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大沼ヒロシ

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「ネタ切れだ! トーナメントだっ」の巻
 夏休みも終わりが近い本日、ヒロシは一日中部屋で過ごすことにしました。ネットにゲームに漫画。外出するつもりは微塵もありません。「若いうちからそんな生活、将来は『生活習慣病→死♪』のコンボで確定だな!」と人は言いますが、ヒロシは「今さえよければ、未来なんて他人事」な現代っ子なので、無問題です。


「大沼の坊ちゃん! 今日はなんの日かを忘れてしまわれたのですか!?」。素敵なヒロシの休日を邪魔する声。例の居候未来怪生物・マルぼんです。言葉遣いが変なのは、主人と従者の関係をはっきりとさせるべく行なった、当然の処置の結果です。


ヒロシ「うるさいな。僕は外も一歩もでないぞ。ついでに始業日は学校も休んでやる」


マルぼん「今日は『おじいちゃんがライオンに喰われた』の16巻の発売日ですよ」


ヒロシ「あ」


 不覚不覚。なんたる不覚。そう、今日は『ボロボロコミック』で好評連載中の超人気漫画『おじいちゃんがライオンに喰われた』最新16巻の発売日。僕としたことが、すっかり脳内か発売日のことを削除していました。


 15巻のラストで、おじいちゃんを喰ったのはライオンではなくクマだったことや、喰われたのはおじいちゃんではなくおばあちゃんだったことが判明。さらには、かつて主人公と対立していたコズミック番長とアトミック総長が助けに来たけど即死亡するなど、大盛り上がりしだったのです。16巻にも期待せざるをえません。


ヒロシ「いけないいけない! ちょっと本屋さんへ行ってくるよ!」


マルぼん「マルぼんも読みたいから、いそいでくださいよ」


 家を飛び出し、これからの人生でもお目にかかれなさそうなスピードで走るヒロシ。
しばらくすると、通行人が全員土下座しているという光景に出くわしました。遠くからは「下にぃ下にぃ」という声。金歯の大名行列です。載っていた籠から顔を出す金歯。




金歯「ようヒロシ。どうせ『おじいちゃんがライオンに喰われた』の16巻を買いに行くんだろ。無駄だからよしとけよ」


ヒロシ「なんでだよ」


金歯「世界中の『おじいちゃんがライオンに喰われた』の16巻は、朕が買占めたからさ!」


 な、なんだってー!


 金歯の大名行列に参加している従者・奴隷を見てみると、皆さん、本が大量に入った袋を持っています。


金歯「あの本は全て、『おじいちゃんがライオンに喰われた』の16巻さ」


僕「同じ本を大量に買って、何に使うんだよう…」


金歯「今日の10時に読む用。これは今日の11時読む用。(中略)あっちは、今日の10時の保存用。こっちは雪山で遭難した時にたき火の燃料にする用。それは、朕が死んで墓に入るとき殉教者と一緒に入れる用。キミら庶民に行き渡る余裕はなさそう」




ナウマン象「そんな馬鹿な!」


 いつのまにか、ナウマン象やルナちゃん、大脳やパラサ伊藤(新キャラ。たぶん二度とでません)といった、お馴染みの面々が揃っていました。みんな、驚いた表情です。


ナウマン象「金歯、貴様…細切れにしてホルマリンに漬けにして、大学の医学部に寄贈してやるぞ!」


ルナちゃん「そんなそんな。『おじいちゃんがライオンに喰われた』の16巻だけが、私の生きる希望だったのに! 明日への糧だったのに! 」


大脳「金持ちは金持ちらしく、札束をホチキスで留めて本みたいにしたのでも読んでおけばいいでヤンス!」


金歯「はん! 愚民ども叫ぶだけ叫べ!」


ナウマン象「なんだと!?」


 そしてはじまる、いつもの連中VS金歯親衛隊の、血で血を洗う地獄の乱闘。ヒロシもネット通販で買ったバタフライナイフ片手におお暴れです。


マルぼん「な、なにをやっているんです。やめてください、皆さん、やめてください!」


 駆けつけたマルぼんがなにか叫んでいましたが、皆さん、余裕で無視です。



マルぼん「ケンカはよして! 争わないで!」


 マルぼんの、乙女の悲鳴にも似た悲痛な叫びも、ドラッグとロックンロールにまみれて生きてきた現代っ子たちには通じません。


マルぼん「仕方がない。機密道具『異臭発生装置』!」


マルぼんの機密道具メモ

『異臭発生装置』は異臭を発生させて、不特定多数の人間を困らす道具だよ。発生した異臭をすったら、異様に鼻毛が伸びた上に1ヶ月くらい鼻血が止まらなくなるよ。



 ヒロシたちの抗争は、全員入院という平和的解決で幕を閉じたのでした。で、1週間後。微笑町総合病院の病室。


マルぼん「なるほど。『おじいちゃんがライオンに喰われた』16巻を、金歯君が買い占めたのが原因か」


金歯「金が腐るほどあるんだ! 使ってみて悪いか!」


ヒロシ「僕らみたいなちっぽけな存在にだって、漫画を読む権利はあるさ」


マルぼん「話はわかったよ。よし。だれが『おじいちゃんがライオンに喰われた』16巻を読むのに相応しい人間か、トーナメントで決着をつけよう!」


マルぼんの機密道具メモ『トーナメン兎(と)』

どんなケチな戦いも壮大な戦いも、あっという間にトーナメントにして解決してしまう、素敵なウサギさんタイプの機密道具だよ。みらいのせかいでは、100年以上に渡る宗教戦争(地球の人口の3分の2が死滅)が、こいつのおかげで2分で終わったこともあるんだ。あと、トーナメントでの戦いは、テーマや賞品にちなんだものになるんだ。例えば、ハサミに関するトーナメントなら、ハサミ使いを競いあうトーナメントになる。



 マルぼんの出した機密道具で、『おじいちゃんがライオンに喰われた』に関する争いは、トーナメントで決着をつけることになりました。


 トーナメント戦の内容は、当然、『おじいちゃんがライオンに喰われた』に関する知識のひけらかしあいです。


 戦いが始まった! そして終わった!


司会「優勝は、微笑町にお住まいの、田所新一さん(24歳・浪人生)です」


 小学生ばかりのところに1人だけまじってた大人の人(24歳・浪人生)の優勝で、トーナメントは幕を閉じました。


「おじいちゃんがライオンに以下略」トーナメントは残念な結果になってしまったわけですが、「トーナメン兎」という機密道具の存在を知ったヒロシの心は、いつになくギラギラしていました。


ヒロシ『トーナメン兎』さえあれば、この世界のありとあらゆる諍いや争いを、トーナメントバトルで解決することができ。そうすれば、紛争に無関係の人が巻き添えで死ぬことなどなくなるはず。
『トーナメン兎』の力で世界に永久の平和をプレゼント。僕にはそれができる。僕は救世主になれる。というか、もう既に救世主。いやいや、かなり前からずっと救世主」


ヒロシ「マルぼん、僕は救世主だったよ」


マルぼん「そうかいそうかい。大丈夫。今はよいお薬があるから」


ヒロシ「ママ、あなたは救世主の母親です」


ママ「ママの知り合いに、かわいそうな人の面倒をみてくれるえらい先生がいるから大丈夫よ」


 ママもマルぼんも何を言っているんだと、ヒロシは色々と準備をしている2人をおいて、「トーナメン兎」をもって外へととび出しました。


ヒロシ「今現在、誰かと争っているかたはおられませんか。遺産を巡って親族と血みどろの戦い(IN法廷)を繰り広げている人とかおられませんか。僕は救世主なので、皆さんをお救いすることが出来ますよ」


見知らぬ女性「僕ちゃん、こんなところでなにをやっているの?」


 駅前で救世主活動を行なっていると、見知らぬおばさんが僕に話しかけてきました。ヒロシが「トーナメン兎」とそれを使用した作戦の概要を説明すると、おばさんは哀しい目をして、僕を抱きしめました。


見知らぬ女性「大丈夫。あなたは悪くない。そう、あなたは悪くないの。悪いのは世間。あなたみたいに純真な子供のココロを汚す、世間なのよ」


ヒロシ「なにがなんだかさっぱり理解できないのですが」


見知らぬ女性「あなたは天使。白い翼の天使。汚れた21世紀では飛ぶことのできない天使なのっ。安心して、私は味方。あなたみたいな子供を何人も世話しているから」




 状況を把握できないでいると、ママとマルぼんがこれまた見知らぬ中年女性を連れてやってきました。


マルぼん「いたいた」


ママ「ヒロちゃん、こちら、財後先生よ」


財後「はじめましてヒロシくん。私はキミのような子を何人も診ている医者なんだ。安心してくれたまえ。さあ、一緒に行こう」


見知らぬ女性「何を言っているんですか。この天使ちゃんは、私の施設で面倒をみています」


財後「アマチュアが軽々しく手を出さないでもらおうか」


見知らぬ女性「な、なんですって! ムキー!」


ヒロシ「ケンカはやめて! 2人をとめて! 私のために争わないで!」


 ヒロシは発作的に「トーナメン兎」を発動させていました。



トーナメン兎「機動だニンジン。機動だニンジン」


 起動した途端、これ以上ないくらい兎らしいしゃべりかたをしたトーナメン兎。光の速さで駅前にコロシアムを設置し、観客を連れてきました。


トーナメン兎「これより、第一回『かわいそうなヒロシを救済するトーナメント』を開催するだニンジン。参加者は2名だけどよろしくだニンジン。まずは赤コーナー『この道一筋32年。休日は役所前で抗議活動』でおなじみの見知らぬ女性氏」


見知らぬ女性「他人の幸せが私の幸せ。自国の不幸も私の幸せ~!」


トーナメン兎「青コーナー『ひきこもり千人切り。休日は各地の大学で講義活動』でおなじみの財後先生」


財後先生「原因はゲームです。まちがいない!」


トーナメン兎「ルールは簡単。かわいそうなヒロシくんを、よりしあわせにしたほうが勝ちです。それでは試合開始!」


見知らぬ女性「ヒロシくん。さぁ、これを食べて。今まで五百人以上のアウトドア生活者の皆さんに炊き出してきた、特性豚汁よ」


ヒロシ「熱いよ。マズイよ。なんか臭いよ。これ…この肉って豚ではないですよ?」


見知らぬ女性「人の善意を踏みにじるなんて最低!」


財後先生「ヒロシくん。遊び相手だよ」


土佐犬「グルルルル…」


ヒロシ「闘犬とかよく見る種類の犬だ…」


財後先生「アメリカの少年院では、服役している少年たちが動物との触れ合いで命の大切さを学んでいるんだ。さあ、鬼のように触れ合いたまえ」


土佐犬「グガァァァァァッ」


ヒロシ「いやぁぁぁぁぁぁぁっ」


トーナメン兎「この勝負ドロー! 2戦目突入!」


見知らぬ女性「ヒロシくん。飲んだら光のはやさで病気が治った奇跡の水(ワンセット35000円也)を飲むのよ。お金は後でいいわ!」


財後先生「ヒロシくん。手術だ。このマイクロチップを脳に埋め込んだら、怪行動がでなくなったという報告が」


トーナメン兎「この勝負ドロー! 続いて第14戦目!」


 選手の実力が拮抗し、鬼のように白熱する『かわいそうなヒロシを救済するトーナメント』。見ているほうは楽しいでしょうけど、巻き込まれているこちらにしては正直体がもちません。続く14戦目も、結果はドローでした。


トーナメン兎「むうう。このままではいけないだニンジン。2人の実力は、ヒロシというゴミのような物差しでは量りきれないだニンジン。ここでルール変更、救済する対象の『かわいそうな人』を増やしますニンジン」


 トーナメン兎は配下の者に命じ、観客の中からいかにもいかわいそうな人生を送っていそうな人々を、リングに集めてきました。


集められた人A「なんで私がかわいそうな人間なんです。私、愛する妻と新婚生活に勤しむ毎日で、それはもう、幸せ真っ最中なのですよ」


トーナメン兎「この写真見てください。奥さまがラブホテルから出てくるところですニンジン。あ、奥さまはこのホテルで働いているんですかニンジン? 一緒に写っている男性は同僚かなニンジン」


集められた人A「げげぇ!?」


集められた人B「健康の代名詞みたいな私がどうしてかわいそうなの? 会社の健康診断だって、余裕でクリアだし」


トーナメン兎「残念。健康診断にきた医者が悪かったんですねニンジン」


集められた人B「なに、それ、どういうこと!? 目をそらさないで答えてよ!」


ママ「素敵な旦那様とかわいい息子、役に立つペットに囲まれた私がかわいそうだとでも!」


マルぼん「え。ペット?」


トーナメン兎「奥さま、目が笑っていないだニンジン」


 選抜されたかわいそうな人々をもってしても、見知らぬ女性と財後先生の決着はつきませんでした。


トーナメン兎「く。タマ切れだニンジン。このままではトーナメントが順調にすすまない…それだけは避けないといけないだニンジン。ちょっと、そこの人、リングまで来て!」


そこの人「え。僕、かわいそうな人ですか。自覚ないんですけど」


トーナメン兎「そんなことないだニンジン。幸せな人生を送っているだニンジン」


そこの人「じゃあなんで」


トーナメン兎「かわいそうな人がいなくなったんだニンジン。いなくなったら、作るしかないだニンジン。……今、あなたの会社に辞表届をだしてきたニンジン。あなた名義で」


そこの人「げげぇ!?」


トーナメン兎「ドロー! この勝負もドローだニンジン!」


 わざわざかわいそうになってもらった人たちをもってしても、見知らぬ女性と財後先生の救済バトルには決着がつきません。


トーナメン兎「よく見たら会場には人が全然いないニンジン」


 観客のほとんどは救済バトルの犠牲となって露と消え、会場には試合に出ている2人とヒロシ、ゲームに夢中で試合に興味のカケラもなさそうなマルぼんがいるのみです。


トーナメン兎「この2人の力量を測るには、もっともっと大量で壮大なタマが必要だニンジン。…そうだ。むむむむぅ」


ヒロシ「どうしたのさ。真剣な顔して」


トーナメン兎「今、みらいのせかい名物の超特殊電波を駆使して、世界中の軍事施設のミサイルを同時発射させたニンジン。もちろん、各国の迎撃システムもバグらせ済みだニンジン」


ヒロシ「な、なんだって! そんなことしたら、世界中焼け野原じゃないか! 世界中にかわいそうな人が溢れかえるよ!」


トーナメン兎「それが願いだニンジン。最終試合は『焼け野原と化した世界で、より多くかわいそうな人々を救済したほうが勝ち』というルールだニンジン。それでは試合開始……」


 その日、地球はかわいそうな星となったのでした。
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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
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