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大沼ヒロシ

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「ヒロシ、霧の中」の巻
 3日間音信不通になっていたヒロシがようやく帰宅。理由を聞いてみると

ヒロシ「給食を残したら、担任のサイノカワラ(イタズラをした生徒を河原に連れて行って、無理矢理に
石を積み上げさせ、いいところまで積んだら壊させるということを強要し、PTAから訴えられたということからついたあだ名)に怒られたんだ。で、学校の地下にある特別指導室(元防空壕。保護者には内緒で、色々やってます。それはもう、色々やってます。だって教師である前に人間だもの)に連れて行かれ、昼夜問わず飲まず食わずの強制労働。もう嫌だ。汚れたから死ぬ。僕は死ぬ」


とのこと。


 ちなみにヒロシが残した給食は「ぶどうパン」。パンのなかに干しぶどうがはいっているもので、ヒロシは干しぶどうが大嫌い。目の前にあるだけで「神は死んだ!」「自由も死んだ!」「大沼死すとも干しぶどうは死せず」「干しぶどうの表面のシワから殺し屋が僕を狙っている。誰に、誰に頼まれた!? 兄貴か!?」とパニックになったり、「サルでもできる自爆テロ」という本を片手に町内の「干しぶどう工場」の住所を調べたりするほど大嫌い。そんな物を「食えよ。世界には飢えで苦しんでいる人がごまんといるんだ。食えよ」と無理矢理食べさせるのは酷な話だと、マルぼんは思いました。


ヒロシ「マルぼん。苦手なものを克服できる機密道具、出してよ」


 ヒロシを不憫に思ったマルぼんは、色々考えてみることにしました。


「干しぶどうに中毒性のある草(幻覚のオプション付き)を混入する」「干しぶどうに中毒性のある粉(激しい被害妄想ができるようになるオプション付き)を混ぜてみる」「いっそのこと楽にする」など、ヒロシの安全を第一に考えた計画を立案しましたが、どうもしっくり来ません。


 で、さらに悩んだ末「嫌いなものなら好きなもので上から塗りつぶしてしまえばいいのでは」と、マルぼんは思いついたのです。マルぼんの知人の一人暮らしのおじいさんに、ジャガイモを親の仇みたいに嫌っている人がいるのですが、その人も大好物のカレーの具としてのじゃがいもは、「うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまいうまい。うまい。うまいよおかーさーん」と、何かに獲りつかれたかのように、素手で貪り食ったりしますし。


マルぼん「ヒロシくんの好物って?」

ヒロシ「ぷに~でふわふわ~で萌え~な美少女」


「こいつは人間として腐っている」と思ったのも束の間。マルぼんはある機密道具のことを思い出しました。『擬人火』。この火で軽くあぶったものは、どんな物でも『ぷに~でふわふわ~で萌え~な美少女』にその姿を変えてしまうのです。マルぼんはさっそく干しぶどうをあぶってみました。


ヒロシ「すごい! 干しぶどうが光の速さで『毎朝、僕を起こしに来てくれる幼なじみ』に化身した!」


 美少化した干しぶどうを見て、早くも脳内設定を作りあげたヒロシ。


マルぼん「これで干しぶどうも克服だね」


ヒロシ「はぁ? 人間の姿をしたものを食べろだなんて何言ってンの? さてはマルぼん、留学先のパリで知り合った美人に食料としての魅力を感じてしまうタイプ?」


マルぼん「ここにもモラルの壁が」
 ヒロシ「結局、干しぶどう克服は無理だったね。所詮、未来の世界の生きる価値もないろくでなしの機密道具か」

マルぼん「な!? なんだと! 貴様! この口が! この口が罵詈雑言を産み出すのかー!?」


 こんなカンジで殺傷沙汰になったマルぼんとヒロシですが、半日後には「『擬人火』をいじって遊んで、おもしろおかしく生きていこうぜ」という結論に至り、見事仲直り。2人で町へと繰り出しました。


ナウマン象「おう。ヒロシじゃねえか。新しく買った薬の効果を確かめたいから、この風邪薬と睡眠薬を同時に服用しろよ」


 繰り出した瞬間、ナウマン象に遭遇したマルぼんたち。恐怖に駆られたヒロシは、とっさに『擬人火』でナウマン象をあぶってしまいました。


ナウマン象「ああ!? 俺様の体が『陸上に命をかけていたが足の故障で夢を断念し、生きる希望を失っていた時に心やさしいガキ大将と出会い、癒され、やがて愛情を感じるようになる美少女』になってる!」


 光の速さで事情を飲み込み、脳内設定を構築するナウマン象たん。


ヒロシ「なにを言っているんだナウマン象! その姿はどう見ても『クラスの世話焼き委員長』だろ!?」


ナウマン象「貴様の仕業か! このっこのっ!」


 男として譲れないもの(脳内設定)をかけて戦い始めるヒロシとナウマン象たん。しかし『ダメおたく。金も力もなかりけり』とはよく言ったもので、ヒロシは一方的にナウマン象たんに殴られています。「一人暮らしのおじいさんが命の次に大切にしている、今は亡き孫愛用のお茶碗」をも砕くナウマン象のパンチをまともに受けつづけるヒロシ。


ヒロシ「あれ!? いつものナウマン象に殴られている時は痛さしか感じないけど、今のナウマン象に殴られても痛くない…?
 それどころか、それどころか…この感覚は!」


 殴られながらも満面の笑みを浮かべるヒロシを見て、マルぼんも幸せです。


 そして、時はながれ、夏。


ヒロシ「きゃっ!? セミの死骸!」


 光の速さで生きることをあきらめたセミの死骸が道に転がっていたのを見て、ヒロシが嫌悪感がこれみよがしにつまった悲鳴をあげました。



ヒロシ「ぼ、僕は干しぶどうやマルぼんと同じくらい、セミが嫌いなんだ。特に死骸。なんで仰向けで死ぬんだよ。あの白い部分とか茶色の部分とか、ちょっとグロすぎない? というか全滅しろ!」


 荒れるヒロシ。


ヒロシ「あと、すぐ死ぬなよ。生きろよ。生きぬけよ。生きてればいいことあるんだから。生きろよ。生きてくれよう」


 壊れるヒロシ。小学生が壊れたままというのはマズいので、マルぼんは『擬人火』でセミの死骸をあぶりました。


ヒロシ「ああ…『口うるさいけど生徒想いの女教師(メガネを外すと美人)』の死骸! ああ!」


 その後も道でセミが朽ち果てているのに遭遇する度、マルぼんは『擬人火』を使いつづけました。スモッグとダイオキシンとなんとか2.5の量世界一の微笑町ですから、セミの死亡率もケタ違いで、マルぼんの作業量も半端なものではありませんでした。で、ようやく帰宅。


マルぼん「さぁ、お家に入ろう」


ヒロシ「その前に、どんなものでも腐らせず、永久に美しいまま収容できる機密道具だしてよ」


 美少女(本当はセミです。あくまでセミです。ええ、もちろんセミです)の死骸を山ほど抱えたヒロシが、満面の笑みをうかべていいました。幸せそうなヒロシを見て、マルぼんも嬉しかったのですが、近所の人は汚いものでも見るような顔をしてヒロシを見ていました。そんなわけで部屋はヒロシの持ち帰った美女の死骸(セミ)で埋め尽されているのでした。


マルぼん「捨ててきなさい。捨ててらっしゃい」


ヒロシ「マルぼんは、空想美少女がいっぱいなバーチャル世界にしか明日への活路を見い出せない哀しい哀しい社会の被害者が、ようやく見つけだした現実との接点(セミの死骸)を、生きるという苦しみから探しあてた希望を、捨てろというの!」


マルぼん「はい(即答)」


ヒロシ「こ、この鬼畜! 畜生! 保健所の監視つき!」


そろそろ真剣にうざいのでマルぼんは強制的にヒロシの希望を排除することにしました。『ナカッタのコト煮』。みらいのせかいに存在するナカッタという動物の肉を、みらいのせかいに存在するコトという果物を液状にしたもので煮て完成するお薬です。この薬は、機密道具の効果を打ち消す効能があります。


 例えば『機密道具の力で株のインサイダー取り引きで大もうけしようと企んだものの、あえなく失敗して全財産を失ってしまうも、人として大切ななにかを思い出した社長サン』に『ナカッタのコト煮』を使用すると、『機密道具で株のインサイダー取り引き』がなかったことになり、社長サンは元の『人を人とも思わず、独居老人を容赦なく騙して金を奪い、最期はマスコミの前で銃剣で刺し殺されるような冷酷非道な男』に戻ってしまうのです。


マルぼん「この『ナカッタのコト煮』で、美女をセミに戻してやる!」


ヒロシ「そんなことしたら、このエルドラドが一気に地獄に!」


マルぼん「ほらほらほらー! どうだぁ、ヒーロシィ!」


ヒロシ「美女の死骸がセミの死骸に! 美女の死骸がセミの死骸に!」


マルぼん「希望なんて儚いものだな、ヒーロシィ!」


ヒロシ「いや、いやー! って、美女のままの死骸がある! 夢は守られた! 希望も守られた!」


マルぼん「そんな馬鹿な!…って、これ、セミじゃないよ。これ…もしかして…」


ヒロシ「……現実。現実ゥ!? ひ、ひぃ! 現実キモい! 現実キモいー!」


 一ヵ月後。庭に大きな花が、咲きました。



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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
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