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Author:大沼ヒロシ
大沼ヒロシと申します。ブログはじめたての初心者です。どうぞよろしく。

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「ヒロシ結婚当夜」の巻
 ナウマン象の娘が大学に進学し、金歯は選挙に出馬し、ルナちゃんが信仰が絡んで起こした事件について逆転無罪判決をいただいたその頃。ヒロシはといいますと、深夜に放送されている萌え系アニメ『人食いプリンセス マジカルアミン』にドはまりしておりました。カニバリズムの習慣があることを除けばなんの変哲もない魔法の世界から、修行のために来日してきた在日魔法少女のアミンが、この世の悪と己の食欲と戦うという内容のアニメです。


 ヒロシのハマり具合は尋常ではなく、寝食を切り詰めて金を貯め、CD・BD、フィギュアなどの関連グッズを買い漁り、稼いだ金をこのアニメを手モチーフにしたスマホのゲームへの課金で溶かす毎日です。特に、ヒロインの一人であるヒカリゴケちゃんへの思い入れは非常に強く、日常的に「僕はヒカリゴケちゃんと結婚したいんや」と公言して、親に大学病院へ連れていかれる始末。ついには、なんとかアニメのキャラクターと結婚する方法はないかと、その道の権威の元へ訪れ、三日三晩話し合ったりもしました。


  その権威というのは、なにを隠そうみなさんご存じの、すねがじり国際大学21世紀アジア平和共同体未来志向人間学科名誉教授である膝枕パグ博士。『ここまでわかった! 二次元世界への入り方』『長生きしたけりゃ嫁は二次元』『俺の嫁百選「桃太郎 海の神兵」から「ごちうさ」まで』『いつまでも遺影はセル画』といった著作を読まれた方もおられるのではないでしょうか。


 そんな膝枕教授とのイチャコラもなんの成果もなく、アニメのキャラクターと結婚する方法は見つからず、ついに最終手段。マルぼんに縋り付いてきたのです。


ヒロシ「ヒカリゴケちゃんと結婚することができる道具だしてぇ!!」


 しかししかし、なんたる悲劇。不老不死、酒池肉林、世界平和、差別や貧困の撲滅など、あんな夢もこんな夢もなんでもかなってしまう未来の世界でも、アニメのキャラクターと結婚する方法だけはみつかっていないのです。


ヒロシ「そこをなんとか。後生ですから!! 僕の夢なのです! ヒカリごけちゃんと結婚するのが、僕の夢なんですー!!!」


 くしゃくしゃになった万札数枚をマルぼんに押し付けながら、必死に懇願してくるヒロシ。無理なのです。無理な話なのですとマルぼんが説得しても、「『人食いプリンセス マジカルアミン』の主題歌でも、夢はかなうと歌われている!!」と聞く耳をもたない!



 

                          人食いプリンセス マジカルアミン主題歌


                    イーターイーターマンイーター イーターイーターマンイーター


                    いつかあなたにあーイーターい 人食いプリンセス マジカルアミン


                    ねえ そこのキミ 電柱の陰から 私をみてる そこのキミ!!


                    そんなうかない顔してちゃ しあわせきっと ロンググッバイ


                    悩みはすべて はなしてみてよ 人食い魔法で 万事解決


                    カニバラ カニバル カニバリズム ねがいはきっと


                    カニバラ カニバル カニバリズム 夢だってきっと


                    カニバラ カニバル カニバリズム 信じていれば


                    かなうよきっと かなわなければ 
 
                   
                    社会が悪い 世間が悪い 他人が悪い


                    カニバのリズムにのってやってくる


                    あなたをサポート マジカルアミン




ヒロシ「歌の力は無敵だよ」


  それでも無理なもんは無理やとマルぼんが告げると、「こうなりゃ自分でなんとかする!!」と叫び、ヒロシは身ひとつで姿を消しました。そして一週間後、物言わぬ姿となって、帰ってきたのです。


 通夜の夜。親戚一同が集まった時の事。ヒロシの伯父であるツナ彦さんが、ヒロシの遺体から髪の毛をとっているではありませんか。


ツナ彦「この髪を使って、ヒロシの人形を作ってやろうと思って」


マルぼん「人形?」


ツナ彦「結婚もせんで逝くのはかわいそうだからな。せめて、人形の状態で結婚させてやろうかと」


マルぼん「ああ、冥婚ですか。人形婚の」


 人形婚なら、相手役の人形が必要。それなら、と、マルぼんは、ヒロシの棺に大量に詰められた
『人食いプリンセス マジカルアミン』のグッズから、あるものを取り出して……


                          
                                    ※


 大沼宅を訪れた人は、仏壇の近くに置かれた、立派な花婿人形と、その横に置かれた萌え系フィギュアに驚くという。その萌え系フィギュアは、『人食いプリンセス マジカルアミン』のヒロイン・ヒカリゴケちゃんのもので、あまりにレアなため、箱に入れたまま保管されることが多いものなのですが、レアリティくそくらえとばかりに、花婿人形と対になって飾られている。2体の前には、花婿人形のモデルとなったヒロシの写真が飾られており、その顔はとても幸せそうに見えるといいます。


 そんなわけで、こうしてヒロシはヒカリゴケちゃんと結婚することができたのでした。めでたしめでたし。


日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「夢と魔法がやってきた」の巻
ヒロシたちの住む微笑町。その住民のすべては、金歯の親父とか一族とかが関係する会社に務めている人とその家族。公務員もいるけど、税収のほとんどが金歯んところが出所というわけで、金歯に言いなり。いうなれば、町のすべてが金歯一族のもと言っても過言ではないのだにゃあ。


 そんなわけで金歯は「白」といえば、黒いものでも「白」。


 金歯が「生きろ」といえば、死んだ人も生きている体に。


 金歯が「もう恋なんてしないなんて言うな。絶対」といえば、「もう恋なんてしない」は差別用語扱い。


 そんな微笑町のお話。


マルぼん「おい。金歯から通知が来ているぜ」


ヒロシ「『微笑町の住民は、全員公民館に集まるでおじゃるー』か」。めんどいけど、拒否ったら親父は解雇だろうし、行きますか」


 微笑町の住民18,765人は公民館に集いました。今まさに生きるという喜びに囚われた赤子から、今まさに生きるという苦しみから解放されつつあるお年寄りまで、全員が集合。


ナウマン象「いったいぜんたい、何の用事だろうな」


ルナちゃん「きっとあれじゃないかしら。私たちが働いている金歯鉱山株式会社で支給されている、昼飯の硬いパンが、柔らかくておいしいアンパンになるとか、うれしいお知らせじゃなかしら」


ヒロシ「お、金歯が来たぜ」


金歯「やぁやぁ愚民ども。ご機嫌いかがでおじゃるか。実は、慈悲深い朕は、うぬらに超嬉しいプレゼントを用意したのでおじゃる」


金歯に命令で靴を舌でなめてきれいにする仕事にしか就けない人「靴なめのノルマをゆるくしてくれるのでしょうか」


金歯「NO!」


生まれた時から金歯が死んだら一緒に墓にいれられることが決定している人「墓の規模が小さくなることが決定したとか」


金歯「NO!!」


マルぼん「じゃあ、いったいなんなのさ」


金歯「実は、実はでおじゃるが。うぬらも知っているであろうあの、有名テーマパーク。ドリームとマジカルのテーマパークが、微笑町に移設されることがほぼ決定したのでおじゃる!」


一同「な、なんだってー!? あの有名ランドがー!?」


金歯「しかも微笑町住民専用。どうだ驚いたでおじゃるか。ドリームも、マジカルも、マネーがあればなんとでもなるのでおじゃる」


ルナちゃん「あのランドといえば、楽しい楽しいアトラクションが盛りだくさん。どのアトラクションが乗り放題と?」


金歯「むろん」


ナウマン象「夜ごと開催される派手な行列も見放題と?」


金歯「むろん」


マルぼん「愉快な仲間たちが繰り広げるショーも堪能し放題?」


金歯「むろん」


ヒロシ「ランド内の道や壁、アトラクションの飾りなどに、一見するとたんなる模様や柄に見えるけれど、よく見るとランドの代表的なマウスキャラクターの頭部を模したものがあって、それを探す『隠れマウスキャラクター頭部』探しに興じることもできると?」


金歯「ああ、悪い。このランドは、18,764人用なんだ。ヒロシは遠慮してくれでおじゃる」


ヒロシ「ひえーひどい意地悪。いいさ、いいさ。僕はドリームもマジカルも興味ねえし! う、うらやましくなんかないんだからね!!」


ナウマン象「ヒロシ、泣きながら家に帰ったぜ。ははっ」


金歯「気をとりなおすでおじゃる。もうすぐ、あの代表的なマウスがやってきて、移設決定を知らせに来てくれる手筈。お、このBGMは」


 公民館内に、ランドの電飾満載行進でかかるBGMが流れはじめ……


マウス「ハハッ」


マルぼん「ああ! あのマウス!!」


マウス「ハハッ。微笑町のみなさん。こんにちはー」


一同のもの「こんにちはー」


マウス「ハハッ。僕たちはもうすぐこの町にお世話になることになったんだ。これからよろしくね!」


一同のもの「こちらこそー」


マウス「……とでも言うと思ったかな。ウジムシども!!」


一同のもの「!?」


マウス「なめたことをしてくれたものだ。甘く見られたものだよ。われわれも。マネーパワーだと? ドリームもマジカルはなにものにも屈しない。そのことを思い知らせてやるよ。ハハッ。滅びのパレードのはじまりだっ」


金歯の部下「大変です! ドリームとマジカルの力が働いたとしか思えない不思議な現象が起こりまくって、うちに関係するすべての会社がつぶれました」


金歯「な、なんだってー! つまり……」


マウス「町の住民全員無職。町も税収ゼロ。ハハッ。ギリシャも真っ青だねっ」


一同のもの「な、なんだってー!」


マウス「ハハッハハッハハッ」


 そんな悲劇が起こり、金歯の運命は一変。なんの後ろ盾もなくなった金歯に、町の住民のすべての家計を破壊した金歯に、人々は容赦なく憎悪をぶつけ始めたのです。あら大変。


金歯「右や左の旦那様~」


ナウマン象「みろ。金歯がおるで。みんなあれは持ったか」


ルナちゃん「もちろんや。石。石。河原からぎょうさん拾ってきた石や」


マルぼん「投げろ! 一斉に投げるんや」


金歯「やめてください。死んでしまいます」


あの集まりから半年。毎日のようにこんなことが続いておるのです。


ヒロシ「……」


ナウマン象「なんや。ヒロシはやらんのか。おまえ、昔はよういじめられとったやんけ。ほら。この石使えや」


ヒロシ(確かにいじめられていた。いつか必ず復讐してやろうと思っていた。でも、それはあくまで僕自身の手でなされるべきだったんだ。勝手に自滅して、情けなくなった金歯に石を投げても、それはなんの意味もない……)


 ヒロシは渡された石をこっそりと捨てると、帰宅して、食べるものもないので枕を噛みながら眠りました。そしてその夜。


 絹を裂くような女性の悲鳴で、ヒロシは目を覚ました。


ヒロシ「なにごとナリか!」


マルぼん「……」


ヒロシ「マルぼんが斧で頭をかち割られている。死んでるじゃねえか」


金歯「マルぼんだけじゃないでおじゃる。うぬの母親も、ほらこの通り」


ヒロシ「あ、生みの親の生首。金歯、まさかおまえが」


金歯「YES! 朕は、いや、俺は、俺を否定したすべてを破壊することをしたのだ。。この半年の間たまりにたまったものを、
すべて吐き出してやるのさ。お前らウジムシどもにぃ!!」


 日本刀や斧、猟銃。あらゆる武器で武装した金歯がそこにいました。マルぼんやヒロシ母以外の人も手にかけたのか、着込んでいる詰襟の学生服も、ゲートルも、地下足袋も、頭に巻いたはちまきも血に染まっています。金歯はゆっくりと、猟銃の銃口をヒロシに向けました。


ヒロシ「こ、こらえてつかーさい」


金歯「……」


ヒロシ「い、命だけは」


金歯「よく考えたら」


ヒロシ「……」


金歯「朕はあれだけいじわるをしてきたのに、この半年で、おまえは一度も俺にいやがらせをしてこなかったな」


ヒロシ「……」


金歯「……」


ヒロシ「……」


金歯「……いままで」


ヒロシ「……」


金歯「たくさんいじわるしてきて、すまんかった」


 金歯そのまま、大沼宅を出ていった。しばらくすると外から銃声と悲鳴。それらは夜明け近くまで続きました。駆けつけた警官体は死体の海をかき分けて金歯を探しましたが、発見には至りませんでした。

































ヒロシ「ということがあったのが60年近く前。たくさん死んだよ。数えきれないくらい。金歯はというと」


青年「一週間後、隣町の山中されたんですよね。猟銃で自分の頭を撃ち抜いて、死んだ状態で」


ヒロシ「なんだ僕より詳しいんじゃないの。僕の話なんか聞く必要ないんじゃないの」


青年「事件の詳細はね、ウィキペディアにも載ってますから。でも、実際に事件を体験した方に話を聞くのは大切なんです」


ヒロシ「そう? じゃあ、続けるよ。事件が落ち着くとね、なんとか生き残った連中も我先に町を離れていったよ。意地をみせて残った連中も、60年の間に次々死んじまって、今じゃ僕を含めて数人程度」


青年「それでこの辺りは廃墟が多いのですね」


ヒロシ「持ち主が所在不明な家をつぶすわけにはいかないからね。にしても、そんな廃墟だらけの町をよくもまぁ、訪ねてくるね。最近、君みたいなのがたくさんくるよ。今もほら、スマホ片手にうろうろしてる」


青年「ネットとか本で有名なんです。昔、大量殺人があった廃墟なんて、その手のマニアにとっては、宝の島みたいなものですから」


ヒロシ「ようわからんが、世の中には変わった趣味の人がいるんだな。あ、そうだ。逆に聞きたいことがあるんだけど」


青年「なんですか」


ヒロシ「ここに来る連中な、しょっちゅう写真で撮影してるんだよ。廃墟に入り込んで撮影しているやつもいて、それはまぁ、ある程度は理解できる。でも、壁とか、道とか、電柱とか木とか、何の変哲もないものばっかり、飽きもせず撮っているやつもいる。
あれ、なんでなんだい」


青年「金歯はたくさんの人を、町のあちこちで殺したわけです。ということは、町のあちこちに殺された人の恨みつらみが散らばっているわけです。そんな恨みつらみがあちこちに浮き出ているのではないか、という噂があるんですよ。ほら、これ、さっき僕が撮ってきた写真なんです。ここに映っている壁のシミ。よくみると、叫び声をあげている女の子の顔に見えませんか?」


ヒロシ「言われてみれば……」


青年「こんな感じで、恨みのこもった人の顔に見えるシミだとか、柄だとか、模様を見つけるのが、最近、われらマニアの流行でして」


ヒロシ「うわー! なんかそれ『隠れマウスキャラクター頭部』探しみたい! 僕もやる! うひょーテンションあっがるぅー!!」


 そんなわけで、60年越しに『隠れマウスキャラクター頭部』探し的なことを楽しめることなったヒロシ。めでたしめでたし。


日記 | 21:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「ヒロシの日本勇者百選」の巻

  明日のことをついつい考えてしまい、ヒロシが寝付けずにいると、きなり部屋の片隅が光りはじめ、大きくなったその光は、ヒロシを包み込み、気が付くとそこは異世界。


 あっけにとられたヒロシの周りにいた人たちは、恰好からみてどうみても日本の方ではなさそうだったけれど、話す言葉はなぜか日本語。代表者だという女の子の話によると、どうやらここは剣と魔法な異世界で、この世界は魔王に侵略されて大ピンチで、そんな魔王を倒せるのは勇者のみ。勇者を召喚する神聖な儀式を行ったところ、どうもやら勇者だったらしいヒロシが現れたとのこと。


ヒロシ「勇者ねえ。でも、俺ってば結構ろくでなしだよ。いいのかな。勇者なんてやっても」


女の子「大切なのは今まで何をしてきたか、ではなく、これからなにをするのか。ということだと思います」


ヒロシ「わかったよ。俺でよかったら力を貸します。と、その前にひとつ質問があるんだけど、魔王を倒した後はどうなるの。俺はこの世界に残ったままになるのかな」


女の子「そのあたりはきちんと責任はとらせていただきますよ。もちろん元の世界に送り届けてさしあげます」


ヒロシ「時間は? この世界で1年冒険して、元の世界に戻ってきた時、1年が過ぎているなんてことはないよね」


女の子「どんなに長期間冒険したとしても、元の世界に戻ってきたときは、召喚される直前の時刻。戻ってくるのももちろん、あなたがいた場所ですよ。安心してください」


ヒロシ「なるほど納得」


 そんなわけでヒロシ。王様から激励されて、勇者しか身に着けることのできない聖剣なんかをもらって、魔王討伐へと出発したのでした。


 そして。





ヒロシ「それじゃ行ってくるよ」


嫁「気を付けてね!! 最近、モンスターも力を増しているらしいから」


ヒロシ「大丈夫だよ。夕方には戻ってくるから」


女の子「……勇者様!」


ヒロシ「ああ、またあんたか。しつこいな」


女の子「あなたがこの世界にきて、今日でちょうど十年。だというのに、あなたはいっこうに魔王討伐に向かおうとしない!! それどころか、家族までこさえてのんびり暮らしている!!」


ヒロシ「幸せですまんな」


女の子「あなたがうだうだしているあいだに、いくつの町が滅ぼされて、何人が殺されたかわかりますか!! いつになったら、魔王を倒しにいってくれるのです!!」


ヒロシ「ひ孫の顔とかみたらかなぁ」


女の子「ふざけないでください!!」


ヒロシ「なら別の勇者でも探せよ。この聖剣も返すよ」


女の子「『勇者はひとりのみ』という神の定めたルールがあるんです!! あなたがいるかぎり、新しい勇者を召喚することはできないのです!!」


ヒロシ「あ、そう。それは残念。まぁ、このあたりに魔王が攻めてきたりしたなら、俺も本気出すわ。じゃあな」


 ギャーギャー騒ぐ彼女を放置して、ヒロシは聖剣を片手にあたりをうろつきます。こうしているとそのうちモンスターが現れるのです。モンスターは、倒すとなぜだかお金を落とします。


ヒロシ「うふふふ。お金お金。たまらんなぁ。日本じゃ、人を殺さなきゃ手に入らなかったものなぁ」


 そもそも、殺しても手に入らないこともあったし、額もまちまち。警察に捕まるリスクもあった。そんな心配のないこの世界をヒロシは大いに気に入っているのでした。元の世界に、日本なんかに戻る気はさらさらないのです。



                    










  10人以上を金目当てに殺害し、連続強盗殺人の罪で逮捕され死刑判決を受けていた大沼ヒロシが、死刑執行前日に独房からこつぜんと姿を消した事件は、いまだ解決していない。未解決事件のテレビ番組でもおなじみで、しょっちゅう元FBI超能力捜査官とかが霊視とかをしているけれど、解決する見込みすらない。

日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「さつじんじけん れべるいち」の巻
 ヒロシのクラスで、いつも一緒につるんで「少年探偵団」とか自称している連中が、本当に殺人事件を解決して、なんかこう、すげえ話題になっています。ヒロシのあこがれているクラスのマドンナ・白百合えりかさんも少年団に夢中。


マルぼん「あれ、ルナちゃんはどうしたの」


ヒロシ「ここで哀しいおしらせ。長い間、『マルぼんと暮らす』でヒロイン役を務め、時にお色気時に熱湯風呂、鼻フックだって平気にやってのけ、昼は淑女夜は娼婦のような活躍をしてくれたルナちゃんが、メインヒロインを降板することと相成りました。これからはモブの一人として第2の人生を過ごしていっていくことでしょう」

 なぜルナちゃんがメインヒロインを降板するのか。その理由を語りたいと思います。これはすべて嘘の話なのですが、僕が「そろそろ『マルぼんと暮らす』を再始動しようかな」と考えていたある夜、一通のメールが届いたのです。フリーメールだったので怪しさ満点だったのですが、僕はそのメールを読むことにしました。差出人は自分の名前を明かすことはしていませんでしたが、
名前をだしたらすぐわかる某有名宗教の熱心な信者のかたでした。メールの内容は、要約すると「『マルぼんと暮らす』にでてくる
ルナちゃんというキャラクターは、信仰熱心な人をバカにしていると思います」というものでした。自分のやってきたことの愚かさを知った僕は反省。ルナちゃんを降板させることにしました。また、ルナちゃん同様にナウマン象も降板させる予定です。なぜなら『日本ガキ大将連盟』という団体の構成員だという、自称元ガキ大将というおじいさんが「我々元ガキ大将を侮辱するな」と、大量に押しかけてきたからです。


ヒロシ「そんなわけで、えりかさんに好かれるため、僕も! 私も! 俺も! 殺人事件を解決したいな」


マルぼん「殺人事件なんてそこいらで起きてるだろ。歩いて探せ。足をつかえ」


ヒロシ「殺人事件に遭遇しても、犯人をみつけだす推理力がないんだ。この僕には」


マルぼん「仕方ないな。『被ると殺人事件に遭遇する帽子』をかしてあげよう。こいつにはレベル調節機能がついていて、レベルを高くすればするほど難事件が、低くすればするほど馬鹿でも光の速さで犯人が分かる殺人事件に遭遇するのだ」


 ヒロシは一番低いレベルに設定した『被ると殺人事件に遭遇する帽子』を被ると、さっそく町へと繰り出しました。


ヒロシ(殺人事件! 見事犯人を推理! えりかさんの柔肌!)


 夢が翼をもって、妄想という名の大空に羽ばたいたその時。ヒロシに襲い掛かるものがありました。やつは正面からヒロシの腹部を刺しやがりました。鋭利な刃物でブスブスと。そんなにくいあんちくしょうの正体は


ルナちゃん「ヒロインの座を返せヒロインの座を返せヒロインの座を返せヒロインの座を返せヒロインの座を返せ」


ヒロシ(大沼ヒロシ殺人事件……犯人はルナちゃん! ぐふっ)


 そんなわけで、馬鹿でも光の速さで犯人が分かる殺人事件に遭遇できたヒロシ。名探偵の夢は、来世で叶えてね。



日記 | 19:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
「奇跡を呼ぶ男」の巻
 これはまだ、ヒロシが前の職場(独居老人に浄水器を売る仕事)にいた頃の話。ヒロシと同じ部署に、花村先輩という人がいました。


 ある日、この先輩が病気に罹ってしまいました。命の危険を考えざるを得ない、重い病です。


花村先輩「俺もいよいよ、年貢の納め時かな。穏やかに死を待つよ」


ヒロシ「先輩。気を落とさないでくださいよ。奇跡はきっと起こります」


花村先輩「起こらないから奇跡という古い言葉を知らないのか。奇跡は遠い。あまりにも遠いんだ」


ヒロシ「確かに遠いかもしれません。でも、近づくことはできるのではないですか。なにもしなければ起こる奇跡も起きません。自分から行動したやつにだけ奇跡は起こると俺は思うんです。ただ死を待つだけなんて、命の無駄遣いです。足掻きましょう。無様でも惨めでも足掻きましょう。足掻きに足掻いて、遠くにいる奇跡を呼びつけてやりましょうよ」


花村先輩「そうか。そうだよな。ありがとうヒロシ。どうせ死ぬなら足掻いてやる。足掻きまくってやるよ」


 その日から、花村先輩は変わりました。早寝早起きを心がけ、暴飲暴食を控えて上に、バランスのとれた食事。1日1箱以上吸っていたタバコはピタリとやめて、浴びるように飲んでいた酒は適量に。趣味に力をいれてストレスをためないようにし、毎朝のジョギングで運動不足におさらば。インターネットで日本各地の名医を調べては訪ね歩き、西洋医学も東洋医学も試せるものは全て試す。これらのことを会社を辞めずに続ける。そんな花村先輩が、ヒロシには輝いて見えました。


 花村先輩の努力は奇跡を呼びました。半年後、花村先輩の病気はすっかり治っていたのです。


花村先輩「ヒロシ。おまえのおかげだよ」


ヒロシ「そんなことありません。すべては先輩の努力の結果です。先輩が奇跡を呼んだんです」


花村先輩「ありがとう。ありがとうな」


 しかし半年後。花村先輩の病気は、再発してしまいました。それも前よりもひどい状態で。さすがにかける言葉がみつからないヒロシでしたが、花村先輩の顔は笑顔でした。


花村先輩「奇跡は何度でも起こる。いや、起こして見せる」


 花村先輩は、前以上に努力しました。国内だけではなく海外の医者を尋ねるようになり、万病に効くという薬草の自主栽培もはじめ、自然が多く環境の良い場所に引っ越し、運動量も増やす。今では会社の昼休みにもジョギングをしているくらい。ジョギングをしている時の花村先輩は楽しそうな笑顔を浮かべており、とてもじゃないけれど闘病をしているようには見えない素敵なもので、ヒロシはこの笑顔がたまらなく好きになりました。そして再び奇跡は起きました。先輩の病気は、治ったのです。奇跡は二度起こったのです。


ヒロシ「先輩は本当にすごいです」


花村先輩「あのさ、ヒロシ。病気の治った記念ってわけではないけれど、今度引っ越しすることにしたんだ。微笑町から離れているだがが、自然がたくさんある素晴らしい場所なんだ。今度遊びに来てくれ」


 花村先輩に二度目の快気祝いが終わった数週間後。いつもより仕事が遅くなったヒロシが資料室の前を通りかかったときの事。日頃、誰も寄り付かない資料室に誰かがいることに気づきました。泥棒かなにかかもしれない。気づかれないように資料室の中を除くヒロシ。そこには花村先輩がいました。止めたはずのタバコを何本も吸い、適量にしたはずの酒を浴びるように飲み、脂っこいものや炭水化物を山のように食べている花村先輩の姿。食べ物だけならまだマシ。薬品のようなものや、あきらかに食べ物でもない得体のしれない物質まで口にしていました。


ヒロシ「あれ、もしかして、アスベストじゃないか。ニュースで見たことがあるぞ」


ヒロシ(そういえば、花村先輩の引っ越した場所。福笑町。このあいだニュースにでていた。自然は多いけれど、昔、悪質業者が危険な物質を大量に埋めまくっていて、因果関係は判明していないけれど、癌の発生率が高く、住民の寿命が異様に短いとか……かなり前から問題になっていたらしいけど)



 ヒロシは、数年前に読んだ著名なマラソンランナーの自伝を思い出しました。その人は元々マラソンに興味などなかったそうです。ある日、車の購入資金をためるために交通費をケチろうと、バスや電車を使っていたところを歩きにしたそうです。ある日遅刻しそうなになり、いつもの道を全力疾走。なんとか間に合ったそうなのですが、その時に得た達成感が尋常ではなかった。またこの達成感を味わいたいと思ったその人は、あえて家を出る時間を遅くするようになってしまったとか。それからいろいろあって、ランナーになったとか。


 数か月後。花村先輩は三度目の発病を職場で公表。再び奇跡を起こして見せると宣言しました。そしてその日も、花村先輩は昼休みに会社の周りをジョギング。大好きだったジョギング中の花村先輩の笑顔が、ヒロシにはひどく不気味に見えました。




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