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Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「夢と魔法がやってきた」の巻
ヒロシたちの住む微笑町。その住民のすべては、金歯の親父とか一族とかが関係する会社に務めている人とその家族。公務員もいるけど、税収のほとんどが金歯んところが出所というわけで、金歯に言いなり。いうなれば、町のすべてが金歯一族のもと言っても過言ではないのだにゃあ。


 そんなわけで金歯は「白」といえば、黒いものでも「白」。


 金歯が「生きろ」といえば、死んだ人も生きている体に。


 金歯が「もう恋なんてしないなんて言うな。絶対」といえば、「もう恋なんてしない」は差別用語扱い。


 そんな微笑町のお話。


マルぼん「おい。金歯から通知が来ているぜ」


ヒロシ「『微笑町の住民は、全員公民館に集まるでおじゃるー』か」。めんどいけど、拒否ったら親父は解雇だろうし、行きますか」


 微笑町の住民18,765人は公民館に集いました。今まさに生きるという喜びに囚われた赤子から、今まさに生きるという苦しみから解放されつつあるお年寄りまで、全員が集合。


ナウマン象「いったいぜんたい、何の用事だろうな」


ルナちゃん「きっとあれじゃないかしら。私たちが働いている金歯鉱山株式会社で支給されている、昼飯の硬いパンが、柔らかくておいしいアンパンになるとか、うれしいお知らせじゃなかしら」


ヒロシ「お、金歯が来たぜ」


金歯「やぁやぁ愚民ども。ご機嫌いかがでおじゃるか。実は、慈悲深い朕は、うぬらに超嬉しいプレゼントを用意したのでおじゃる」


金歯に命令で靴を舌でなめてきれいにする仕事にしか就けない人「靴なめのノルマをゆるくしてくれるのでしょうか」


金歯「NO!」


生まれた時から金歯が死んだら一緒に墓にいれられることが決定している人「墓の規模が小さくなることが決定したとか」


金歯「NO!!」


マルぼん「じゃあ、いったいなんなのさ」


金歯「実は、実はでおじゃるが。うぬらも知っているであろうあの、有名テーマパーク。ドリームとマジカルのテーマパークが、微笑町に移設されることがほぼ決定したのでおじゃる!」


一同「な、なんだってー!? あの有名ランドがー!?」


金歯「しかも微笑町住民専用。どうだ驚いたでおじゃるか。ドリームも、マジカルも、マネーがあればなんとでもなるのでおじゃる」


ルナちゃん「あのランドといえば、楽しい楽しいアトラクションが盛りだくさん。どのアトラクションが乗り放題と?」


金歯「むろん」


ナウマン象「夜ごと開催される派手な行列も見放題と?」


金歯「むろん」


マルぼん「愉快な仲間たちが繰り広げるショーも堪能し放題?」


金歯「むろん」


ヒロシ「ランド内の道や壁、アトラクションの飾りなどに、一見するとたんなる模様や柄に見えるけれど、よく見るとランドの代表的なマウスキャラクターの頭部を模したものがあって、それを探す『隠れマウスキャラクター頭部』探しに興じることもできると?」


金歯「ああ、悪い。このランドは、18,764人用なんだ。ヒロシは遠慮してくれでおじゃる」


ヒロシ「ひえーひどい意地悪。いいさ、いいさ。僕はドリームもマジカルも興味ねえし! う、うらやましくなんかないんだからね!!」


ナウマン象「ヒロシ、泣きながら家に帰ったぜ。ははっ」


金歯「気をとりなおすでおじゃる。もうすぐ、あの代表的なマウスがやってきて、移設決定を知らせに来てくれる手筈。お、このBGMは」


 公民館内に、ランドの電飾満載行進でかかるBGMが流れはじめ……


マウス「ハハッ」


マルぼん「ああ! あのマウス!!」


マウス「ハハッ。微笑町のみなさん。こんにちはー」


一同のもの「こんにちはー」


マウス「ハハッ。僕たちはもうすぐこの町にお世話になることになったんだ。これからよろしくね!」


一同のもの「こちらこそー」


マウス「……とでも言うと思ったかな。ウジムシども!!」


一同のもの「!?」


マウス「なめたことをしてくれたものだ。甘く見られたものだよ。われわれも。マネーパワーだと? ドリームもマジカルはなにものにも屈しない。そのことを思い知らせてやるよ。ハハッ。滅びのパレードのはじまりだっ」


金歯の部下「大変です! ドリームとマジカルの力が働いたとしか思えない不思議な現象が起こりまくって、うちに関係するすべての会社がつぶれました」


金歯「な、なんだってー! つまり……」


マウス「町の住民全員無職。町も税収ゼロ。ハハッ。ギリシャも真っ青だねっ」


一同のもの「な、なんだってー!」


マウス「ハハッハハッハハッ」


 そんな悲劇が起こり、金歯の運命は一変。なんの後ろ盾もなくなった金歯に、町の住民のすべての家計を破壊した金歯に、人々は容赦なく憎悪をぶつけ始めたのです。あら大変。


金歯「右や左の旦那様~」


ナウマン象「みろ。金歯がおるで。みんなあれは持ったか」


ルナちゃん「もちろんや。石。石。河原からぎょうさん拾ってきた石や」


マルぼん「投げろ! 一斉に投げるんや」


金歯「やめてください。死んでしまいます」


あの集まりから半年。毎日のようにこんなことが続いておるのです。


ヒロシ「……」


ナウマン象「なんや。ヒロシはやらんのか。おまえ、昔はよういじめられとったやんけ。ほら。この石使えや」


ヒロシ(確かにいじめられていた。いつか必ず復讐してやろうと思っていた。でも、それはあくまで僕自身の手でなされるべきだったんだ。勝手に自滅して、情けなくなった金歯に石を投げても、それはなんの意味もない……)


 ヒロシは渡された石をこっそりと捨てると、帰宅して、食べるものもないので枕を噛みながら眠りました。そしてその夜。


 絹を裂くような女性の悲鳴で、ヒロシは目を覚ました。


ヒロシ「なにごとナリか!」


マルぼん「……」


ヒロシ「マルぼんが斧で頭をかち割られている。死んでるじゃねえか」


金歯「マルぼんだけじゃないでおじゃる。うぬの母親も、ほらこの通り」


ヒロシ「あ、生みの親の生首。金歯、まさかおまえが」


金歯「YES! 朕は、いや、俺は、俺を否定したすべてを破壊することをしたのだ。。この半年の間たまりにたまったものを、
すべて吐き出してやるのさ。お前らウジムシどもにぃ!!」


 日本刀や斧、猟銃。あらゆる武器で武装した金歯がそこにいました。マルぼんやヒロシ母以外の人も手にかけたのか、着込んでいる詰襟の学生服も、ゲートルも、地下足袋も、頭に巻いたはちまきも血に染まっています。金歯はゆっくりと、猟銃の銃口をヒロシに向けました。


ヒロシ「こ、こらえてつかーさい」


金歯「……」


ヒロシ「い、命だけは」


金歯「よく考えたら」


ヒロシ「……」


金歯「朕はあれだけいじわるをしてきたのに、この半年で、おまえは一度も俺にいやがらせをしてこなかったな」


ヒロシ「……」


金歯「……」


ヒロシ「……」


金歯「……いままで」


ヒロシ「……」


金歯「たくさんいじわるしてきて、すまんかった」


 金歯そのまま、大沼宅を出ていった。しばらくすると外から銃声と悲鳴。それらは夜明け近くまで続きました。駆けつけた警官体は死体の海をかき分けて金歯を探しましたが、発見には至りませんでした。

































ヒロシ「ということがあったのが60年近く前。たくさん死んだよ。数えきれないくらい。金歯はというと」


青年「一週間後、隣町の山中されたんですよね。猟銃で自分の頭を撃ち抜いて、死んだ状態で」


ヒロシ「なんだ僕より詳しいんじゃないの。僕の話なんか聞く必要ないんじゃないの」


青年「事件の詳細はね、ウィキペディアにも載ってますから。でも、実際に事件を体験した方に話を聞くのは大切なんです」


ヒロシ「そう? じゃあ、続けるよ。事件が落ち着くとね、なんとか生き残った連中も我先に町を離れていったよ。意地をみせて残った連中も、60年の間に次々死んじまって、今じゃ僕を含めて数人程度」


青年「それでこの辺りは廃墟が多いのですね」


ヒロシ「持ち主が所在不明な家をつぶすわけにはいかないからね。にしても、そんな廃墟だらけの町をよくもまぁ、訪ねてくるね。最近、君みたいなのがたくさんくるよ。今もほら、スマホ片手にうろうろしてる」


青年「ネットとか本で有名なんです。昔、大量殺人があった廃墟なんて、その手のマニアにとっては、宝の島みたいなものですから」


ヒロシ「ようわからんが、世の中には変わった趣味の人がいるんだな。あ、そうだ。逆に聞きたいことがあるんだけど」


青年「なんですか」


ヒロシ「ここに来る連中な、しょっちゅう写真で撮影してるんだよ。廃墟に入り込んで撮影しているやつもいて、それはまぁ、ある程度は理解できる。でも、壁とか、道とか、電柱とか木とか、何の変哲もないものばっかり、飽きもせず撮っているやつもいる。
あれ、なんでなんだい」


青年「金歯はたくさんの人を、町のあちこちで殺したわけです。ということは、町のあちこちに殺された人の恨みつらみが散らばっているわけです。そんな恨みつらみがあちこちに浮き出ているのではないか、という噂があるんですよ。ほら、これ、さっき僕が撮ってきた写真なんです。ここに映っている壁のシミ。よくみると、叫び声をあげている女の子の顔に見えませんか?」


ヒロシ「言われてみれば……」


青年「こんな感じで、恨みのこもった人の顔に見えるシミだとか、柄だとか、模様を見つけるのが、最近、われらマニアの流行でして」


ヒロシ「うわー! なんかそれ『隠れマウスキャラクター頭部』探しみたい! 僕もやる! うひょーテンションあっがるぅー!!」


 そんなわけで、60年越しに『隠れマウスキャラクター頭部』探し的なことを楽しめることなったヒロシ。めでたしめでたし。


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日記 | 21:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)

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