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大沼ヒロシ

Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「案外ペットロス」の巻
金歯「この前、パパの知り合いのパーティーに出席したんだけど、素晴らしかったよ。池の水が全部酒になっていて、浮かべた船に乗りながら飲むんだ。木の枝には肉がぶら下がっていて、自由に取って食べていい立食形式。贅沢の味って、こういうことを言うんだろうねえ」



ヒロシ「どんな庶民でも簡単に贅沢の味を堪能できる機密道具だしてー!」


 開口一番ヒロシの懇願。金歯の自慢癖にも困ったモノですが、ヒロシの妬み癖にも困ったモノ。とはいえ、生れてこの方、贅沢といえば家族3人で1杯のかけそばをケダモノのように食べたことくらいのヒロシを不憫に思ったマルぼんは、『味の元ネタ』という機密道具を用意してやりました。


ヒロシ「ふりかけみたいな機密道具だね。ラーメン味にカレー味? あ、ラーメン風味をごはんにかけたら、ごはんがラーメン味になるとか、そんな感じの機密道具だね!」


 ヒロシの推理はいい線なんですが、微妙に外れています。口で説明するより実演するほうが速いと思ったマルぼんは、
昼飯の残りご飯に『味の元ネタ』のカレー味をふりかけてみました。しばらくすると、外からなにか声が。


声1「下にぃ~下にぃ~」

声2「あ、金歯コンツェルンの行列だ! なんで!?」

声3「超レアな香辛料で作られた、金歯一族専用スペシャルカレーを輸送中なんだってさ」

声2「へ~。金持ちは違うね」

声4「資本主義の手先ども、死ね!」

声3「あ、テロリスト」

声1「カレーになにかあったら、輸送班全員とその家族の命が危ない(そういう契約)。とりあえずあの家へ避難だっ」


 しばらくすると、全身傷だらけになった男が、部屋に入ってきました。


男「このカレーを! 我々の命をどうかおねが……って、あ!」


 おそらくは前世がドジッ娘だったのでしょう。入ってくるなり床につまづいて、カレーを部屋にぶちまける男。カレーはもちろん、用意したごはんにもかかり……


男1「う、うああああ!? そんなぁ!? やす子(妻)! ナンシー(娘)! うおあああああああああ!?」


マルぼん「『味の元ネタ』はかけた食べ物の味を変える外的要因を作り出す機密道具なんだ。『味の元ネタ・贅沢風味』ってのがあるから、そいつを使おうよ。ほら、カレー味になったごはん、
おいしいだろ?」


ヒロシ「…涙の味がする」




マルぼん「というわけで、この『味の元ネタ・贅沢風味』を使えば、ありふれた食材も贅沢な逸品に早やがわりなのさ」


ヒロシ「なんかこの機密道具、生理的に嫌いなんだけど」


マルぼん「(無視して)ちょうどここのサツマイモがあるから、これに『味の元ネタ・贅沢風味』を使ってみようね」

ヒロシ「……」


 沈黙=肯定という考えのマルぼんは、ヒロシの無言を「そいつは素敵な考えだ! どんどんやれよ親友!」と解釈した
マルぼんは、さっそくサツマイモに『味の元ネタ・贅沢風味』をふりかけました。


「隣のおばさんが、庭で季節はずれのたき火をするからヒロシくんもどうですか、だって」とママさんが言ってきたのは、それからすぐのことでした。


マルぼん「よし。そこでこのサツマイモを焼いてもらおう!」


ヒロシ「……」


 沈黙=肯定と(中略)マルぼんはサツマイモ片手にヒロシと家を出て、隣のおばあさんの家へと向かいました。確かに隣のおばさんはたき火をしていました。ただ、燃やしているのは落ち葉ではなく、膨大な量の千円札。


おばさん「お芋さんをもってきたの? 焼いてあげるわね。安心して。燃やしているのは綺麗なお金。欲望に汚されていない、綺麗なお金だから」


マルぼん「札束で焼きいも! こいつは贅沢だねっ」


 戸惑うヒロシ。マルぼんは代わりにサツマイモをおばさんに差しだし、焼いてもらいました。


おばさん「おいしい? おいしいはずよね。だってこれは綺麗なお金。この前亡くなった、私の息子の保険金。……なんで、なんで死んだのや、ボラシニコフ(息子)!!」


マルぼん「こいつは贅沢の極みだね。贅沢の味はどうだい、ヒロシくん!?」


ヒロシ「…涙の味がする」





『味の元ネタ・贅沢風味』を使って身近なものを贅沢な味にして堪能しまくったヒロシ。


 最初はなにか食べるたびに「…涙の味がする」としかいわなかったヒロシも、回を重ねるごとに、「既に半年も雨が降らず、絶望的な水不足になった故郷を救うべく立ち上がった男が、己の命と引き換えにやっと手にいいれたコップ1杯の水」なんて極限の逸品を食しても「カルキくせえ」なんて感想しかいえない嫌な大人に成長したのでした。


ヒロシ「もっともっと、贅沢な味を堪能したいな」


マルぼん「『贅沢風味』ではこれ以上は無理だね…」


ヒロシ「さらに凄い『味の元ネタ』はないの?」


マルぼん「『必要以上に贅沢風味』ってのがあるけど…これ、正常に効果がでないらしくて販売中止になったヤツなんだよ」


ヒロシ「問題ないよう。よし。さっそくこのオニギリにかけて」


 ヒロシが『味の元ネタ・必要以上に贅沢風味』をオニギリにかけた瞬間、ママさんが血相を変えて部屋に飛び込んできたいいました。「パパが、あちこちの消費者金融から金をかりて失踪した!」と。


 言わずもがな。それからの年月は地獄そのものでした。ヒロシは落ちぶれ、59歳になった現在でも家ナシ職ナシ家族ナシの根無し草。常にヤクザの影に怯え、本名を隠して各地の公園を転々。食事も1週間ほど取っておらず、公園のベンチで餓死寸前です。


ヒロシ「死ぬんだ。俺はこのまま死ぬんだ…」


少女「おじさん、どうしたの大丈夫?」


ヒロシ「……」


少女「わかった。お腹が減っているのね。だったら、私のお弁当あげる」


 少女がヒロシに渡したお弁当は、オニギリでした。オニギリにむしゃぶりつくヒロシ。


ヒロシ「う、うまい…うまい」


少女「昨日の残りごはんで作った、ただオニギリだよ。そんなにおいしいわけないわ」


ヒロシ「ただのオニギリでも、今の俺には十分すぎるんだよ。ああ、贅沢。なんて贅沢なんだ」


『味の元ネタ・必要以上に贅沢風味』の効果で、ヒロシは「たとえ残飯でも、食べれば贅沢と感じる人間」になったのでした。

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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
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