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Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「奇跡を呼ぶ男」の巻
 これはまだ、ヒロシが前の職場(独居老人に浄水器を売る仕事)にいた頃の話。ヒロシと同じ部署に、花村先輩という人がいました。


 ある日、この先輩が病気に罹ってしまいました。命の危険を考えざるを得ない、重い病です。


花村先輩「俺もいよいよ、年貢の納め時かな。穏やかに死を待つよ」


ヒロシ「先輩。気を落とさないでくださいよ。奇跡はきっと起こります」


花村先輩「起こらないから奇跡という古い言葉を知らないのか。奇跡は遠い。あまりにも遠いんだ」


ヒロシ「確かに遠いかもしれません。でも、近づくことはできるのではないですか。なにもしなければ起こる奇跡も起きません。自分から行動したやつにだけ奇跡は起こると俺は思うんです。ただ死を待つだけなんて、命の無駄遣いです。足掻きましょう。無様でも惨めでも足掻きましょう。足掻きに足掻いて、遠くにいる奇跡を呼びつけてやりましょうよ」


花村先輩「そうか。そうだよな。ありがとうヒロシ。どうせ死ぬなら足掻いてやる。足掻きまくってやるよ」


 その日から、花村先輩は変わりました。早寝早起きを心がけ、暴飲暴食を控えて上に、バランスのとれた食事。1日1箱以上吸っていたタバコはピタリとやめて、浴びるように飲んでいた酒は適量に。趣味に力をいれてストレスをためないようにし、毎朝のジョギングで運動不足におさらば。インターネットで日本各地の名医を調べては訪ね歩き、西洋医学も東洋医学も試せるものは全て試す。これらのことを会社を辞めずに続ける。そんな花村先輩が、ヒロシには輝いて見えました。


 花村先輩の努力は奇跡を呼びました。半年後、花村先輩の病気はすっかり治っていたのです。


花村先輩「ヒロシ。おまえのおかげだよ」


ヒロシ「そんなことありません。すべては先輩の努力の結果です。先輩が奇跡を呼んだんです」


花村先輩「ありがとう。ありがとうな」


 しかし半年後。花村先輩の病気は、再発してしまいました。それも前よりもひどい状態で。さすがにかける言葉がみつからないヒロシでしたが、花村先輩の顔は笑顔でした。


花村先輩「奇跡は何度でも起こる。いや、起こして見せる」


 花村先輩は、前以上に努力しました。国内だけではなく海外の医者を尋ねるようになり、万病に効くという薬草の自主栽培もはじめ、自然が多く環境の良い場所に引っ越し、運動量も増やす。今では会社の昼休みにもジョギングをしているくらい。ジョギングをしている時の花村先輩は楽しそうな笑顔を浮かべており、とてもじゃないけれど闘病をしているようには見えない素敵なもので、ヒロシはこの笑顔がたまらなく好きになりました。そして再び奇跡は起きました。先輩の病気は、治ったのです。奇跡は二度起こったのです。


ヒロシ「先輩は本当にすごいです」


花村先輩「あのさ、ヒロシ。病気の治った記念ってわけではないけれど、今度引っ越しすることにしたんだ。微笑町から離れているだがが、自然がたくさんある素晴らしい場所なんだ。今度遊びに来てくれ」


 花村先輩に二度目の快気祝いが終わった数週間後。いつもより仕事が遅くなったヒロシが資料室の前を通りかかったときの事。日頃、誰も寄り付かない資料室に誰かがいることに気づきました。泥棒かなにかかもしれない。気づかれないように資料室の中を除くヒロシ。そこには花村先輩がいました。止めたはずのタバコを何本も吸い、適量にしたはずの酒を浴びるように飲み、脂っこいものや炭水化物を山のように食べている花村先輩の姿。食べ物だけならまだマシ。薬品のようなものや、あきらかに食べ物でもない得体のしれない物質まで口にしていました。


ヒロシ「あれ、もしかして、アスベストじゃないか。ニュースで見たことがあるぞ」


ヒロシ(そういえば、花村先輩の引っ越した場所。福笑町。このあいだニュースにでていた。自然は多いけれど、昔、悪質業者が危険な物質を大量に埋めまくっていて、因果関係は判明していないけれど、癌の発生率が高く、住民の寿命が異様に短いとか……かなり前から問題になっていたらしいけど)



 ヒロシは、数年前に読んだ著名なマラソンランナーの自伝を思い出しました。その人は元々マラソンに興味などなかったそうです。ある日、車の購入資金をためるために交通費をケチろうと、バスや電車を使っていたところを歩きにしたそうです。ある日遅刻しそうなになり、いつもの道を全力疾走。なんとか間に合ったそうなのですが、その時に得た達成感が尋常ではなかった。またこの達成感を味わいたいと思ったその人は、あえて家を出る時間を遅くするようになってしまったとか。それからいろいろあって、ランナーになったとか。


 数か月後。花村先輩は三度目の発病を職場で公表。再び奇跡を起こして見せると宣言しました。そしてその日も、花村先輩は昼休みに会社の周りをジョギング。大好きだったジョギング中の花村先輩の笑顔が、ヒロシにはひどく不気味に見えました。


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日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
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