にはなれないよ」


マルぼん「うう。しかたない。ママさんに犠牲になってもらおう」


 マルぼんとヒロシは、『生き貝』を持ってママさんのところへ向かいました。


ママさん「なに? なんのようなの?」


マルぼん「あ、あの。このホラ貝を吹いたら気持ちよくなりますー」


ママさん「へえ。最近は気持ち良くなるお薬も高くなったし、やってみようかな」


 ぶおーぶおー。ママさんの吹くホラ貝の音が響きます。その瞬間、電話がかかってきました。


マルぼん「誰でした?」


ママさん「隣のもうろく夫婦よ。『ホラ貝の音うるさい』って。なんなの。人をなめくさって…!」


 怒り心頭のママさん。家中にあるラジオやラジカセを持ってくると、スイッチオン。
すべてボリュームを最大まであげました。


ママさん「あははは。これであのもうろく夫婦、夜も眠れないわ! あははははは!」


ヒロシ「大変だ! なんか大量のピザや寿司やうどんやそばやらが配達されてきた!」


ママさん「あ、あのもうろく夫婦ー!! こうなったら!!」


 警察に「隣の家から、なにか動物の死体が腐ったような臭いがします。そういえば数年前、、近所の子供が行方不明になったのですが」と通報するママさん。


 こうしてママさんは、隣の家との交流という生き甲斐を見つけたのでした。


ママさん「ひっこーせー! ひっこーせー!」


マルぼん「ほらね、『生き貝』のおかげで生き甲斐を見つけたママさん、水を得た魚みたいになっているよ。な、『生き貝』の効果は絶大なんだ」


ヒロシ「いんや。まだ信用できないね。ほら、あそこで電柱に向かって合掌しているルナちゃんがいる。ルナちゃんに使ってみてよ」


マルぼん「しょーがないなー。ルナちゃん。ここに吹いたら快楽が永久に続く極楽へ誘われる魔法のホラ貝があるんだけどー」


ルナちゃん「まぁ、素敵」


 ぶおーぶおー。


ルナちゃん「これで私は天使になれるのね」


中年女性(37歳)「ルナちゃん!」


ルナちゃん「あ、支部長! 聖なる活動お疲れ様です!」


中年女性(37歳)「そんなことよりルナちゃん、あなた、新しい同士の説伏には成功しているかしら?



ルナちゃん「いえ、今月はまだ…」


中年女性(37歳)「さきほど、偉大なる尊師が同士たちに神命をくだされたの。一ヶ月に5人の同士を増やせない者は、三日三晩苦しんだ挙句地獄におちるって。聖職者の権限で地獄におとすって」


ルナちゃん「え、えええええ!?」


中年女性(37歳)「はやくしないと、死ぬわよ! 助かるには300万円寄進するしかないの!」


ルナちゃん「そんなお金ないし…あ、マルちゃん! ヒロシさん! 心が綺麗になる素敵な集まりがあるんだけど」



ヒロシ「結構です」


 その後ルナちゃんは、色々な家を訪ねたり、電話しまくったりしています。どうやら生き甲斐をみつけたようです。『生き貝』の効果は絶大です。




ナウマン象「絵画は楽しいなぁ。本当に楽しいなぁ」


ぶおーぶおー。


ナウマン象「描かなきゃ。どんどん描かなきゃ。死ぬまで絵を描き続けなきゃ。ああ、絵の具がない。赤い絵の具が。そうだ、絵の具ならあった。俺のなかに」

ブシュッ!




大脳「どんどん勉強して賢くなるでヤンスよ」


ぶおーぶおー。


大脳「早く勉強しないと脳が。脳細胞が死んでいく! ええい、読むのは面倒くさいでヤンス。直接情報を摂取でヤンス。
もしゃもしゃ。ウンマーイ! 参考書、ウンマーイ! もしゃもしゃ。もしゃもしゃ。もしゃもしゃ。もしゃもしゃ。もしゃもしゃ。もしゃもしゃ。おかわり!



その他「漫画はおもしろいなぁ」


ぶおーぶおー。


その他「あ、もしもし? 大砲堂出版さん? 今週の『チェコスロバキアちゃん』、俺のアイデアのパクリなんですけど。いいかげん、人の脳内を勝手に見るのはやめてくれません?」



マルぼん「ほら、いいかげん『生き貝』の効果はわかっただろ。さっさと吹いてバラダイスへいこうよ」


ヒロシ「まだまだ。まだまだだよ。もっといろいろな人に吹いてもらおう」


マルぼん「無理だよ。微笑町の人には、あらかた『生き貝』を吹かせたし」


ヒロシ「なら、おいどん死ぬでごわす」


マルぼん「ええ!?」


 どういうことか、マルぼんさっぱり理解できませんです、はい。


マルぼん「『生き貝』を吹いたら、快楽の宴がはじまるんだよ!? なぜに死ぬとかおっしゃるの!」


ヒロシ「『生き貝』で生き甲斐をみつけた人を見るのが僕の生き甲斐だったんだ。もう『生き貝』を吹く人がいないなら、死ぬ」


 いつのまにかヒロシのなかで大きな存在になっていた『生き貝』に、マルぼん軽く嫉妬です。


 しかしまぁ、嫉妬に狂ってもいられないし、宿主に死なれてもこまるので、マルぼんはムリヤリ『生き貝』をヒロシに吹かせました。


ぶおーぶおー。


マルぼん「どうだいヒロシ?」


ヒロシ「やっぱ、酒と風邪薬同時摂取かにゃ」


マルぼん「ん?」


ヒロシ「睡眠薬服用in雪山ってのもいいかも」


マルぼん「ん?」


ヒロシ「ビルからヒモなしバンジーでもいいかな」


マルぼん「……」


 どうも自殺だけがヒロシの生き甲斐になってしまったようです。『生き貝』の効果は絶大だとマルぼんは思いました。




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「おまけのうどん子ちゃん!」の巻
マルぼん「ういー。ジャンクフード(塩分盛りだくさん)とジュース(砂糖盛りだくさん)買ってきたぞー」


ヒロシ「てめえクズか? この菓子もこのジュースも、なんのオマケもついてねえだろ。オマケのついていねえ菓子なんてクズなのだよ! 理解できてるの!? 屑」


マルぼん「な、なんだと! なんだとー!?」


ヒロシ「実際、機密道具というオマケのないマルぼんなんて、たんなるやっかいものだろ」


マルぼん「ワ! すごい説得力!」


 結局説得されたマルぼんは、色々なものにオマケ(利子)をつけることができる機密道具を用意することになったのです。


マルぼん「『オマケ石』。たとえばこの石をママさんに持たせて出かけてもらう。すると、帰ってきたとき、ママさんはオマケ…つまりお土産を持っている」


ヒロシ「母さん、たしか今日出かけるハズだし、この石を持っていってもらおう」


 こうして『オマケ石』を持って出かけていったママさん。数時間後、ママさんは帰ってきましたが、お土産なんて持っていませんでした。


ヒロシ「とんだ食わせ物だよ、この宿六は!」


マルぼん「ごめんなさい。ごめんなさい!」


 折檻を受けるマルぼん。『オマケ石』の効果が絶大であることは、十月十日後に判明するのでした。



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「ケンカを止めろ! 二人を止めろ!」の巻
ママさん「あの世で私にわび続けろ、ダメ亭主ー!!」


パパさん「貴様など貴様など貴様など貴様などにこの命をやらせるかよー」


ヒロシ「また両親が、武器を持ち出して夫婦喧嘩をしている」


マルぼん「この貝を持って、止めにはいるんだ」


ヒロシ「やだよ。やつら、武器をもっているんだぜ。まきこまれて悲惨なことになって、またひとつの悲劇が生まれるだけさ」


マルぼん「いいから逝けよ!」


ドンと、ヒロシの背中を押して、争う2人のところへやるマルぼん。


ママさん&パパさん「「!!」」


ヒロシ「あ、2人の表情がおだやかになったぞ」


マルぼん「それは『かす貝』という機密道具。夫婦がケンカしている時、その夫婦の子供がこの貝を持って近づくと、わが子への愛が増大し、その夫婦ケンカは即座に止まるんだ」


ヒロシ「よい機密道具だね」


ナウマン象「それ、貸してくれないか。おれの親も、最近ケンカばかりでよ」


ヒロシ「それはたいへんだ。どうぞどうぞ」


ナウマン象「ありがとうございます。では、さらば!」


マルぼん「おい、今渡したの『かす貝』やないで。前に君が小遣い稼ぎのヌード写真を撮影するときに、大事な部分を隠すために使用した、何の変哲もない貝殻やぞ」


ヒロシ「しまった。でもまぁ、いいやないの」


そして


ナウマン象ママン「このダメ亭主!」


ナウマン象パパン「んだと、死なすぞ!」


ナウマン象「ダディ! マミィ! ケンカはやめておくれよ、ほら、この貝を見ろよ!」


ナウマン象ママン「なにいってんだい、この子は! ケンカの原因はアンタだよ!」


ナウマン象「は?」


ナウマン象パパーン「40歳になっても、定職にも就かず、小学生相手にガキ大将気取り! こんな子に育ったのは、どちらのせいか。それで揉めたのが原因だ」


ナウマン象ママン「あんたのせいであんたのせいで」


ナウマン象パパン「俺たちの人生を返せ! 返せ!」


ナウマン象「いや、いや。いやー!!」


ナウマン象ママン「外に逃げるつもりだわ! ダーリン、追ってちょうだい!」


ナウマン象パパン「まかせな、ハニー! 逃げるな、ナウマン象!」


ナウマン象ママン「このギロチンを使って、ダーリン!」


ナウマン象「ひぎぃ!! おたすけー!!」


 こうして子どもハンティングが始まり、ナウマン象両親の諍いは中断。マルぼんは『かす貝』の効果は絶大だと思いました。


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「さよなら僕の幽霊」の巻
ヒロシ「ルナちゃんと僕の結婚式が昨日、僕の妄想の中で行われました。妄想とはいえ契りあった2人。現実にもある程度の進展があってもよいものではありませんでしょうか。というわけで、未来に残そうよ! 2人の愛の結晶!」


ルナちゃん「サイコ野郎、切実にうざい。私は今から、クラス一の天才・槍杉さんの絶対音感を堪能しに行くから放っておいて。というかヒロシさん、『ルナちゃんの半径300メートル以内に近づいたら一族郎党全員宦官になる』という判決が下りているはずよ。じゃあね」


ヒロシ「ぜぜぜぜぜ絶対音感。い、今もてるのは絶対音感ですか」

 
 以上のようなことがあり、ヒロシは帰るなり「絶対音感になれる道具だして」と泣きついてきました。自分なりに色々やったのか、耳から血が。


マルぼん「はい。『即席絶対音感発生マイクロチップ』。このマイクロチップを脳に埋め込むと、いつでもだれでもお気軽に絶対音感になれる。早速、埋め込み手術を開始しよう」


そして。


マルぼん「どうだい、ヒロシくん。絶対音感になった気分は」


ヒロシ「ふふふ。わかる。わかるよ。たとえば風の音がどんな音名なのか、わかるよ」


マルぼん「へえ。で、風はいったいどんな音なんだい?」


ヒロシ「ふふふ。聞いて驚くな。『エロ課長め、色目使いやがって』だ」


マルぼん「……」


ヒロシ「あ、この風は『あのクソ野郎ブチ殺してやる』。その風は『よい成績のとれないウチの息子。本当に俺の子か!?』。西から吹くこの風は『謝罪! 賠償!謝罪! 賠償!』」


 ヒロシのいつもよりハードな怪行動を不審に思ったマルぼんは、『即席絶対音感発生マイクロチップ』のパッケージを確認してみました。


 パッケージには『即席絶対音感発生マイクロチップ』ではなく『即席絶対怨感発生マイクロチップ』と書いていました。


 
『即席絶対怨感発生マイクロチップ』は、脳に埋め込むと世に溢れる怨念を聞くことができるようになる機密道具…


ヒロシ「このラジオのノイズは『なんで助けてくれなかったんです、先輩…』という音だ。うふうふ。うふふ」

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「きらめけ、二人の時」の巻
 学校へ行くと、ナウマン象が異様にやつれ果てていてビックリしたヒロシ。


 明らかに体が、おもに内蔵が、特に胃のあたりが悪そうだったので、心配したヒロシは「家族が妙にやさしいとか、そんなことない?」とそれとなく話を聞いてました。


 すると意外な事実が判明。


 どうやらナウマン象、好きな人がいて、その相手のことを思うと、眠れない上にごはんが喉を通らないそうなんです。


ヒロシ「肉と名がつくものなら、人肉だってたいらげるともっぱらの評判だったナウマン象がなあ」


 ナウマン象の恋愛話といえば、数日前、学級新聞で「メスゴリラと熱愛発覚」とか報じられていましたが、本人曰くそれは真っ赤な嘘で、きちんとした相手だとのこと。


 放課後、その好きな相手を紹介してくれるというので、ヒロシはナウマン象と一緒に下校することになりました


 二丁目のタバコ屋さんの角を曲がってすぐのところ。ほらあの人だよ、と言って、ナウマン象が赤面しながら指差したのは、犬でした。セントバーナードでした。


「三代目繁栄号男五郎丸種植って名前らしいんだ。子供が三頭もいるらしいんだけど、前の奥さんと死別したらしいの。結婚した時、あたいのことをママって呼んでくれるかな?」


 色々と突っ込みたいところはありましたが、とりあえずヒロシは、ナウマン象の性別と種族を越えた恋を応援する事にしました。応援すると決めたからにはなにかしてやるのが人の情、ということでヒロシはマルぼんにナウマン象のためになるイイ感じの機密道具を出すように詰め寄ってみました。事情はさして説明しないことにしました。頭が変と思われるだろうし。


 マルぼんは「どうせ女の子と付き合っても選択肢がないと会話もできないだろう。へへへ。」と変な勘違いをしていましたが、ヒロシが刃物をちらつかせながら事情を説明したら、「ぼっちゃん許してください」とすぐにわかってくれました。


 そんなわけでマルぼんが出してくれたのは『死愛(しあい)』という道具。


『死愛』は、恐怖心からくる心臓の鼓動を近くにいる異性への恋心と脳が勘違いしてしまうという『釣り橋効果』を科学的に分析し実用できるようにした機密道具らしいです。

 シール型になっている『死愛』をつけられた人は、感じた恐怖心を近くにいる異性への恋心に強制変換され、感じた恐怖心が強ければ強いほど、恋心も強くなるとか。


 文字通り死ぬくらい怖い目にあったら、一緒の墓で永眠できるどころか、来世も一緒になれるくらいの愛をゲットできるのだそうです。


 その効果に半信半疑だったヒロシは、隙をついてマルぼんに『死愛』を貼りつけ「さっきマルぼんが飲んだお茶に、農薬をたらふくいれといたんだけど」と嘘をついてみました。


 マルぼんは涙をダラダラながして「散々尽くしてきた結果がこれかー!」とか「おかーさーん」とか叫んでいましたが、次第に頬を赤く染めて「ね、ねえ。ヒロシくんはやっぱり、ルナちゃんのこと、好き、なのかな?」「ヒロシのくんの隣に、マルぼんの居場所があったらいいな」「ン~(目閉じて唇を突き出してくる)」とか言いながら、ヒロシの膝をイヤらしい手つきでさすったりしてきました。


 その後も、マルぼんはヒロシが入った直後のトイレに長時間立て篭もったりしていたので、『死愛』の効果は不快になるほど絶大なようです。


 その効果が十分に確認された『死愛』を、ヒロシはナウマン象にプレゼントしました。


 説明を聞いたナウマン象は「恐怖心をあたえまくちゃうわよー」と大喜びで、三代目繁栄号男五郎丸種植さん(セントバーナード。三頭の小犬の父犬)の元に向かったのです。


 しばらくすると、ナウマン象から泣き言の電話がかかってきました。


「いままでガキ大将として周辺の子供たちに恐怖をあたてきたあたいだけど、いざ好きな人の前になると、どうすればいいかわからないの。おねがい、ヒロシ! あたいに、恐怖というものを教えて頂戴!」


 ヒロシは、僕自身が怖いと感じることばを思いつく限りナウマン象(心は乙女)に教えてあげました。


「僕らの町に〇〇はいらなーい! 〇〇はでていけー!」


 三代目繁栄号男五郎丸種植さんの前で、昨日ヒロシの教えた「危険な言葉(〇〇の部分は危険なので、マルぼんと相談の末、本気で自主規制)」を叫びながら、『建設反対』とかかれたプラカードを掲げ、「これ、読んで下さい!」と〇〇に関する有害性(独自調べ)がたくさん書かれたビラを通行人に手渡しているナウマン象。


 見ているこちらが怖くなる、このブログ的にも危険な運動です。


「一部役人の利潤のために〇〇を建設するなんて許せない! でていけーでていけー!」


 必死に運動するナウマン象ですが、性別と種族の壁の悲しさか、三代目繁栄号男五郎丸種植さんにはまるで通じていない様子で、三代目繁栄号男五郎丸種植さんは寝転んでアクビなどしています。


 やがて、三代目繁栄号男五郎丸種植さんの飼い主あたりの通報を受けたのか、警察が駆けつけ、ナウマン象をパトカーに乗せて連行していってしまいました。


 なぜか警察署とは正反対の方向に走り去っていったそのパトカーは、心なしか他のパトカーとは姿かたちが違っているように見えました。


 さらによく目を凝らしてみると、パトカーもどきには「○○のマーク」がくっきりと刻まれているではありませんか。


 もしその時のヒロシが『死愛』をつけていたら、速攻で近くを歩いていたおばあさんとかに惚れていたかと思います。 




日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「マルぼん過労死」の巻
 
 昨日、マルぼんが吐血して倒れました。


 血は緑色でなにやらドス黒い煙を出していて気持ち悪いことこの上ないのですが、ナイチンゲールの再来を自称するヒロシは、学校の授業で習った応急手当を、覚えている範囲(「大丈夫ですか。意識はありますか」と話しかける、のみ)で実施。だいたい4時間強続けましたが、マルぼんの意識は戻りませんでした。


 せっかく来てくれた救急車も、マルぼんを乗せた瞬間に乗務員の方が泡を吹いて倒れてしまって役にたたなかったので、背負って近場の病院へ。


 お医者様は「(人間かどうかさっぱりわかんねえ生物もってくんな。ボケ。こんなの分かるわけねえよ。適当でいいや、適当で)過労ですね。安静にしてください」と診断してくれたので、とりあえず一安心。


 さきほどヘトヘトになって帰宅したヒロシですが、放置していたマルぼんの血から出火。家が灰になっていました。幸いにもパパさんは彼女と、ママさんは彼氏と、ペットのジョン(人間)はどこかの馬の骨と外出していたので無事でした。諸事情で、生まれてから十年間ほど地下の座敷牢に監禁されていたヒロシの双子の兄もいなくなっていたのでたぶん無事。外れることのない鉄仮面を被り、足には鉄球がつけられています。目撃されたかたは、ぜひご一報を。

 
 翌日。現代医学の進歩のおかげでしょうか、入院したばかりのマルぼんは、もう退院が認められました。意識も戻っていないのに。


 お医者さんも「とっとと帰ってくれ! 二度とこないでくれ!」と太鼓判を押してくれました。


 ヒロシはマルぼんを背負い、仮住まいである親戚の家へ行くことに。


 忙しいのか、看護師さんによるお見送りなんかはなく、少しさみしい気分。


 そういえば、さっき病院の前を通りかかったんですけど、宇宙服みたいなのを着た謎の人らによって完全封鎖されて立ち入り禁止になっていましたよ。


 なんでも「現代医学からは考えられない未知のウイルスによる院内感染」が起こったとか。怖い怖い。


 ところで、ヒロシの腕に怪しげなブツブツがたくさんできているんですけど、なんなんでしょうね。


 退院したマルぼんですが、車イスに乗ったままピクリとも動かず、時折「あ、妖精さんだ。出動を要請~」とか、「おかあさんオバケを生まないで」とか、「オッス! オラ……オラ……オラ誰だ!? なぜここにいるんだ。なぜ生きているんだ。若さ、若さってなんだ!?」とか、「世界から夢がなくなったら、ミミンキーモモが死ぬ。そしておまえも死ぬ」とか、「月へお嫁にいきたいりゅん!」とか言うだけの、生ける屍と化してしまいました。


 なんとかしたいと思ったヒロシは、同級生の闇医者に相談してみました。


闇医者「過労やから、温泉でも行けば治るやろ」


ヒロシ「温泉!」


 温泉に行かせてやろうにも、ヒロシは親戚の叔母さん宅にやっかいになっている身分。さきだつものがありません。


 崩壊した我が家にかけられていた保険金を使うわけにもいかず、万事休す。


 と思いきや、叔母さんの家の仏壇から偶然に、まちがいなく偶然に、胸をはって言えるほど偶然に、まるで漫画みたいに偶然に、天文学的数字な低確率で発生した奇跡としか思えないほど偶然に、事実は小説より奇なりという言葉を地でいくほど偶然に、結構な大金を発見したんです。


 というわけで、今日からマルぼんは温泉へ。愛人のナタリアも一緒です。


 出かける先、マルぼんは僕にスイッチのようなものを手渡してきてこういいました。


「このスイッチを押したら、マルぼんはどこにいても駆けつける。まぁ、義務だし。仕事だし。我慢できなくなったら押してくれ。でも、できれば押してほしくないなぁ。せっかくの旅行だし。というか、押すな。押したら腕の一本や二本や三本は覚悟しとけよ? 将来、子供ができたとき、羽とか尻尾とか生えているのも覚悟しとけよ? あん? わかってんのか? ああん? 返事をしろや、このときめききらめきクレイジーボーイ!」


 まぁ、できるだけスイッチは押さないように努力してみようと思います。


 そんな矢先、部屋にゴキブリが。

































 マルぼんの休日は、1分くらいで終了しました。完。


日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)

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